増収増益、コア営業利益は46.8%増

協和キリン(コード番号4151、代表取締役社長アブドゥル・マリック)が2026年11月2日に公表した2026年12月期第3四半期決算短信によると、当第3四半期連結累計期間(2026年1月1日~9月30日)の売上収益は384,947百万円(前年同期比10.2%増)、コア営業利益は96,952百万円(同46.8%増)、税引前四半期利益は64,728百万円(同35.1%増)、四半期利益は51,673百万円(同58.5%増)となった。コア四半期利益は77,398百万円(同72.2%増)。基本的1株当たり四半期利益は98円70銭、基本的1株当たりコア四半期利益は147円83銭である。四半期包括利益合計額は50,058百万円(同92.5%増)となった。

会社側は増収の要因として、北米およびEMEAを中心としたグローバル戦略品の伸長に加え、技術収入の増加を挙げている。売上収益に係る為替の増収影響は198億円。コア営業利益については、海外売上収益や技術収入の増加に伴う売上総利益の増加に加え、研究開発費が減少したことを増益要因としており、為替の増益影響は85億円とされる。四半期利益は、契約損失および減損損失の計上によりその他の費用が増加したものの、コア営業利益の増加で増益となった。期中平均為替レートは米ドルが149円から159円、英ポンドが195円から213円、ユーロが165円から185円へと、いずれも円安方向に動いている。

なお同社は2026年12月期より、コアベースの業績指標の定義を変更した。新たなコア営業利益は、売上総利益から販売費及び一般管理費(無形資産償却費を除く)と研究開発費を控除し、さらに同社が判断する非経常的な損益を除外して算出する。従来のコア営業利益と比べ、無形資産償却費(販売権償却費)、持分法による投資損益、非経常的な損益を対象外とした。前年同期の数値もこの新定義を反映して算定されている。当期・前年同期とも、非経常的な損益として除外した項目はない。

2026年12月期の通期連結業績予想は修正がなく、売上収益520,000百万円(前期比4.7%増)、コア営業利益130,000百万円(同18.4%増)、税引前利益95,000百万円(同8.9%増)、当期利益75,000百万円(同11.9%増)、コア当期利益103,000百万円(同22.0%増)を据え置いた。配当は2026年12月期の第2四半期末が35円00銭、期末予想が35円00銭で年間70円00銭。2025年12月期の年間62円00銭から増配となる予想である。

日本は減収、北米とその他が牽引

地域統括会社別の売上収益は、日本が837億円(前年同期比6.7%減)、北米が1,485億円(同14.3%増)、EMEAが628億円(同0.7%増)、その他が900億円(同33.3%増)だった。

日本は、FGF23関連疾患治療剤クリースビータや腎性貧血治療剤ダーブロックが伸長した一方、発熱性好中球減少症発症抑制剤ジーラスタの売上減少、デパケン等の長期収載品の製造販売承認承継を進めていることによる影響、2025年4月および2026年4月に実施された薬価基準引下げの影響等で前年同期を下回った。ジーラスタはバイオ後続品と薬価引下げの影響を受けている。

製品別では、Crysvita/クリースビータが1,715億円(同16.9%増)、Poteligeo/ポテリジオが388億円(同15.2%増)、Libmeldy/Lenmeldyが73億円(同65.6%増)、フォゼベルが71億円(同19.2%増)、ダーブロックが128億円(同17.3%増)。一方、ジーラスタは105億円(同22.8%減)、ロミプレートは90億円(同22.1%減)と減少した。

EMEAでは、Kyowa Kirin International plcが2026年2月にエスタブリッシュト医薬品事業に関する残存資産をGrünenthal社に譲渡した結果、売上に応じたロイヤルティが減少した。また前年同期には、同事業の1ブランドに関する権利(知的財産)の合弁会社への譲渡に伴い61億円(30.6百万ポンド)の売上収益を計上しており、その反動減があった。「その他」の増加には、AstraZeneca社からのベンラリズマブに関する売上ロイヤルティの増加に加え、KHK4083/AMG 451(ロカチンリマブ)に関するAmgen社との提携契約終了に伴い、当該契約に係る契約負債残高を全額収益認識したことが寄与している。

当第3四半期連結累計期間の連結範囲の重要な変更としては、Orchard Therapeutics Limitedが除外された。

財務体質は改善、持分比率83.5%

第3四半期末の資産合計は10,884億円で前連結会計年度末から195億円減少、負債は1,798億円で347億円減少、資本は9,085億円で152億円増加した。親会社所有者帰属持分比率は80.6%から83.5%へ2.9ポイント上昇している。非流動資産の減少はEMEAのエスタブリッシュト医薬品の合弁事業譲渡に伴う無形資産やのれん等の減少による。

キャッシュ・フローは、営業活動が863億円の収入(前年同期は696億円の収入)、投資活動が266億円の支出(同416億円の支出)、財務活動が381億円の支出(同336億円の支出)。財務活動の主な支出要因は配当金の支払額351億円である。現金及び現金同等物の四半期末残高は2,411億円となった。

米国上市品と後期パイプラインの位置づけ

研究開発費の総額は677億円。2024年に策定したStory for Vision 2030に基づき、骨・ミネラル、血液がん・難治性血液疾患、希少疾患を重点領域としている。

注目されるのは、経口メニン阻害薬ziftomenib(米国製品名KOMZIFTI)の扱いである。2025年11月にFDAからNPM1変異を有する再発・難治性の成人AMLを適応症とする正式承認を取得し、米国で販売を開始した。Kura Oncology社との戦略的提携契約に基づき米国では50:50のプロフィットシェアを行うが、当第3四半期連結累計期間はネット損益がマイナスとなったため、売上収益ではなく販売費及び一般管理費に計上されている。つまり、上市直後の米国AML領域はまだ投資段階にあり、現在の増益はこれとは別の要因で生じていることになる。日本では2026年4月より第Ⅱ相試験を実施中、2026年8月に希少疾病用医薬品指定を取得した。

このほか、OTL-203(ムコ多糖症I型)がピボタル試験実施中、KK8398/infigratinibが軟骨無形成症で第Ⅲ相試験実施中・軟骨低形成症で第Ⅲ相試験準備中、OTL-200は日本で承認申請を完了し第Ⅲ相試験を準備中となっている。

今期の増益には為替(コア営業利益ベースで85億円)、技術収入の一時的な収益認識、研究開発費の減少といった複数の要素が重なっている。国内は薬価引下げと長期収載品の承認承継で縮小する一方、クリースビータを中心とした海外戦略品が売上の中核を担う構図が、数字の上でより鮮明になった四半期といえる。