何が起きたか
キッセイ薬品工業(コード番号4547、東証プライム)は2026年10月29日、2026年7月31日に公表した2027年3月期第2四半期(累計)の連結業績予想を修正したと発表した。売上高、営業利益、経常利益の3項目を増額する一方、親会社株主に帰属する中間純利益は減額する内容である。
対象期間は2026年4月1日から2026年9月30日まで。修正後の数値は、売上高45,500百万円(前回予想44,800百万円、700百万円・1.6%の増額)、営業利益1,600百万円(同500百万円、1,100百万円・220.0%の増額)、経常利益2,900百万円(同1,700百万円、1,200百万円・70.6%の増額)となった。これに対し、親会社株主に帰属する中間純利益は5,100百万円(同7,400百万円、2,300百万円・31.1%の減額)、1株当たり中間純利益は122円19銭(同176円92銭)となる。
参考として示された前期第2四半期(2026年3月期第2四半期)の実績は、売上高45,831百万円、営業損益△6,837百万円、経常損益△5,622百万円、親会社株主に帰属する中間純利益7,784百万円、1株当たり中間純利益186円81銭である。修正後の予想は、前年度比で売上高0.7%減、中間純利益34.5%減にあたる。営業利益と経常利益については前年度比が「-%」と記載されている。
増額と減額、それぞれの理由
会社が示した修正理由は、売上面と利益面で内容が分かれている。
売上面では、顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬タブネオスの売上が、2026年7月に公表した3,100百万円の予想どおりに進捗しているとする。そのうえで、2026年3月に新発売した子宮筋腫治療薬イセルティに加え、過活動膀胱治療薬ベオーバ、透析患者におけるそう痒症治療薬コルスバの伸長、コ・プロモーションフィーの拡大、さらに情報サービス事業の上振れなどを挙げ、売上高を当初見通しから700百万円増額した。
利益面では、売上高の増額に伴う売上総利益の増加に加え、販売費及び一般管理費の効率化が進んだことを理由に、営業利益と経常利益をそれぞれ増額している。
一方、中間純利益の減額理由は明確に区別して説明されている。タブネオスの製造販売承認取消しを含む行政手続きが進められていることに鑑み、棚卸資産及び長期前払費用などタブネオスに関する資産について特別損失を計上するとした。これにより2,300百万円を減額する。
なお、通期の業績予想は、2026年11月4日に予定されている第2四半期連結決算発表と同時に公表する予定としている。
この修正が示すもの
今回の修正は、ひとつの製品をめぐる事情が、損益計算書の上段と下段で逆方向に働いた例として読むことができる。
上段、すなわち売上高から経常利益までの段階では、タブネオスの売上は7月時点の予想である3,100百万円どおりに進んでおり、そこに新発売品を含む複数製品の伸長とコ・プロモーションフィー、医薬品事業以外の情報サービス事業が上乗せされた。販管費の効率化も重なり、営業利益は当初予想の3倍を超える水準となる。前期第2四半期が営業損益・経常損益ともに赤字だったことと比べれば、損益の形は大きく変わる。
他方、下段では、タブネオスの製造販売承認取消しを含む行政手続きの進行を踏まえ、棚卸資産や長期前払費用といった同剤に関する資産を特別損失として処理する。会社は、この手続きを「進められている」と記しており、その段階に応じた資産の評価を今回の中間期に反映させた形である。売上として計上されている進捗と、資産側の評価とが、別々に扱われている点がこの修正の特徴といえる。
投資家にとって、当面の焦点は2026年11月4日に同時公表が予定されている通期予想となる。今回示されたのは中間期までの数値であり、タブネオスをめぐる行政手続きの扱いが通期にどう反映されるかは、その時点の開示を待つことになる。