何が起きたか

ノボノルディスク(Novo)は11月4日、2026年1月1日から9月30日までの期間に関する決算を公表し、2026年通期の調整後売上成長率を為替中立(CER)ベースで-2%〜+2%、調整後営業利益成長率も同-2%〜+2%へと見通しを引き上げた。会社は、この改善がGLP-1製品の売上見通しの上振れによるものだと説明している。

数字で見る第3四半期

第3四半期の純売上高はDKK 79,195百万で、DKKベース6%増、CERベース4%増。調整後売上も同額・同じ伸び率である。売上の伸びは、米国事業とインターナショナル事業の双方におけるGLP-1の数量成長によるもので、主たる牽引役は肥満症領域だった。

営業利益は二つの数字が併記されている。調整後営業利益はDKK 31,720百万で、DKKベース34%増、CERベース27%増。GLP-1の売上成長に加えて、2025年第3四半期に全社的な事業変革コストDKK 90億を計上していたことによる比較基準の低さが寄与した。

一方、報告ベースの営業利益はDKK 23,011百万で、DKKベース3%減、CERベース9%減。四半期中にDKK 87億の非資金性の減損を計上したことが要因で、内訳はziltivekimab関連がDKK 46億、製造ネットワークの適正化(right-sizing)関連がDKK 41億である。

1〜9月累計では、純売上高がDKK 254,506百万(DKKベース11%増、CER13%増)、営業利益がDKK 109,690百万(同14%増、18%増)。調整後では売上高DKK 227,746百万(同0%、CER2%増)、営業利益DKK 97,967百万(同5%増、CER8%増)となっている。

経口剤の立ち上がりとパイプライン

商業面では、第3四半期末までにWegovy®の経口剤が米国、UAE、英国、ドイツで発売され、第3四半期の売上はDKK 5,394百万に達した。その後さらに4か国で発売され、発売済み市場は合計8か国となった。Wegovy®フランチャイズは米国の新規患者導入(new patient starts)で首位を維持し、ブランド肥満症市場で50%超のシェアを占める。

Ozempic®の経口剤は5月に米国で発売され、週次の新規ブランド処方(NBRx)はRybelsus®ブランド時代の発売前水準と比べて約100%増の水準にある。Ozempic® 2.0 mgとWegovy® 7.2 mgの単回投与ペンは、インターナショナル事業でのグローバル展開が進行中としている。

パイプラインでは、肥満症領域でCagriSema(1.0/1.0 mg)がREDEFINE 9試験の68週時点で21%の体重減少を示した。経口zenagamtideの第3相AMAZE 9試験は9月に開始された。糖尿病領域では、2型糖尿病と肥満を併せ持つ成人を対象としたREIMAGINE 5試験で、CagriSema(1.0/1.0 mg)が60週時点でチルゼパチド5 mgの9.1%に対し12.4%の体重減少という優越性を示し、HbA1c低下では非劣性を示した。

血液・内分泌疾患領域では、Frehemgo®(denecimig)が9月17日にCHMPの肯定的見解を取得した。EUでの完全な承認を前提に、欧州での最初の発売は年末年始ごろを計画する。米国では審査が継続中で、規制当局の判断を前提に2027年上期の発売を見込む。

業界にとっての意味

今回の開示で目を引くのは、調整後と報告ベースの営業利益が逆方向に動いている点である。調整後はCERで27%増、報告ベースは同9%減。差分を生んだのは、ziltivekimabと製造ネットワークの適正化にかかるDKK 87億の非資金性減損だ。GLP-1の需要拡大に合わせて積み上げてきた生産能力と開発資産について、会社が規模の見直しを帳簿上で処理した四半期でもあったことになる。

もう一つは、成長の中身が注射剤から経口剤へ広がり始めていることだ。Wegovy®経口剤は8市場で発売済み、Ozempic®経口剤は米国でのNBRxが発売前比で約2倍。肥満症の処方が経口という投与経路を得たとき、処方の入り口がどこまで広がるかは、今後の四半期ごとの数字で検証されていく論点になる。

Mike Doustdar社長兼CEOは、米国事業とインターナショナル事業の双方が売上成長を実現した点を挙げ、規律ある実行と医薬品へのアクセス拡大に注力するとしたうえで、規制当局の承認を前提に2027年初頭の米国でのCagriSema発売に備えていると述べた。通期見通しのレンジが-2%〜+2%と、依然としてマイナス側を含んでいることも併せて読む必要がある。