BCGが公表した報告書「New Drug Modalities 2026」で、新モダリティの5年先パイプライン価値が前年比ほぼ横ばいとなる一方、従来型医薬品のパイプライン価値が同分析の history 上で最も強い伸びを記録したことが示された。

事実:総額$347 billion、新モダリティ比率は57%へ

同報告は2023年、2024年、2025年の分析を引き継ぐもので、製品数・パイプライン価値・ディール動向の3点で主要な新規モダリティを追跡している。

5年先のパイプライン価値の合計は、2025年の$330 billionから2026年には$347 billionへ増加した。ただし内訳は変化し、新モダリティの占める割合は前年の60%から57%に低下、従来型医薬品が43%へ回復した。

従来型のパイプライン価値は約$18 billion増加した。肥満症、がん、循環器、希少疾患領域の低分子製品について、新製品の登場とアナリスト予測の上方修正が寄与した。

一方、新モダリティのパイプライン価値は$198 billionで横ばいだった。約$40 billionの増加分が、複数製品に対するアナリストの下方修正で相殺された形である。最大の下げ要因はCagriSemaで、pivotal試験「Redefine 1」の減量効果がアナリストの期待を下回った。CagriSemaはBCGの2025年版報告では2030年の予測売上高で上位10製品に入っていた。

2026年に販売される上位10製品のうち8製品が新モダリティである点は2025年の分析と同じだが、順位は入れ替わった。Mounjaroは肥満症と閉塞性睡眠時無呼吸でのシェア拡大を背景に3位から1位へ、Zepboundは予測売上高を2025年からほぼ倍増させて10位から5位へ、Skyriziは炎症性腸疾患への適応拡大とシェア拡大で5位から3位へ上昇した。

5年後の見通しも変わった。アナリストは2031年の上位10製品のうち7製品が新モダリティになると予測する。前年時点では2030年について9製品と見込んでいた。低分子のFoundayoとRinvoqが2026年にリスト入りし、KeytrudaとWegovyは独占期間の満了予測と米国インフレ抑制法(IRA)による価格交渉の影響で上位10から外れた。

背景:モダリティごとに分かれる明暗

抗体は最大のカテゴリーで、成長が続いた。モノクローナル抗体はパイプライン価値が減少した一方、上市済み製品の5年先価値が$24 billion増えた。甲状腺眼症を対象とするViridian TherapeuticsのLumvoaなど高価値品のFDA承認が相次いだ結果で、報告書はこれを商業的成熟の兆候と位置づける。抗体薬物複合体(ADC)はパイプライン規模・価値とも大きく伸び、パイプラインの増加幅が大きい25社のうち17社が中国、4社が韓国の企業だった。最大の増加は韓国のLigaChem Biosciences(15製品→35製品)である。多重特異性抗体は今年から三重特異性等も含める区分に拡張され、パイプライン価値は約$6 billionでほぼ横ばい。最大の押し上げ要因は、2026年1月にFDAへ申請されたSummit TherapeuticsとAkesoのivonescimabだった。

タンパク質・ペプチドでは、組換えタンパク質のパイプラインおよび上市済み価値が15%のCAGRで伸びた。GLP-1は製品数が少ないにもかかわらず価値の約半分を占めるが、合計予測価値は7%減少した。CagriSemaの予測修正、セマグルチドのIRA価格交渉と独占期間満了の織り込み、経口GLP-1との競合激化が要因である。他方で心血管リスク低減、慢性腎臓病、閉塞性睡眠時無呼吸、MASH、アルツハイマー病などへの適応拡大が下支えとなっている。GLP-1以外の組換え製品は製品数9%増、価値22%増と伸びた。

細胞治療は明暗が分かれた。CAR-Tでは、Gilead SciencesとArcellxのanito-celが2026年2月にFDAのBLA受理を得た一方、臨床段階のパイプライン価値は低下した。資金調達と優先順位付けの圧力が小規模開発企業に及んでおり、Caribou Biosciencesは2025年に大幅な人員削減と初期段階製品の中止を実施した。TCR-TではTScan Therapeuticsが2025年11月に固形がん対象のPhase 1製品を中止し、人員の30%を削減。CAR-NKはNkartaがNKX019を全身性エリテマトーデスなど自己免疫疾患へ方向転換した。TILはIovance BiotherapeuticsのAmtagviが2026年6月にオーストラリアで承認され、英国とEUでも申請中だが、製造の複雑さとコストを背景に立ち上がりは想定より緩やかである。

遺伝子治療では、ゲノム編集が5年先価値21%のCAGRで最も成長の速いモダリティの一つとなった。Intellia Therapeuticsのlonvo-zは2026年4月に遺伝性血管性浮腫を対象としたローリングBLA提出を開始しており、承認されれば世界初のin vivo CRISPR編集治療となる。核酸では、DNA・RNA治療のPhase 3製品数が1年で約3分の2増加し、RNAiは上市済み製品の5年先価値が$11.5 billionから$16.9 billionへ拡大した。Alnylam PharmaceuticalsのAmvuttraがATTR心筋症で承認されたことが最大の押し上げ要因である。mRNAはパンデミック後の縮小が続いた。

意味:成熟と選別が同時に進む

今回の数字が示すのは、新モダリティ全体の停滞というより、カテゴリー内部での成熟と選別である。モノクローナル抗体やRNAiでは価値がパイプラインから上市済み製品へ移っており、これは開発の行き詰まりではなく商業化の進展を意味する。他方、CAR-TやTCR-T、CAR-NKのように、資金制約が初期パイプラインの絞り込みに直結している領域もある。

また、独占期間の満了とIRAの価格交渉が、KeytrudaやWegovyといった大型品の長期予測に具体的な形で反映され始めた点は、モダリティの新しさだけでは将来価値が守られないことを示している。ADCにおける中国・韓国企業の存在感、そして本報告が今年新たに加えた企業規模別(時価総額別)の分析——どのモダリティが小型株のイノベーターに集中し、どこに大手製薬がすでに賭けているか——は、今後の提携やM&Aを考えるうえでの出発点となる。