レンジ予想を上限値に一本化

ネクセラファーマ株式会社(東証プライム・4565)は2026年11月4日、2026年2月13日に公表していた2026年12月期(2026年1月1日~2026年12月31日)の連結業績予想を修正したと発表した。

従来予想は売上収益33,800~48,800百万円、コア営業損益7,800~22,800百万円、営業利益700~15,700百万円のレンジだった。今回の修正では、それぞれ売上収益48,800百万円、コア営業利益22,800百万円、営業利益15,700百万円と、レンジの上限値にあたる特定値に置き換えられた。レンジの上限と同額であるため、増減額・増減率はいずれも「-」と記載されている。

参考として示された前期(2025年12月期)実績は、売上収益29,615百万円、コア営業損益△352百万円、営業利益△8,462百万円である。

修正の理由はアッヴィとのEP4作動薬ライセンス契約

修正の理由として同社が挙げたのは、子会社であるNxera Pharma UK Ltdが同日、AbbVie Inc.との間で締結したグローバルな独占的ライセンス契約である。対象は、同社が創製した新規低分子EP4受容体作動薬NXE0033744を含むEP4作動薬プログラム。本契約に基づき、ネクセラは契約一時金として1億米ドルを受領する。

この契約一時金は、取引が2026年12月31日までに完了すること、および同社グループの会計監査人との合意が得られることを前提に、2026年12月期第4四半期の売上収益として認識される見込みだ。今回の業績予想では、1米ドル=157.8円の想定為替レートを用い、15,780百万円を売上収益に計上することを前提としている。

本取引は、米国のHart-Scott-Rodino Antitrust Improvements Act(HSR法)に基づくものを含む、通例の独占禁止法上のクリアランス取得が条件となる。同社は、これらの前提に重要な変更が生じた場合や、今後開示すべき事項が生じた場合には速やかに知らせるとしている。

「概算」から「確定額」へ——レンジ開示が意味していたもの

今回の発表で注目されるのは、従来予想の上限値について同社が説明を加えた点だ。資料によれば、従来の業績予想の上限値には「重要な新規提携に伴う契約一時金を概算で織り込んでいた」という。つまり同社は、期初の時点で大型提携の成立を見込んだ金額をあらかじめレンジの上側に組み込んで開示しており、今回はその概算が、実際の契約金額と想定為替レートに置き換わった形になる。

結果として上限値と同額に着地したことは、期初に織り込んだ概算と、実際に締結された契約一時金および為替前提が、売上収益ベースでほぼ重なったことを示している。レンジ開示という手法が、提携交渉の進行中という不確実性を抱えた創薬企業にとって、どのように機能しうるかを示す一例といえる。

また、前期のコア営業損益が△352百万円、営業利益が△8,462百万円だったのに対し、今期予想はコア営業利益22,800百万円、営業利益15,700百万円となっている。この水準が、1億米ドル(15,780百万円)の契約一時金計上を前提に組み立てられている点は、業績の構造を読むうえで押さえておきたい。

ネクセラファーマは、独自のNxWave™創薬プラットフォームを活用し、探索から後期臨床段階にある30品目を超えるプログラムからなるパイプラインを、自社または大手製薬企業・バイオ医薬品企業との提携により推進しているとしている。重点領域は神経疾患・神経精神疾患、代謝性疾患、免疫疾患・炎症性疾患などで、東京、大阪、ロンドン、ケンブリッジ、バーゼル、ソウルに主要拠点を置く。今回のEP4作動薬プログラムの導出は、この提携主導型モデルが業績予想の確定にまで直結した事例となる。