上期は増収、コア営業利益は前年同期比56.2%減
住友ファーマ(証券コード4506)が2026年10月30日に公表した2026年度第2四半期決算補足資料(IFRS)によると、上期(2Q累計)の売上収益は2,665億円で、前年同期の2,271億円から394億円、17.3%の増加となった。
一方で利益は大きく減った。コア営業利益は421億円で前年同期の961億円から540億円減(56.2%減)、営業利益は423億円で同56.0%減。親会社の所有者に帰属する中間利益は382億円と、前年同期の989億円から61.3%減少した。基本的1株当たり当期利益は86.48円(前年同期248.84円)。ROEは20.3%(前年同期46.3%)、ROICは15.1%(同22.8%)となった。
減益の主因は、コア営業利益の構成項目のうち「その他(コア内)」の差である。事業譲渡損益や持分法による損益等を含むこの項目は、前年同期の501億円に対し2026年度上期は12億円で、489億円減少した。加えて売上原価が897億円から1,235億円へ37.7%増え、売上原価率は39.5%から46.4%へ上昇。売上総利益は1,430億円(前年同期比4.0%増)と、増収率ほどは伸びていない。研究開発費は238億円(同35.9%増)、売上収益比率は7.7%から8.9%に上がった。販売費及び一般管理費は783億円(同5.9%増)で、人件費が351億円と22億円減った一方、販売促進費・広告宣伝費が139億円と48億円(52.3%)増えている。
米国3製品が牽引、日本はゼプリオンが寄与
地域別では、米国の売上収益が1,978億円と前年同期比408億円(26.0%)増え、全体の増収分394億円をほぼ説明する形となった。海外売上は2,218億円、海外売上比率は81.3%から83.2%へ上昇。日本は446億円(同4.2%増)、その他は241億円(同11.8%減)だった。為替は円/USDの平均レートが前年同期の146.03円から159.49円となり、増減のうち米国で167億円が為替影響とされている。
米国の個別品目では、進行性前立腺がん治療剤オルゴビクスが1,086億円(前年同期比57.0%増)、過活動膀胱治療剤ジェムテサが649億円(同49.6%増)、子宮筋腫・子宮内膜症治療剤マイフェンブリーが93億円(同46.8%増)。現地通貨ベースでもオルゴビクスが681百万ドル(同43.8%増)、ジェムテサが407百万ドル(同37.0%増)、マイフェンブリーが58百万ドル(同34.4%増)と伸びている。一方、抗てんかん剤アプティオムは25億円(同76.2%減、現地通貨16百万ドル)、リサイミックは31億円(同5.5%減)と減少した。
日本では、2026年1月から計上が始まった持続性抗精神病剤ゼプリオン・ゼプリオンTRIが82億円を売り上げた。ラツーダは73億円(同5.2%増)、ツイミーグは66億円(同31.4%増)。糖尿病治療剤エクア・エクメットは前年同期75億円から計上がなくなった。
地域別売上総利益(コアベース)を見ると、米国は1,197億円(前年同期1,001億円)と増えた一方、日本は196億円(同210億円)、その他は36億円(同163億円)と減っている。
通期予想を上方修正、財務面では増資と借入返済
会社は業績予想を修正した。通期の売上収益予想は従来の5,400億円から5,650億円へ、前期比24.6%増となる。コア営業利益は従来910億円から1,050億円(前期比0.9%減)、営業利益は1,040億円(同3.1%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は940億円(同12.0%減)に引き上げられた。地域別の予想は日本885億円、米国4,251億円、その他514億円。米国ではジェムテサを1,180億円(従来1,063億円)、マイフェンブリーを171億円(同154億円)とするなど、主要品の予想も引き上げている。上期終了時点の進捗率は合計で49.4%(従来予想比)、ジェムテサは61.0%に達している。想定為替レートは期中平均157.00円で、1円の円安が売上収益を29億円、コア営業利益を7億円押し上げる感応度としている。
財政状態では、2026年9月末の資産が8,511億円(3月末比465億円増)、負債が4,199億円(同922億円減)、資本が4,311億円(同1,386億円増)。資本金が713億円へ489億円、資本剰余金が483億円増えており、いずれも新株式発行による増加と記載されている。一方、長期借入金の返済により社債及び借入金(非流動)は1,197億円へ594億円減り、流動の借入金も200億円へ181億円減った。現金及び現金同等物は778億円(3月末443億円)となっている。
意味合い
今回の数字が示すのは、収益構造の重心が一段と米国3製品に寄ったことである。海外売上比率は83.2%に達し、米国の売上総利益は上期だけで1,197億円と、連結売上総利益1,430億円の大半を占める。通期予想でも米国の売上総利益は2,728億円と、連結3,190億円の中心を担う想定だ。
同時に、前年同期のコア営業利益961億円が「その他(コア内)」501億円を含んでいたのに対し、今期はその寄与がほぼ消えた。増収下での大幅減益は、前年同期の利益がどこから来ていたかを逆照射している。本業の指標としては、売上総利益が4.0%増にとどまる一方、研究開発費が35.9%増、販売促進費・広告宣伝費が52.3%増と、成長品の拡大に向けた支出が先行している構図が読み取れる。
財務面では、新株式発行による資本増加と長期借入金の返済が同時に進み、負債は922億円減って資本は1,386億円増えた。手元現金も778億円へ積み上がっている。日本のMR数が2026年9月30日時点で総数530名(2025年3月31日時点430名)へ増えている点も含め、資本と人員の配置が動いている局面といえる。