アッヴィ(NYSE:ABBV)は2026年10月30日、2026年9月30日に終了した第3四半期の決算を発表し、売上高174.04億ドル(報告ベースで10.3%増、為替影響を除く実勢ベースで10.5%増)を計上するとともに、2026年通期の調整後希薄化後EPSガイダンスを13.76〜13.96ドルから13.95〜13.99ドルへ引き上げた。

事実:免疫・神経科学が二桁成長、EPSは100%超の増加

第3四半期の希薄化後EPSはGAAPベースで2.37ドル、調整後で3.82ドルとなり、いずれも100.0%超の増加だった。この結果には、導入研究開発費(Acquired IPR&D)およびマイルストン費用に関する1株当たり0.11ドルの不利な影響が含まれる。

領域別では、免疫学ポートフォリオが91.65億ドル(報告ベース16.3%増、実勢ベース16.6%増)。内訳はスカイリージが57.76億ドル(22.7%増)、リンヴォックが27.06億ドル(23.9%増)、ヒュミラが6.83億ドル(31.2%減)。神経科学は33.89億ドル(19.4%増)で、ヴレイラー10.68億ドル(14.3%増)、ボトックス治療用10.80億ドル(9.8%増)、ウブレルビー4.49億ドル(26.9%増)、キューリプタ3.98億ドル(38.2%増)、ヴィアレブ2.86億ドル。

一方、オンコロジーは16.96億ドルで0.8%増にとどまった。ベネクレクスタが8.03億ドル(10.7%増)と伸びた半面、イムブルビカは5.22億ドル(26.1%減)。エラヘアは2.24億ドル(31.0%増)だった。エステティクスは11.76億ドルで1.4%減。ボトックス化粧用は6.69億ドル(4.9%増)だが、ジュビダームが2.22億ドル(11.9%減)と落ち込んだ。

収益性はGAAPベースの売上総利益率75.4%、調整後85.1%。営業利益率はGAAPベース36.0%、調整後48.7%。調整後の販売管理費は売上高比21.2%、研究開発費は同13.9%で、導入研究開発費・マイルストン費用は同1.2%だった。税率はGAAPベース12.6%、調整後13.6%。

あわせて、2027年2月支払い分から配当を5.2%引き上げると発表した。

背景:ヒュミラの縮小と、後継2剤・買収による補強

ヒュミラは31.2%減の6.83億ドルまで縮小した。これに対しスカイリージとリンヴォックは合算で84.82億ドルに達し、免疫学領域全体を16.3%増へ押し上げている。ロバート・A・マイケル会長兼最高経営責任者は、多様なポートフォリオ全体での着実な実行が結果に表れたとコメントした。

四半期中の主な動きとして、アポジー・セラピューティクスの買収完了がある。同社の資産には、アトピー性皮膚炎向けでIL-13を標的とする半減期延長型の後期段階モノクローナル抗体zumilokibartと、喘息でIL-13とTSLPを標的とする長時間作用型配合剤の候補APG273が含まれる。

規制面では、FDAが中等症から重症の活動期クローン病に対するスカイリージの皮下投与による導入療法を承認した。第3相AFFIRM試験のデータが根拠で、全適応症を対象に結核検査の要否を医師の臨床判断に委ねる添付文書の警告・注意事項の改訂も承認された。欧州医薬品庁(EMA)にも同じ皮下導入療法の承認申請を提出している。また、FDAはパーキンソン病治療薬として、選択的D1/D5受容体作動薬のJuvmo(tavapadon)錠を承認した。第3相TEMPOプログラムが根拠となっている。

開発段階では、化膿性汗腺炎を対象としたIL-1α/1β二重標的抗体lutikizumabの第3相INTREPID試験が主要評価項目(16週時点のHiSCR 75)を達成。36週の盲検延長期間を含む追加データは来年得られる見込みで、化膿性汗腺炎での承認申請は2027年下半期を予定する。このほか、第2a相TARGET-CD試験では、スカイリージとABBV-382の併用(ABBV-466)が12週時点の内視鏡的寛解率で各単剤を上回った。

意味:主力交代は数字の上で完了しつつある

今回の決算で確認できるのは、ヒュミラ依存からの移行が、売上構成の面ではすでに後継2剤によって吸収されている、という点である。免疫学だけで四半期売上の半分超を占め、神経科学が19.4%増で第2の柱として伸びている。

他方、オンコロジーは0.8%増、エステティクスは1.4%減と、成長は免疫学と神経科学に集中している。導入研究開発費・マイルストン費用が年初来で1株当たり0.69ドルの不利な影響を与えつつ、通期ガイダンスとガイダンス下限が同時に引き上げられたことは、買収や外部資産の取り込みを続けながら利益見通しを維持できる状態にあることを示す。アポジー買収とlutikizumab、ABBV-466といった免疫・炎症領域への集中投資は、現在の成長源をさらに厚くする方向に一貫している。