事実:売上は2%減、だが主要3ブランドは33%増

テバ(Teva Pharmaceutical Industries、NYSE・TASE: TEVA)は2026年11月3日、2026年9月30日締めの第3四半期決算を公表した。

四半期売上高は43億9,500万ドルで、米ドルベース・現地通貨ベースともに前年同期比2%減。減収の主因は、米国セグメントにおけるレナリドミドカプセル(Revlimid®のジェネリック)の競合増加に伴うジェネリック医薬品売上の減少で、これを主要イノベーティブ医薬品の伸びが一部相殺した。為替変動(ヘッジ効果控除後)は売上に500万ドルのプラス影響だった。

一方、主要イノベーティブブランド3品目は合計で約11億ドルを計上し、現地通貨ベースで前年同期比33%増となった。内訳は以下のとおり。

  • AUSTEDO:グローバル売上7億5,100万ドル(現地通貨ベース21%増)。2026年通年見通しを24.5億〜26.0億ドルから25.5億〜26.5億ドルへ引き上げ
  • AJOVY:グローバル売上2億6,900万ドル(同61%増)。通年見通しを8.5億〜8.7億ドルから9.3億〜9.6億ドルへ引き上げ
  • UZEDY:売上8,500万ドル(同96%増)。通年見通しを2.7億〜2.9億ドルから2.9億〜3.1億ドルへ引き上げ

収益性も改善した。売上総利益は24億4,000万ドル(前年同期23億400万ドル)、売上総利益率は55.5%で前年同期の51.4%から上昇。non-GAAP売上総利益率は58.7%と345ベーシスポイント改善し、2025年第4四半期に受領したduvakitug(抗TL1A)の開発マイルストン5億ドルを除けば、過去10年で最も高い四半期水準となった。営業利益は7億1,400万ドル、non-GAAP営業利益は13億9,300万ドル。希薄化後EPSは0.20ドル、non-GAAPでは0.86ドル(前年同期比10%増)。GAAP純利益は2億3,300万ドル、調整後EBITDAは15億ドル(7%増)。営業活動によるキャッシュフローは2億4,100万ドル、フリーキャッシュフローは4億9,500万ドル(4%減)だった。

2026年通年見通しは、売上高167億〜170億ドル、non-GAAP営業利益38億〜39億ドル(取得IPR&D費用8.7億ドルを含む)、調整後EBITDA42.3億〜44.3億ドル、non-GAAP希薄化後EPS1.92〜2.11ドル(IPR&D影響0.71ドルを含む)、フリーキャッシュフロー21億〜24億ドルとされた。

背景:「Pivot to Growth」4本柱の進捗

今回の発表は、同社が掲げる「Pivot to Growth」戦略の4本柱に沿って整理されている。

成長エンジンでは、2026年10月に米FDAがWELTRUZAを承認し、米国で発売。UZEDYと合わせた統合失調症向け長時間作用型注射剤(LAI)ポートフォリオで、ピーク時売上15億〜20億ドルを目標に置く。

イノベーション面では、小児トゥレット症候群を対象とする選択的D1受容体アンチアゴニスト候補ecopipam(EBS-101)のNDAがFDAに受理され、アクションデートは2027年第1四半期が見込まれる。抗IL-15(TEV-'408)はセリアック病の第2a相で良好な結果を得て、白斑を対象とする第2b相を2026年第4四半期に開始する計画。他方、多系統萎縮症(MSA)を対象とするemrusolmin(TEV-'286)の第2相試験は、中間無効性解析で主要評価項目達成の確率が低いと示されたため中止された。事業開発では、BioXcel Therapeuticsから BXCL-501(デクスメデトミジン舌下フィルム)を取得。成人の統合失調症または双極I型・II型障害に伴う急性激越の在宅使用の可能性についてFDA審査中である。

ジェネリック事業は、グローバル売上が現地通貨ベースで16%減となった一方、バイオシミラーが拡大。2026年のバイオシミラー売上は8億ドル超が見込まれ、当初の2027年目標を1年前倒しで達成する見通しだ。サムスンバイオエピスとの協業も深化し、インフリキシマブ-abda(Remicade®のバイオシミラー)とエタネルセプト-ykro(Enbrel®のバイオシミラー)2品目の商業化を追加した。

財務面では、第3四半期にMoody'sとS&Pが投資適格級へ格上げし(Fitchは先行して格上げ済み)、約49億ドルの債務をリファイナンス。普通株のNYSEへの直接上場も実施した。2027年末までにレバレッジ2倍を目指す。変革プログラムでは、2027年までにnon-GAAP営業利益率30%、約7億ドルの純コスト削減(うち約3分の2を2026年に実現見込み)を掲げる。また、米政権との最恵国待遇(MFN)合意が最終化され、一部の将来のイノベーティブ製品の上市に関する将来の価格コミットメントが含まれる。

意味:減収下での利益率改善が示すもの

今回の数字でまず目を引くのは、売上が2%減る一方で売上総利益率が4ポイント以上改善した点だ。ジェネリックの主力品だったレナリドミドの収益が競合で縮む局面でも、製品ミックスの変化が粗利を押し上げる構図が成立し始めている。収益の質が、売上規模の変動から相対的に切り離されつつあると読める。

3ブランドすべてで通年見通しを引き上げたことは、四半期の一時的な上振れではなく、年間を通じた需要の確度が高まったという経営側の判断を示す。特にAJOVYの61%増、UZEDYの96%増は、立ち上がり段階の製品が規模の段階に入りつつあることを意味する。UZEDYにWELTRUZAが加わることで、LAI領域は単品依存から複数製品のフランチャイズへ移行する。

もっとも、通年見通しのnon-GAAP営業利益・EPSには8.7億ドル(EPS換算0.71ドル)の取得IPR&D費用が含まれており、事業開発を通じた成長の取り込みが、足元の会計上の利益を圧迫する構図も同時に示されている。BXCL-501の取得やサムスンバイオエピスとの協業拡大は、その対価を今期の損益に計上しながら次の製品群を積み上げる選択といえる。

バイオシミラー目標の1年前倒し達成見込みは、ジェネリック事業の内実が「数量と価格の消耗戦」から「複雑ジェネリックとバイオシミラー」へ移る過程にあることを裏づける。MSA試験の中止が同じ発表に並記されている点も含め、パイプラインの取捨選択を進めながら年1製品以上の上市を5年続けるという目標を、どこまで実績で埋められるかが次の焦点になる。