中間期は増益と減益が同居

キッセイ薬品工業(東証、コード4547)は2026年11月4日、2027年3月期第2四半期(中間期、2026年4月1日~2026年9月30日)の連結決算を発表した。売上高は45,503百万円(前年同期比0.7%減)、営業利益は1,694百万円、経常利益は2,923百万円となり、いずれも前年同期の営業損失6,837百万円、経常損失5,622百万円から黒字に転換した。一方、親会社株主に帰属する中間純利益は5,191百万円(同33.3%減)と減益となった。1株当たり中間純利益は124円88銭。包括利益は675百万円(同93.2%減)だった。

営業・経常段階の黒字転換の要因として会社は、前年度に計上した技術導入に係る研究開発費の反動減などを挙げている。販売費及び一般管理費は前年同期の29,525百万円から20,015百万円に減少した。他方、売上原価率はタブネオスや技術料売上の減少に伴う売上構成の変化により上昇している。

中間純利益の減少は特別損失による。タブネオスの製造販売承認取消しを含む行政手続きが進められていることに鑑み、棚卸資産や長期前払費用などタブネオスに関する資産について、減損損失2,162百万円、棚卸資産評価損2,125百万円を計上した。特別損失合計は4,313百万円。特別利益には投資有価証券売却益8,040百万円が含まれる。

中間期末の総資産は266,852百万円で前連結会計年度末比8,234百万円減、純資産は229,564百万円で同1,971百万円減。自己資本比率は83.7%から85.5%に上昇した。

医薬品は減収、情報サービスが伸長

セグメント別では、医薬品事業の売上高が37,401百万円(前年同期比2.5%減)。2026年5月に安全性速報(ブルーレター)を発出した顕微鏡的多発血管炎・多発血管炎性肉芽腫症治療薬タブネオスは3,140百万円(同44.0%減)と大きく落ち込んだ。2026年3月に新発売した創製品の子宮筋腫治療薬イセルティに加え、過活動膀胱治療薬ベオーバ、透析患者のそう痒症治療薬コルスバ、持続性及び慢性免疫性血小板減少症治療薬タバリスが伸長し、コ・プロモーションフィーも拡大したが、輸出や技術料売上などの海外ライセンス収入の減少を補えなかった。

医薬品以外では、情報サービス事業が受注増により6,517百万円(同27.7%増)。建設・施設メンテナンス事業は工事案件の延期などにより1,067百万円(同42.9%減)、物品販売事業は517百万円(同1.0%増)だった。

経営環境について会社は、2026年4月に2018年度から9年連続となる薬価改定が行われ、市場拡大再算定の「共連れ」ルールは廃止されたものの、選定療養制度における先発品の患者負担割合の増加や長期収載品の薬価引き下げ圧力の強まりなどで、薬剤費全体の伸びは抑制傾向が続いていると説明している。

タブネオスをめぐる経緯

タブネオスについては、2026年5月15日から慎重な投与を要請する情報提供活動を開始し、同年5月21日に重篤な肝機能障害に関する添付文書改訂とブルーレター発出を行った。さらに同社は厚生労働大臣から、欧米で問題とされている国際共同第III相臨床試験データの信頼性と本剤の安全性に関する事実確認と報告を求める報告命令を受領し、これに回答している。

2026年10月21日の薬事審議会医薬品第二部会では、同社の回答書に対する厚生労働省の確認結果として、承認審査時の提出資料の信頼性に問題があり得ること、本剤による治療上の有益性がリスクを上回ると判断することが困難であることが確認された。あわせて、対象疾患は重篤な希少疾病であり、投与中の患者の治療変更は病状や他の治療選択肢を踏まえ個別に判断する必要があるとされた。これを受け厚生労働省は同日付で、当面の間の投与に関する対応を医療機関等に要請する通知を発出し、同社は通知内容を踏まえた医薬情報提供活動を開始している。

研究開発では、CGオンコロジー社(米国)から導入したCretostimogene grenadenorepvec(開発番号CG0070)について、中リスク筋層非浸潤性膀胱がんを適応症とする国内第II相臨床試験を2026年9月から開始。ライジェルファーマシューティカルズ社(米国)から導入したオルタシデニブは、2026年5月に再発又は難治性のIDH1遺伝子変異陽性急性骨髄性白血病を適応症として国内承認申請を行い、オリエントユーロファーマ社(台湾)に台湾での開発権・販売権を許諾した。ホスタマチニブ(国内販売名タバリス)は2026年7月に台湾のサブライセンス先が承認申請を行っている。

通期予想を修正、利益は上下に分かれる

通期予想は修正された。売上高は当初見通し(2026年7月)の88,700百万円から300百万円増額し89,000百万円(前年度比8.6%減)。医薬品事業ではタブネオスの見通しを再精査して1,500百万円減額する一方、情報サービス事業の受注増などその他の事業で1,800百万円増額した。

営業利益は500百万円増額の2,500百万円、経常利益は400百万円増額の4,400百万円。研究開発費は計画を維持したうえで、中間期にタブネオス関連の長期前払費用を特別損失に計上したことによる減価償却費の減少や経費配分の見直しを織り込んだ。一方、親会社株主に帰属する当期純利益は中間期の特別損失計上の影響で3,300百万円減額し10,000百万円(前年度比27.4%減)とした。特別損益では年度後半の投資有価証券売却益6,000百万円を見込み、通期では当初見通しどおり14,000百万円を計画する。

配当は、2027年3月期の第2四半期末が105円00銭(創立80周年記念配当40円を含む)、期末予想が65円00銭で年間170円00銭。配当予想からの修正はない。

数字の並びが示すのは、本業の採算は前年度の研究開発費の反動減で改善した一方、主力の一角だったタブネオスの販売減と資産の損失処理が、最終損益と通期計画の下振れ要因として残ったという構図である。行政手続きが継続中であることを前提に通期見通しが組まれている点も、今回の開示の特徴といえる。