16週ACR50は47.6%対37.1%

ユーシービージャパン株式会社(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:菊池加奈子)は2026年11月2日、ヒト化抗ヒトIL-17A/IL-17Fモノクローナル抗体製剤「ビンゼレックス」(一般名:ビメキズマブ(遺伝子組換え))とリサンキズマブを比較したBE BOLD試験の16週時点データを、10月28日から11月1日まで韓国ソウルで開催されたAPLAR 2026(アジア太平洋リウマチ学会)において10月31日(現地時間)に発表したと公表した。

無症状もしくは軽度の尋常性乾癬を伴う活動性乾癬性関節炎(PsA)の成人患者を解析対象とした主要解析では、主要有効性評価項目である16週時点のACR50達成率が、ビンゼレックス160mgの4週間隔投与群で47.6%、リサンキズマブ150mg投与群で37.1%となり、統計学的に有意な優越性が示された(p=0.0185)。この160mg・4週間隔という用量は、日本の承認用量にあたる。

24週時点のACR50達成率は、ビンゼレックス群54.4%、リサンキズマブ群44.1%で、数値上はビンゼレックス群が高かった(名目上のp値p<0.05)。4週時点のACR50達成率は19.0%対6.9%(名目上のp値<0.0001)だった。

一方、副次評価項目である16週時点の最小疾患活動性(MDA)達成率は42.3%対40.0%で、統計学的な有意差は認められなかった(p=0.6276)。16週時点のACR50+PASI100の達成率は34.5%対24.8%(名目上のp値=0.0645)だった。

安全性については、12週のフォローアップ期間を含む32週時点までで、ビンゼレックス群に新たな安全性シグナルは認められていない。治験薬投与下に認められた有害事象(TEAE)の発現率はビンゼレックス群58.9%、リサンキズマブ群57.4%、TEAEによる投与中止率は両群ともに1.2%だった。

IL-23阻害薬を対照にACR50で優越性検証を設計した試験

BE BOLD試験は、PsAを対象として、初めてIL-23阻害薬を対照にACR50による優越性検証を目的とした試験と位置づけられている。多施設共同、無作為化、二重盲検のリサンキズマブ対照並行群間試験で、活動性PsAを有する成人患者553例が組み入れられた。対象は生物学的製剤の投与歴がない患者、または腫瘍壊死因子(TNF)阻害剤を1剤使用したものの効果不十分・忍容性不良だった患者で、1:1の割合で両群に無作為に割り付けられた。主要評価項目は16週時点のACR50で、試験は24週時点まで二重盲検で実施される。

ビンゼレックスは、IL-17AとIL-17Fをともに選択的かつ直接的に阻害する。日本では2022年1月20日に既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、膿疱性乾癬、乾癬性紅皮症について製造販売承認を取得し、同年4月20日に販売を開始。2023年12月22日に既存治療で効果不十分なPsA、強直性脊椎炎およびX線基準を満たさない体軸性脊椎関節炎、2024年9月24日に化膿性汗腺炎の適応追加承認を取得している。現在は皮下注160mgシリンジ、160mgオートインジェクター、320mgオートインジェクターの3剤型が販売されている。

直接比較エビデンスが治療選択に与える材料

産業医科大学医学部 分子標的治療内科学特別講座の田中良哉特別教授は、PsA領域では直接比較試験によるエビデンスが限られているとしたうえで、「今回、日本の承認用量において16週時点のACR50達成率で対照薬に対する優越性が示されたことは、PsAの治療戦略を考えるうえで重要な知見です」とコメントしている。菊池社長は、日本の承認用量で治療を受けた患者を対象とした主要解析結果をAPLAR 2026で発表できたことについて「大変嬉しく思います」と述べた。

業界的に見れば、今回の発表は作用機序の異なる生物学的製剤同士を直接比較し、関節症状の指標で差を示した点に意味がある。IL-17A/F阻害とIL-23阻害という選択肢が併存するPsA治療で、プラセボ対照試験の間接比較に頼らずに済む材料が一つ増えた形だ。ただし優越性が示されたのは16週時点のACR50であり、MDAでは有意差が認められていない。24週時点のACR50やACR50+PASI100は名目上のp値にとどまる。対象も無症状もしくは軽度の尋常性乾癬を伴う患者とされており、どの患者層のどの指標についての差なのかを踏まえた読み取りが求められる。