米国の医療者向けAIサービスであるOpenEvidenceの利用実態を分析した論文が、2026年10月15日にJAMAにオンライン掲載された。2024年1月から2026年6月の2年半に、米国の医療者95万2,008人が2億7,100万件の質問をOpenEvidenceに聞いており、月間の利用者は2024年1月の355人から2026年6月には70万3,265人に増えている。質問の多くは治療方針に関するもので、診断に関する質問は14%と比較的少なかった。

https://jamanetwork.com/journals/jama/fullarticle/2855491

OpenEvidenceは、医師などの医療者が自然言語で質問をすると、LLMが医学論文や学会の診療ガイドラインをもとに回答をまとめるサービスで、回答には引用元の論文やガイドラインが文中に示されることから米国のメディアでは医師版ChatGPT(ChatGPT for Doctors)とも呼ばれている。

【ここまで無料】

利用は無料だが、米国の医療者ID(National Provider Identifier、NPI)を持つ医療者に限られる。論文はOpenEvidenceを米国で最も多く使われているAI臨床情報プラットフォームと述べ、医師への独立した調査で他のどの臨床AIツールよりも多くの医師に使われていたことを根拠としている。

https://www.biopharmatrend.com/news/chatgpt-for-doctors-raises-250m-series-d-at-12b-valuation-1477/

回答に使うコンテンツについて、NEJM、米国医師会、全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)、米国心臓病学会などと提携しており、論文を掲載したJAMAを含むJAMA Network 13誌とも複数年のコンテンツ契約を結んでいる。

https://www.rutlandherald.com/news/business/openevidence-raises-250-million-to-build-medical-superintelligence-for-doctors/article_0960939c-ca41-5321-8417-54f84800ece6.html
https://www.fiercehealthcare.com/ai-and-machine-learning/jama-signs-multi-year-deal-openevidence-inform-ai-powered-medical-search

今回の論文は横断研究で、OpenEvidenceのアカウントの2024年1月1日から2026年6月30日の質問ログを分析している。著者は7人で、うち3人がOpenEvidenceの所属となっている。

2年半の利用者95万2,008人のうち医師は55万6,200人(58.4%)で、1億7,210万件の質問をOpenEvidenceに送っていた。医師以外では、ナースプラクティショナー(一定の診療や処方ができる上級看護師)が17万1,034人、フィジシャンアシスタント(医師の監督下で診療を行う職種)が9万3,241人、薬剤師が3万5,819人、その他の免許保有者が9万5,714人となっていた。

月間の質問数は2024年1月の約6,000件から2026年6月には2,780万件に増加し、利用した月の1人当たりの質問数も2024年1月の18.0件から7月に38.3件となり、その後は32.1〜40.4件で推移している。

1人当たりの月間質問数は、ナースプラクティショナーとフィジシャンアシスタントがいずれも44.5件で、医師の37.1件を上回っている。

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論文は、各グループが出した質問の割合を、米国の医師全体に占めるそのグループの割合で割ったuse ratioで、利用の偏りを比べている。差が最も大きいのは経験年数で、経験10年未満の医師は医師全体の24.3%だが利用者の45.2%、質問の61.8%を占めておりuse ratioは2.54だった。研修医・フェローは医師全体の14.8%で質問の27.2%を占め(1.84)、経験20年以上の医師は医師全体の53.0%に対し質問は16.5%だった(0.31)。つまり、若手の経験が浅い医師ほど利用している傾向にある。

診療科別では、腫瘍・血液(2.00)、内科(1.88)、家庭医療(1.80)が高く、眼科(0.23)、放射線科(0.24)、整形外科(0.24)、麻酔科(0.37)など手技や画像診断が中心の診療科は低かった。

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医師の質問の目的は、臨床判断が51.9%で最も多く、医学知識が37.2%、エビデンスが7.0%、事務が3.0%、医学教育が0.9%だった。小分類では、治療・管理が33.1%、薬剤情報が14.1%、診断が13.9%なっており、診断の補助に使うよりも治療で使う割合の方が高かった。

医師は自分の専門外の話題についても多く質問しており、専門外の話題の割合は腫瘍・血液で35%、外科で70%、麻酔科で73%、救急で88%となっていた。専門内の質問ではエビデンスに関するものが多いが、専門外の質問では疾患や薬剤などの医学知識が多かった。

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今回、回答の正確さや、患者のアウトカムとの関係は分析の対象外であるため、今後実際にOpenEvidenceを活用することで臨床的なベネフィットがあるのかどうかの検証が待たれる。