何が起きたか
株式会社リボミック(コード番号4591、東証グロース、代表取締役社長・中村義一)は2026年10月22日、軟骨無形成症(Achondroplasia、以下ACH)治療薬として開発中のumedaptanib pegolについて、国内第Ⅲ相臨床試験(WAKABA試験)で目標とする被験者登録数である16名を上回る患者から治験参加への同意を取得したと発表した。
WAKABA試験は、ACHの小児患者(2~14歳)を対象とする国内第Ⅲ相臨床試験である。同社は今回同意を得た患者について、組み入れ基準等への適格性を確認するとともに、既存の薬物療法を受けている場合には所定の休薬期間を経たうえで、試験への登録を進めるとしている。つまり、今回発表されたのは「同意取得」の段階であり、16名を超える登録が確定したという意味ではない。適格性の確認と休薬期間を経て、実際の登録手続きが進むことになる。
なお同社は、本件による2027年3月期通期業績に与える影響はないとしている。
薬剤と疾患の背景
umedaptanib pegolは、RBM-007の国際一般名である。線維芽細胞増殖因子2(FGF2)の機能を強力に阻害するアプタマー(核酸医薬)であり、同社はACHの発症機序に直接作用する根本的な治療法になることを期待していると説明している。本薬剤は厚生労働省から希少疾病用医薬品の指定を受けている。
対象疾患であるACHは、線維芽細胞増殖因子(FGF)に対する3型受容体(FGFR3)の遺伝子変異により、FGFR3が活性化しやすくなる疾患である。FGFシグナルの過剰流入によって軟骨等の正常な発育が阻害され、四肢短縮等を伴う低身長をもたらす。発生率は新生児約25,000人に対して1人という希少疾患で、難病に指定されている。同社は、有効な新薬の開発が求められている領域だと位置づけている。
疾患の成り立ちを踏まえると、umedaptanib pegolが狙うのは、過剰に流れ込むFGFシグナルの上流にあたるFGF2そのものの阻害である。発症機序に直接作用するという同社の説明は、この作用点の設定に由来する。
希少疾患の治験で「集まった」ことの意味
今回のリリースで同社が強調しているのは、登録の進捗そのものよりも、同意取得のスピードと規模である。同社は「複数のACH治療薬の開発が進む中で、短期間で目標登録数を上回る患者様から治験参加への同意が得られたことは、当社のACH新薬に対する大きな期待を示すもの」と受け止めている、としている。
ここは解釈に属する部分だが、希少疾患の臨床試験にとって被験者登録は常にボトルネックになりうる。新生児約25,000人に1人という発生率の疾患で、しかも2~14歳という年齢帯に限った国内試験となれば、母集団はさらに絞られる。加えて、同社自身が触れているとおり、ACHでは複数の治療薬開発が並行して進む状況にある。限られた患者層を複数の開発プログラムが対象としうる環境下で、目標とした16名を上回る同意が集まったという事実は、少なくとも組み入れの難航という開発上のリスク要因が、現時点では顕在化していないことを示す。
もっとも、同意取得は登録の前段階である。同社が明記しているように、この先には適格性の確認と、既存の薬物療法を受けている患者についての所定の休薬期間がある。既存治療を受けている患者が含まれうるという記載自体が、ACHにおいて既に薬物療法の選択肢が存在する状況を前提にしていると読める。同意した患者のうち何名が実際に組み入れられるかは、今後の確認作業次第である。
同社は今後、被験者登録を着実に進め、WAKABA試験の遂行に注力するとしている。希少疾病用医薬品指定を受けた核酸医薬が、国内第Ⅲ相という最終段階でどこまで進むか。当面の焦点は、同意から登録への移行がどのように進むかに移る。