何が起きたか
デンマークのGenmab A/S(Nasdaq: GMAB)は2026年10月23日、開発中の抗体薬物複合体(ADC)rinatabart sesutecan(Rina-S、開発コードGEN1184)について、白金耐性卵巣がん(PROC)患者を対象とした国際共同第3相RAINFOL-02試験のトップライン結果を公表した。試験は主要評価項目である無増悪生存期間(PFS)を達成し、主要な副次評価項目である全生存期間(OS)についても、治験担当医師選択の化学療法と比較して統計学的に有意かつ臨床的に意味のある改善を示したとしている。
数字で見る結果
有効性は2つの集団で評価された。ITT集団(N=584)は、FRα発現レベルを問わず無作為化されたPROC患者全員を含む。主解析集団(PAS、N=492)はITTの部分集合で、FRα発現<75% PS2+の患者と、FRα発現≥75% PS2+に該当し地域で利用可能な場合にmirvetuximabによる前治療を受けた患者を含む。
PFSについては、ITT集団でRina-Sが病勢進行または死亡のリスクを71%低減した(HR 0.29;95% CI, 0.23–0.37;p<0.0001)。PAS集団では67%の低減だった(HR 0.33;95% CI, 0.26–0.42;p<0.0001)。
OSについては、ITT集団でHR 0.43(95% CI, 0.31–0.59;p<0.0001)、PAS集団でHR 0.44(95% CI, 0.31–0.63;p<0.0001)だった。
安全性については、観察されたプロファイルはRina-Sの既知のプロファイルと一致し、新たな安全性シグナルや予期しない懸念は認められなかったとしている。
試験の設計と背景
RAINFOL-02(NCT06619236)は、FRα発現レベルを問わないPROC患者582例を対象とした無作為化非盲検多施設共同の第3相試験。患者は1対1でRina-S(3週間を1サイクルとし、各サイクルDay 1に120 mg/m²)または標準治療の化学療法4剤(パクリタキセル、トポテカン、PLD、ゲムシタビン)のいずれかに割り付けられた。主要評価項目は治験担当医師評価によるPFS、主要な副次評価項目はOSと客観的奏効率(ORR)。その他の副次評価項目には、盲検下独立中央判定によるPFS、奏効期間、有害事象および臨床検査値異常の発現率、無作為化から2回目の病勢進行または死亡までの期間、ベースラインからの全般的健康状態/QOLの変化が含まれる。
Rina-Sは、FRαを標的とする新規ヒトモノクローナル抗体に、親水性のプロテアーゼ切断型リンカーを介してトポイソメラーゼI(TOPO1)阻害薬であるエキサテカンを結合させたADCである。今回の対象は、FRα発現レベルやmirvetuximabによる前治療の有無を問わない患者集団だった。
卵巣がんは世界で年間32万人超が新たに診断される疾患で、女性のがんのなかで罹患数・死亡数ともに世界第8位。症状が腹部膨満、骨盤痛、食事がとりにくいなど、はっきりしないため進行した段階で診断されることが多い。進行期の患者の約70〜90%が初回治療後に再発し、5年生存率は地域差が大きいもののおおむね30〜50%にとどまる。
意味するところ
今回の発表は、Rina-Sプログラムとして初めての第3相の読み出しにあたる。GenmabのCEOであるJan van de Winkel氏は、PROC患者に対するRina-Sの可能性への確信を強めるものであり、婦人科がん領域のリーダーを目指す取り組みを前進させるとコメントした。
試験の主任治験責任医師であるAngeles Alvarez Secord氏(Gynecologic Oncology Group、Duke Cancer Institute産婦人科学教授)は、白金耐性卵巣がんは予後が不良で治療選択肢が限られる婦人科腫瘍領域最大の課題の一つであり、今回の結果はFRα発現を問わずこの未充足ニーズに応える新たな基準を示すものだと述べた。そのうえで、病勢進行リスクの71%低減と死亡リスクの57%低減は、承認されれば幅広い患者集団に治療選択肢を提供し、臨床実践を変えうる可能性を裏づけると指摘している。
Genmabは今回の結果に基づき、次の段階について世界各国の規制当局と協議する計画を示した。データは今後の医学会での発表に向けて提出される。Rina-Sの臨床開発プログラムは複数の婦人科がんとその他の固形がんに広がっており、PROC(RAINFOL-02)に加え、再発・進行子宮体がん(RAINFOL-03)、白金感受性卵巣がん(PSOC)の維持療法(RAINFOL-04)、二次治療のPSOC(RAINFOL-07)、一次治療の卵巣がん維持療法(RAINFOL-10)の計5本の第3相試験を含む。さらに第1/2相のRAINFOL-01、非小細胞肺がんの第2相RAINFOL-05、進行消化器がんの第2相RAINFOL-09も進行中である。なお、Rina-Sの安全性と有効性は確立されていない。
Genmabは10月28日(水)中央欧州時間午後5時/米東部夏時間正午に投資家向けアップデートを開催する。