何が発表されたか

Medii Eコンサルの「MS/NMOSD/MOGAD相談窓口」および「MG相談窓口」に寄せられた症例相談をもとにした解析が、第38回日本神経免疫学会学術集会で2題発表された。同社が2026年11月2日付のお知らせで明らかにした。

発表されたのは以下の2題である。

1題目は、ポスター6「MG・LEMS1」のセッションで発表されたP-34「MG診療における脳神経内科医と他科医師の診療実態比較―D to D相談データの後方視的解析―」。座長は聖マリアンナ医科大学 脳神経内科の櫻井謙三先生で、発表者も櫻井謙三先生である。

2題目は、ポスター8「NMOSD/MOGAD2」のセッションで発表されたP-46「医療デバイドは存在するか?―神経免疫疾患におけるDtoDオンライン相談システム441件の解析―」。座長は平塚市民病院 脳神経内科の田川朝子先生、発表者は埼玉医科大学総合医療センター 脳神経内科の深浦彦彰先生である。

解析の対象となった件数として資料に明示されているのは、P-46の演題名にある「441件」である。各演題の解析結果そのものについては、今回の資料には記載がない。

相談窓口に蓄積されたデータが研究材料に

今回の2題は、いずれも医師同士のオンライン相談(D to D相談)の記録を後方視的に解析したものとして演題名が付けられている。前提となっているのは、Medii Eコンサルが疾患領域ごとに設けている相談窓口である。資料で名前が挙がっているのは「MS/NMOSD/MOGAD相談窓口」と「MG相談窓口」の2つで、いずれも神経免疫領域にあたる。

同社は、こうして蓄積された症例相談データについて、研究に活用することが可能であるとしており、関心のある医師に対して問い合わせ窓口(https://medii.jp/contact)を案内している。つまり今回の学会発表は、相談サービスとして日々積み上がっていたやり取りが、学術集会の演題という形で外に出た事例にあたる。

学術集会のウェブサイトは https://square.umin.ac.jp/jsn38/index.html で公開されている。

「相談ログ」が診療実態のデータソースになりうること

ここからは解釈になる。

2題の演題名は、いずれも「誰がどう診ているか」という問いを立てている。P-34は、重症筋無力症(MG)の診療について脳神経内科医と他科医師の診療実態を比較するという設計である。P-46は「医療デバイドは存在するか?」と題し、神経免疫疾患に関する441件のD to Dオンライン相談を解析している。専門医とそれ以外の医師の間、あるいは地域や施設の間に差があるのかどうかを、実際の相談記録から検証しようとする構成といえる。

希少疾患や専門性の高い領域では、診療実態をとらえる手段そのものが限られる。レセプトデータや症例登録では拾いにくい「主治医が何に迷い、何を誰に尋ねたか」という情報が、相談窓口のログには残る。今回の2題は、その記録が後方視的解析の対象として学会の場に乗りうることを示したことになる。

製薬企業にとっても、この種のデータの位置づけは無視できない。自社の対象疾患において、どの診療科の医師がどのような点で判断に迷っているのかが可視化されれば、疾患啓発や情報提供の設計は変わりうる。ただし、今回の資料に記載があるのは演題名、セッション、座長・発表者、そして441件という件数までである。何が明らかになったのか、その中身は発表そのものを確認する必要がある。