結論:スペシャリティ医薬品が牽引、通期見通しは据え置き
GSK plcは、米証券取引委員会に提出したForm 6-K(2026年10月、Commission File Number 001-15170)で2026年第3四半期(Q3)決算を公表し、売上高88億8,700万ポンド(AER比4%増、CER比5%増)と増収を確保する一方、通期2026年ガイダンスを再確認した。
事実:Core営業利益は5%増、Total営業利益は16%減
Q3の内訳は、スペシャリティ医薬品が38億7,700万ポンド(CER比15%増)。うちHIVが21億1,600万ポンド(同10%増)、呼吸器・免疫・炎症(RI&I)が11億3,900万ポンド(同21%増)、オンコロジーが6億2,200万ポンド(同23%増)となった。HIVでは長時間作用型注射剤(LAI)がQ3のHIV成長の80%を占め、米国HIV売上は14%増、LAIが米国HIV売上の35%を構成した。製品別ではCabenuvaが4億7,800万ポンド(同35%増)、Dovatoが7億5,400万ポンド(同9%増)、Apretudeが1億4,300万ポンド(同21%増)。
ワクチンは25億8,300万ポンド(同2%減)で、Shingrixが7億8,000万ポンド(同5%減)、髄膜炎ワクチンが5億9,900万ポンド(同12%増)、Arexvyが1億9,500万ポンド(同24%減)、インフルエンザが1億7,700万ポンド(同17%減)。ジェネラルメディシンは24億2,700万ポンド(横ばい)で、Trelegyは8億ポンド(8%増)だった。地域別では米国49億3,100万ポンド(CER比10%増)、欧州19億2,800万ポンド(同3%増)、インターナショナル20億2,800万ポンド(同3%減)。
利益面では、Total営業利益が21億2,700万ポンド(AER比18%減、CER比16%減)、Total EPSは38.5ペンス(同21%減)。Accelerate Growthプログラムに関連する大規模リストラ費用3億2,800万ポンドと、その他営業純収益の減少が主因とされる。一方Core営業利益は30億7,600万ポンド(CER比5%増)、Core営業利益率34.6%、Core EPSは54.6ペンス(同1%増)。営業キャッシュフローは31億2,200万ポンド、フリーキャッシュフローは21億ポンドだった。年初来では売上249億2,500万ポンド(CER比5%増)、Core EPS151.6ペンス(同6%増)。
背景:パイプラインと米国政府との合意
直近の進展として、Hibsagoが米国と日本で承認され、慢性B型肝炎で機能的治癒率に関するデータが示された。Jemperliは米国でdMMR/MSI-Hの局所進行直腸がんに対する初の免疫療法として承認。Jideytroは7月に米国で二次治療として承認済みで、ROS1陽性非小細胞肺がんの一次治療で良好な登録試験データを得た。日本ではShingrixのプレフィルドシリンジが承認されている。mRNA季節性インフルエンザワクチンは第III相試験を開始した。2026年に22本の第III相試験開始を計画し、これまでに18本を開始している。
米国政府との関係では、2025年12月19日に処方薬コスト引き下げとSection 232関税の3年間除外で合意。2026年4月9日にGSK、ViiV Healthcare、米政府が2029年1月20日までの関税免除を反映した最終合意を締結し、2026年6月15日付でCMSとGENEROUS Model参加契約に署名した。通期ガイダンスはこれら合意の想定影響を織り込んでいる。
意味:LoE期を見据えた構造
通期2026年はCERベースで売上3〜5%増(レンジ上半分)、Core営業利益7〜9%増(上半分)、Core EPS7〜9%増(下半分)を見込む。Core EPSが下半分なのは、Nuvalent買収の影響を含む約7億〜7億5,000万ポンドの利息費用と約17.5%への税率上昇が要因で、自社株買いの効果が一部相殺する。£20億の自社株買いはQ2 2026に完了した。Q3配当は17ペンス、通期は70ペンスを見込む。
注目すべきは、Total利益の減少がリストラ費用という一過性の項目に起因し、Core段階では増益を維持している点だ。会社は2031年に売上400億ポンド超、2028〜2030年のドルテグラビル独占販売期間終了(LoE)を通じて営業利益率は安定ないし改善との見通しを維持する。Q3のHIV成長の大半をLAIが担い、Dovatoではインターナショナル地域でDTGのLoEが入札数量に影響し始めたとされる構図は、LoE前に注射剤へ需要を移す戦略の進捗を測る指標となる。為替は、2026年9月30日の終値(1ポンド=1.33ドル、1.17ユーロ、209円)が続けば通期のポンド建て売上成長に-1%、Core営業利益成長に-3%の影響が見込まれる。
決算説明の電話会議とウェブキャストは2026年10月28日12時(GMT)にLuke Miels最高経営責任者が実施する。