中間期で売上収益1兆円超、コア営業利益は46.9%増

第一三共は2026年10月30日、2027年3月期第2四半期(中間期、2026年4月1日~9月30日)の決算短信を公表した。売上収益は前年同期比1,919億円(19.7%)増の1兆1,672億円。コア営業利益は706億円(46.9%)増の2,213億円、営業利益は496億円(34.4%)増の1,938億円、税引前中間利益は296億円(18.2%)増の1,929億円、親会社の所有者に帰属する中間利益は207億円(15.8%)増の1,515億円となった。基本的1株当たり中間利益は83円22銭。

会社は増収の要因として、グローバル主力品であるエンハーツ(トラスツズマブ デルクステカン)およびダトロウェイ(ダトポタマブ デルクステカン)の伸長に加え、円安の進行による為替影響を挙げている。売上収益に係る為替の増収影響は739億円、コア営業利益に係る為替の増益影響は227億円、営業利益に係る為替の増益影響は200億円だった。期中平均レートは1米ドル159.37円(前年同期146.04円)、1ユーロ184.35円(同168.06円)。

費用面では、売上原価がCMOへの損失補償の減少があったものの、売上収益の増加と為替影響等により11億円(0.4%)増の2,398億円。販売費及び一般管理費は、アストラゼネカとのプロフィット・シェアの増加による費用増等で969億円(26.3%)増の4,661億円。研究開発費は5DXd ADCsおよびNext Waveへの投資増等により232億円(10.7%)増の2,401億円となった。コア外の費用は、EUスペシャルティビジネスユニットの事業再編費用の計上等により156.9%増の276億円となり、営業利益の増益額はコア営業利益を下回った。なお同社は2027年3月期よりコア営業利益の定義を変更しており、前期の数値にも同じ定義を反映している。

オンコロジーが54.8%増収、日本とUSは減収

ユニット別では明暗が分かれた。オンコロジービジネスユニット(第一三共Inc.および第一三共ヨーロッパのがん製品)は、欧米におけるエンハーツ、ダトロウェイ等の伸長により前年同期比1,496億円(54.8%)増の4,226億円。現地通貨ベースでも782百万米ドル(41.9%)増の2,652百万米ドルと伸びた。ASCAビジネスユニットは、ブラジルにおけるエンハーツの伸長等により246億円(20.9%)増の1,425億円。第一三共ヘルスケアユニットはクリーンデンタル等の伸長で24億円(5.1%)増の483億円となった。

一方、ジャパンビジネスユニットはエンハーツ、タリージェ等が伸長したものの、リクシアナ等の減収影響により172億円(6.9%)減の2,327億円。アメリカンリージェントユニットはヴェノファー、インジェクタファー等の減収影響で189億円(19.5%)減の779億円、現地通貨ベースでは174百万米ドル(26.3%)減の489百万米ドルとなった。EUスペシャルティビジネスユニットは現地通貨ベースで5百万ユーロ(0.6%)減の809百万ユーロだったが、円安により円ベースでは124億円(9.1%)増の1,492億円となった。

中間期には適応拡大の承認取得が相次いだ。エンハーツは2026年5月に米国でHER2陽性乳がんの術前療法および術後療法、6月に欧州でHER2陽性(IHC3+)固形がん、8月に中国、9月に欧州と日本でペルツズマブ併用によるHER2陽性乳がん1次治療の承認を取得した。ダトロウェイは5月に米国、7月に欧州でPD-1/PD-L1阻害剤による治療の対象とならないトリプルネガティブ乳がん1次治療、9月に日本でホルモン受容体陰性かつHER2陰性乳がん1次治療の承認を得ている。他方、イフィナタマブ デルクステカンは2026年4月に進展型小細胞肺がんを対象とした米国の承認申請が受理され優先審査の指定を獲得したが、9月に当該申請を自主的に取り下げた。

通期予想は据え置き、年間配当は100円を予定

2027年3月期の連結業績予想は、2026年7月31日に公表した内容から変更していない。売上収益2兆3,400億円(前期比10.2%増)、コア営業利益3,600億円(15.6%増)、営業利益3,200億円(24.0%増)、税引前利益3,340億円(14.2%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益2,510億円(10.3%減)、1株当たり当期利益137円94銭である。

株主還元では、第6期中期経営計画期間(2026年度-2030年度)において、累進配当のもと各年度の調整後DOE10.0%以上を配当水準の指標に掲げる。2026年度の年間配当は前年度比22円増配の1株当たり100円を予定し、10月30日の取締役会で中間配当50円を決議した。支払いは2026年12月10日。自己株式については、2025年5月1日から2026年3月24日にかけて取得した3,145万株を2026年6月10日に消却しており、中間期末の発行済株式数は18億6,289万3,329株となっている。

中間期末の資産合計は4兆2,586億円で前期末より2,623億円増加、負債合計は2兆4,785億円で1,663億円増加、資本合計は1兆7,801億円で961億円増加した。親会社所有者帰属持分比率は41.3%と前期末から0.8ポイント低下している。

収益の重心が5DXd ADCsへ移る中間決算

今回の中間決算が示すのは、収益の重心が明確にDXd ADCへ移っているという事実である。オンコロジービジネスユニット単独の売上収益4,226億円は、ジャパンビジネスユニット2,327億円の1.8倍にあたり、増収額1,496億円は全社増収額1,919億円の大半を占める。国内と米国の既存事業がリクシアナやヴェノファー等の減収で縮む一方、欧米のエンハーツ・ダトロウェイがそれを上回って全体を押し上げた構図だ。

ただし、増収の内訳には739億円の為替増収影響が含まれる。アストラゼネカとのプロフィット・シェア増による販管費の26.3%増、5DXd ADCsとNext Waveへの研究開発費2,401億円という支出構造も併せて見る必要がある。同社は5つのDXd ADCへのリソース集中とNext Wave創生を進め、2030年度までにDXd ADCに続く複数のBGT(Breakthrough Generating Technology)の特定を目指すとしている。通期予想を据え置いた判断と、累進配当・年間100円という還元方針は、この投資と還元の両立を前提に置いたものといえる。