アムジェンは2026年10月24日(米国時間)、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の一次治療における維持療法として、イムデトラ(一般名:タルラタマブ)とアストラゼネカのイミフィンジ(一般名:デュルバルマブ)を併用することで、デュルバルマブ単剤と比べ死亡リスクが58%低下したとする第Ⅲ相DeLLphi-305試験の中間解析結果を発表した。なお、本リリースは米国本社の発信を日本語に翻訳したもので、イムデトラの一次治療における維持療法は国内において未承認である。

OS中央値21.1カ月、1年生存率は約80%

DeLLphi-305試験は、デュルバルマブ、プラチナ製剤を含む化学療法およびエトポシドによる初回治療後に病勢進行が認められなかったES-SCLC患者563人を、併用群とデュルバルマブ単剤群に1対1で無作為に割り付けた国際共同第Ⅲ相無作為化非盲検試験。主要評価項目は全生存期間(OS)、副次評価項目に無増悪生存期間(PFS)と客観的奏効率(ORR)を置く。アストラゼネカが一部資金を提供し、デュルバルマブを供給している。

追跡期間中央値約16カ月時点で、死亡リスクはハザード比0.42(95%CI:0.32–0.54、P<0.001)、OS中央値は単剤群12.7カ月に対し併用群21.1カ月と、8カ月を超える延長が認められた。1年時点の生存率は併用群が約80%(95%CI:74.2–83.7%)、単剤群が53%(同47.3–59.0%)。追跡期間中央値13.9カ月時点のPFS中央値は7.4カ月対1.9カ月(HR:0.34、95%CI:0.28–0.42、P<0.001)で、病勢進行または死亡のリスクは66%低下した。ORRは26.4%対4.1%で6倍超。OS・PFSのベネフィットは事前規定サブグループ全体で認められ、従来予後不良とされてきた脳転移または肝転移のある患者群も含まれた。結果は欧州臨床腫瘍学会(ESMO)2026年年次総会のプレジデンシャル・シンポジウム(抄録番号LBA3)で発表され、『The New England Journal of Medicine』に同時掲載された。

安全性はCRSが49.6%、大半はグレード1〜2

グレード3以上の治療関連有害事象は併用群20.9%、単剤群10.8%。併用群で多かったのは好中球数減(3.2%)、食欲減退(2.1%)、好中球減少症(2.1%)、無力症(1.8%)、体重減少(1.8%)など。サイトカイン放出症候群(CRS)はイムデトラ投与例の49.6%に認められたが、大部分はグレード1(41.8%)またはグレード2(7.4%)で、グレード3は1件(0.4%)、グレード4以上はなかった。ICANSは1.1%で、グレード3以上はなし。試験デザイン上、サイクル1の1日目と8日目に医療機関で1〜2時間(欧州を含む一部地域では6〜8時間)の経過観察を行うこととされていた。

他ラインのデータと合わせ、投与の前倒しを狙う

ESMOでは他ラインのデータも示された。第Ⅰb相DeLLphi-303試験(抄録3821P)では、追跡期間中央値30.8カ月時点で、イムデトラと抗PD-L1療法を併用した一次治療維持療法の開始からのOS中央値が37.9カ月(95%CI:22.5–未到達)、2年生存率は58.1%。治療歴のある患者を対象とした第Ⅲ相DeLLphi-304試験(抄録3808O)では、23カ月追跡後もOS中央値13.6カ月対化学療法8.4カ月、死亡リスク38%低下(HR:0.62、95%CI:0.51–0.76)が維持された。

資料によれば、SCLCは世界で年間260万例を超える新規肺がんの約13〜15%を占め、一次治療の維持療法開始からの生存期間中央値は約1年、二次治療を受ける患者は約40%にとどまる。二次治療以降で築かれてきたDLL3標的T細胞エンゲージャーのエビデンスを、進行前の維持療法という「より早い段階」へ移すのが今回の意味であり、アムジェンのJay Bradner氏は世界各国の規制当局と結果を速やかに共有するとしている。限局型を対象とするDeLLphi-306、導入+維持を評価するDeLLphi-312、皮下投与のDeLLphi-308・315など試験群も広がっており、日本の臨床現場にとっては、承認申請の動向とCRS管理を含む投与体制が今後の論点になる。