何が起きたか

米デラウェア州の投資運用会社コペルニック・グローバル・インヴェスターズ・エルエルシー(Kopernik Global Investers, LLC)が、杏林製薬株式会社(証券コード4569、東京証券取引所上場)の株券等保有割合を10.09%に引き上げた。2026年10月27日12時07分に関東財務局長あてで提出された変更報告書(No.6、金融商品取引法第27条の25第1項に基づく、第一号様式)で明らかになった。直前の報告書に記載された保有割合は8.75%で、1.34ポイントの増加となる。提出事由は「株券等保有割合が1%以上増加したこと」とされている。

保有株券等の数は6,051,200株。発行済株式等総数は59,945,641株で、内訳はすべて株券(法第27条の23第3項第2号の区分)である。報告義務発生日は2026年10月15日、基準日も同日。保有目的は「純投資」と記載されている。

取得資金は合計10,027,326,000円。このうち自己資金額は0円、借入金額計も0円で、全額が「その他金額計」に計上されている。その内訳は「顧客の資金で購入」と説明されている。提出者は個人・法人の別で「法人(外国法人)」、事業内容は投資運用業、設立年月日は2013年5月6日、代表者はジェネラル・カウンセル及びチーフ・コンプライアンス・オフィサーのサラ・L・バートランド氏。本店所在地はアメリカ合衆国デラウェア州ウィルミントン市リトル・フォールズ・ドライブ251で、旧所在地(同州ウィルミントン市センタービルロード2711、スイート400)からの変更も報告書に記載されている。事務上の連絡先は、東京都千代田区内幸町二丁目2番2号 富国生命ビルの渥美坂井法律事務所・外国法共同事業、担当は弁護士の都築翔氏となっている。

直近60日の売買

報告書の「最近60日間の取得又は処分の状況」には、3件の取引が記載されている。

  • 2026年8月19日 株券14,000株(0.02%) 市場内 取得
  • 2026年9月14日 株券8,000株(0.01%) 市場内 処分
  • 2026年10月15日 株券252,400株(0.42%) 市場外 取得(単価欄は「顧客資産の運用移管」)

最も大きいのは報告義務発生日と同じ10月15日の市場外取得で、252,400株、割合にして0.42%にあたる。欄には売買の単価ではなく「顧客資産の運用移管」と記されており、運用を預かる顧客資産の移管に伴う取得であることが示されている。この3件を差し引きすると純増は258,400株で、保有割合の1.34ポイント増に相当する株数には届かない。残りの変動の内訳は、この書類の記載からは分からない。

制度上の位置づけと意味

大量保有報告制度では、上場会社の株式を5%超保有した者は5営業日以内に大量保有報告書を提出し、その後は保有割合が1%以上増減するたびに変更報告書を出す義務がある。今回はその1%ルールに該当したことによる提出で、提出回数は1回、訂正報告ではない。

注目されるのは、保有目的が「純投資」と明記され、取得資金が全額「顧客の資金」とされている点である。運用会社が顧客資産を預かって運用する立場で株式を保有していることが、資金区分の記載からも裏づけられる。自己資金・借入金がいずれも0円であることは、自己勘定での買い付けではないことを示す。

そのうえで、保有割合が10%台に乗った事実は押さえておきたい。発行済株式等総数59,945,641株のうち6,051,200株を単一の報告者が握る状態となり、株主構成における同社の存在感は一段と大きくなった。10月15日の市場外取得が「運用移管」によるものである点も含め、純投資としての保有が積み上がっている形である。今後、保有割合がさらに1%以上動けば、あらためて変更報告書が提出されることになる。