第3四半期の実績:売上250億ドル超、ガイダンスを上方修正
J&Jは2026年第3四半期について、オペレーショナルベースの売上成長が6%で、アナリストコンセンサスを上回り、第2四半期から成長が加速したと説明した。四半期売上は250億ドルを超え、同社は通期ガイダンスの達成と、創業140年の歴史で初めて年間売上1000億ドルを超える見通しにあるとしている。年間売上10億ドル以上の製品・プラットフォームは29に達した。
CFOのジョー・ウォルク氏は、第3四半期の業績がInnovative Medicine(医薬品)事業の強さに牽引され、MedTech(医療機器)の一部領域の逆風を上回ってトップライン・ボトムラインともに期待を上回ったと述べた。そのうえで、7月の直近更新時点と比べて2026年通期ガイダンスを引き上げ、オペレーショナル売上成長の見通しはレンジの中間値を引き上げたうえでレンジを狭めたとしている。
医薬品は7.9%成長 腫瘍領域は約17%増
Innovative Medicineのオペレーショナル売上成長は7.9%で、8ブランドが二桁成長した。腫瘍領域は約17%成長。多発性骨髄腫では、治療経過のどこかでJ&Jの治療を受ける患者が80%に達するとしている。7月に公表された第3相試験では、TECVAYLIとTALVEYの併用が、二次治療という早い段階で病勢進行または死亡のリスクを89%低減した。固形がんではRYBREVANTが64%増となり、年内に進行頭頸部がんを対象としたRYBREVANT FASPROの米FDA承認を見込む。膀胱がんのINLEXZOは発売1年で新規患者シェアの市場リーダーとなり、第3四半期には適格患者のほぼ3人に1人が同レジメンを開始した。同社は2030年までに腫瘍領域で首位、売上500億ドル超を目標に掲げる。
免疫領域では、TREMFYAが68%の売上成長を記録し、米国でクローン病、潰瘍性大腸炎、乾癬性関節炎の新規ブランドシェアでIL-23阻害薬首位となった。STAR試験に基づき、体軸性疾患の臨床試験で良好な結果を示した初めてのIL-23阻害薬になったとする。経口ペプチドのICOTYDEは米国発売以来2万人超の患者が治療を開始し、処方医は約9000人。IMAAVYは温式自己免疫性溶血性貧血に対する初の高度治療として承認された。7月にはSail Biomedicinesとin vivo CAR-Tで提携した。神経領域ではCAPLYTAが年初来売上10億ドルに到達し、29番目の10億ドル・プラットフォームとなった。SPRAVATOは36%成長した。
MedTechは2.5%成長 VARIPULSE Proが日本で承認
MedTechのオペレーショナル売上成長は2.5%にとどまり、同社は「期待を下回った」と認めた。CFOは改善が必要な領域として、米国外の循環器と外科を名指しした。一方、SHOCKWAVEは17%成長。パルスフィールドアブレーションのVARIPULSEは世界で10万人超の心房細動患者に使用され、アブレーション速度が5倍の VARIPULSE Proは欧州で二桁成長を牽引、先週には日本で承認を取得した。後ろ向き解析では、競合のパルスフィールドアブレーション製品と比べ心臓有害事象リスクが68%低かったとしている。Heart RecoveryではABIOMEDが医師の選択的使用の影響を受け続けた。外科では7月に米FDAがOTTAVAにDe Novo承認を付与し、初の商用顧客との契約を締結、鼠径ヘルニア修復でIDE試験が進行中。ビジョンではTECNIS PureSeeとTECNIS Odysseyの累計インプラントが世界で100万件を超えた。
財務と意味:訴訟処理を織り込みつつ投資を継続
第3四半期末の現金・市場性証券は約170億ドル、負債は約450億ドルで、ネット負債は約280億ドル。四半期のフリーキャッシュフローは60億ドル超で、通期ガイダンスの約210億ドルに自信を示した。7月に公表した卵巣がん関連タルク訴訟の55億ドルでの解決合意は第3四半期のGAAP業績に反映されており、残存請求の95%以上の参加を条件とするが、同社は閾値に達する方向と説明した。四半期中には10億ドルでFirefly Bioの買収を完了し、KRASを含む難治性がんを標的とするデグレーダー抗体複合体のプラットフォームを取得した。
今回の内容から読み取れるのは、医薬品の新製品群がMedTechの減速を吸収できる構造になりつつある、という点だ。TREMFYA、CAPLYTA、RYBREVANT、INLEXZOといった比較的新しいブランドの伸びが全社成長を支え、同社は特許切れを越えて成長できたと総括している。日本の関係者にとって直接の実務インパクトは、VARIPULSE Proの国内承認である。