増収、営業増益、最終減益

エムスリー(東証、コード2413、代表取締役・谷村格氏)は2026年11月4日、2027年3月期第2四半期(中間期、2026年4月1日~2026年9月30日)の決算短信[IFRS・連結]を公表した。半期報告書の提出予定日は2026年11月13日で、アナリスト・機関投資家向けの決算説明会も開催するとしている。

当中間期の売上収益は181,853百万円で前年同期比6.4%増、営業利益は36,335百万円で同1.0%増。これに対し税引前中間利益は36,620百万円(同0.2%減)、中間利益は22,623百万円(同10.7%減)、親会社の所有者に帰属する中間利益は19,997百万円(同11.9%減)と、下にいくほど減益幅が広がる形になった。基本的1株当たり中間利益は29円98銭(前年同期は33円47銭)。

営業段階から税引後にかけての落差の一因は税負担にある。法人所得税費用は前中間期の11,361百万円から当中間期は13,997百万円に増えた。さらに、在外営業活動体の換算差額が前中間期の2,127百万円のプラスから当中間期は3,787百万円のマイナスに転じ、その他の包括利益合計は3,578百万円の損失。中間包括利益合計は19,044百万円で、前年同期比32.0%減となった。

セグメントは明暗が分かれる

主力のメディカルプラットフォームは、売上収益54,384百万円(前年同期比4.6%増)、セグメント利益18,487百万円(同3.5%増)。短信は、2026年7月に連結を開始した株式会社ワイズマンの新規連結効果と、電子カルテ等を提供する医療現場のDX化支援事業の堅調を増収要因に挙げる。一方で「利益率の高い製薬マーケティング支援事業の売上が前年同期比で減少した」と明記し、医療機関向け支援事業での減損損失の戻入計上などで増益を確保したと説明している。

製薬企業の治験を支えるエビデンスソリューションは、売上収益11,713百万円(同3.8%減)、セグメント利益1,973百万円(同15.3%減)。前年同期にあった収益性の高い案件や大型案件の貢献が剥落したためとする。キャリアソリューションは薬剤師向け派遣サービスを中心に売上が減り12,686百万円(同3.7%減)となったが、収益ミックス改善でセグメント利益は4,438百万円(同2.2%増)と増えた。

サイトソリューションは売上収益28,735百万円(同9.3%増)に対し、セグメント利益は930百万円(同45.1%減)。ホスピス事業における診療報酬改定に伴う単価低下、医療機関事業(海外)や居宅訪問看護事業の新規開設に向けた先行投資費用の増加が理由として挙げられている。逆にペイシェントソリューションは売上収益30,229百万円(同10.5%増)、セグメント利益2,011百万円(同90.7%増)。CSセットの新規契約獲得に加え、前期第4四半期からのオリジナル患者衣の会計上の取扱い変更、投資関連の一過性利益が寄与した。海外は売上収益45,447百万円(同10.7%増)、セグメント利益9,854百万円(同10.4%増)で、円安の為替影響と収益ミックス改善が挙げられている。

のれん・無形資産が膨らむ

財政状態では、資産合計が前期末比21,011百万円増の658,406百万円。内訳では、新規連結子会社の取得等によりのれんが17,851百万円、無形資産が19,578百万円増えた一方、現金及び現金同等物は9,824百万円、その他の金融資産は9,452百万円減った。非流動負債は、新規連結子会社の取得に伴う契約負債の増加を主因にその他の非流動負債が16,205百万円増え、109,708百万円となった。

資本合計は1,386百万円減の445,262百万円。親会社の所有者に帰属する中間利益19,997百万円を計上した一方、自己株式の取得3,500百万円と剰余金の配当14,683百万円を実施したことなどによる。親会社所有者帰属持分比率は64.0%から61.8%に低下した。期末自己株式数は13,671,139株(前期末11,695,137株)、期中平均株式数は667,118,584株(前年同期678,474,600株)となっている。

通期予想は据え置き、配当は未定

2027年3月期通期の連結業績予想は修正せず、売上収益400,000百万円(前期比13.8%増)、営業利益80,000百万円(同8.8%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益53,000百万円(同7.9%増)を据え置いた。中間期の売上収益181,853百万円は、通期予想400,000百万円に対しておよそ45%の進捗にあたる。配当は、2026年3月期が期末22円00銭だったのに対し、2027年3月期は第2四半期末0円00銭で、通期の予想額は「未定」。今後の資金需要動向とキャッシュ・フローの状況を勘案して水準を決めるとしている。

製薬業界から見ると、この中間決算が示すのは収益源の構成変化である。短信が自ら「利益率の高い製薬マーケティング支援事業の売上が前年同期比で減少した」と記した一方、増収を牽引したのは電子カルテなど医療現場のDX化支援、ワイズマンの新規連結、CSセットなど患者向け事業、そして海外だった。製薬企業向けのデジタル・プロモーション支出に依存しない収益の比重が、のれんと無形資産の増加を伴いながら高まっている構図が、数字の上で確認できる。なお本決算短信は公認会計士または監査法人のレビュー対象外である。