何が発表されたか

Gilead Sciences, Inc.(Nasdaq: GILD)と同社傘下のKiteは2026年11月4日、米カリフォルニア州フォスターシティ発のプレスリリースで、2026年12月12日から15日に開催される第68回米国血液学会(ASH)年次総会・展示会において、口頭発表7件を含む計23演題を発表すると明らかにした。

中心となるのは、再発・難治性多発性骨髄腫(RRMM)を対象とする治験中のCAR-T細胞療法アニトカブタジン オートルユーセル(anito-cel)の第2相iMMagine-1試験の最新解析である。3ライン以上の前治療歴(骨髄腫の主要3クラスすべての治療を含む)を有する患者を対象とした非盲検・単群・多施設試験で、最短18カ月の追跡データとして無増悪生存期間(PFS)と全生存期間(OS)の解析、および安全性の更新データが示される。発表は12月12日午後2時30分からの口頭演題(Abstract #273)に組まれている。

リリースは、iMMagine-1のデータが米食品医薬品局(FDA)に提出された生物学的製剤承認申請(BLA)の根拠であり、現在審査中で、処方薬ユーザーフィー法(PDUFA)の目標日が2026年12月23日であることを明記している。

KiteのGlobal Head of Development(上級副社長)であるGallia Levy, MD, PhD は「血液がんとともに生きる人々は、奏効以上のもの、すなわち病からの持続的な解放の可能性に値する」と述べ、次世代細胞療法の推進への取り組みを強調している。

骨髄腫、リンパ腫、自己免疫領域の内訳

骨髄腫領域では、anito-celと二重特異性抗体や他のCAR-T療法を比較するマッチング調整間接比較(MAIC)が2件示される。対象はテクリスタマブとタルケタマブ(Abstract #4042)、およびシルタカブタジン オートルユーセル(Abstract #4043)で、いずれもiMMagine-1の延長追跡データを用いた解析である。また、スペインのPETHEMA財団との共同研究として、新規診断の多発性骨髄腫を対象とする非盲検・非無作為化の第2相GEM-AnitoFIRST試験から、導入療法後にanito-celを投与した際の早期安全性、奏効、MRDの結果が報告される(Abstract #6579)。

リンパ腫領域では、Yescarta(アキシカブタジン シロルユーセル、axi-cel)の長期・実臨床データが並ぶ。化学免疫療法2サイクル後もPET陽性が残る高リスク大細胞型B細胞リンパ腫(LBCL)の一次治療としてaxi-celを評価した前向き第2相ZUMA-12試験の5年追跡(Abstract #1912)に加え、フランスのLYSA/LYSARCによるDESCAR-Tレジストリを用いた2次治療対3次治療の傾向スコアマッチング解析(Abstract #614)、カナダ単施設での外来でのaxi-cel投与の実施可能性と安全性(Abstract #2632)、一次化学免疫療法後の晩期再発LBCLを対象とするGELTAMO LATE-R試験の第2回中間解析(Abstract #1031)などが発表される。このほか、高リスクの再発・難治性LBCLに対する倍量axi-celの第1b相ENCORE-1試験(Abstract #703)、ブリッジング放射線照射を用いる前向き試験(Abstract #613)、CD19陽性リンパ腫に対するアーマード型TmCD19-IL18 CAR-T(Abstract #1056)、第1相PALISADES-1試験のKITE-753の更新結果(Abstract #5944)も含まれる。

自己免疫領域では、Lakefront Biotherapeuticsとの提携で開発中のBCMAxCD3二重特異性T細胞エンゲージャー、ガムガータミグ(gamgertamig、CM336/OM336)の初の世界的な臨床経験が示される(Abstract #3008)。進行中の2つの第1b相試験(NCT07082960ではなくNCT07083960、NCT07175493)から、最長3週間の短期皮下投与を再発・難治性の自己免疫性血球減少症(AIC)に行った結果として、免疫性血小板減少症(ITP)と自己免疫性溶血性貧血(AIHA)それぞれについて、3つの用量コホートにわたる奏効、奏効までの時間、持続性のデータが報告される。

業界にとっての意味

今回のラインアップは、承認審査中の製品、既承認製品の長期エビデンス、次世代パイプラインの三層が同じ学会で同時に示される構成になっている。anito-celはPDUFA目標日が学会会期の直後に設定されており、18カ月追跡のPFS・OSデータと、既存の二重特異性抗体・CAR-Tとの間接比較が同時期に公開される。承認の可否とは別に、臨床現場が複数の選択肢を比較する際の材料が、審査の節目と重なって出てくる形である。

Yescartaについては、5年という期間の一次治療データと、フランス、カナダ、ウェールズといった複数地域の実臨床データが並ぶ。外来投与の実施可能性や、新たに認定された治療施設を含むレジストリ解析、アクセスに関する検討が含まれる点は、CAR-Tの論点が有効性の実証から提供体制の設計へ広がっていることを示す。

ガムガータミグは、BCMAを標的とする技術を自己抗体が関与する免疫介在性疾患に向ける試みで、最長3週間の短期皮下投与という設計が示されている。細胞療法・T細胞エンゲージャーの応用先ががん以外に広がるかどうかを見るうえで、初期データの内容が注目点となる。