四半期売上は92.1百万ドル、米国が73%
Rhythm Pharmaceuticals(Nasdaq: RYTM、本社・ボストン)は2026年11月3日、2026年9月30日に終了した第3四半期の財務結果と事業アップデートを発表した。
IMCIVREE(セトメラノチド)の世界売上高(net product revenue)は92.1百万ドル。2025年第3四半期の51.3百万ドルから増加し、2026年第2四半期比では29%増となった。償還下で治療を受けている患者数は、全世界で第2四半期比20%増えた。
内訳は、米国が67.5百万ドルで製品売上の73%。第2四半期比で16.5百万ドル、32%の増加となった。会社は、後天性視床下部性肥満(acquired HO)におけるIMCIVREEの患者需要の増加と、バルデ・ビードル症候群(BBS)での需要の継続的な伸びが主因だと説明している。米国外は24.7百万ドルで27%を占め、第2四半期比で4.4百万ドル、22%の増加。
米国では2026年3月19日にFDAが後天性HOへの適応を承認しており、9月30日時点で500人を超える処方医から700件超のpatient start form(投与開始申込書)を受領した。
損益面では、第3四半期のR&D費用が52.5百万ドル(前年同期46.0百万ドル)、SG&A費用が66.8百万ドル(同52.4百万ドル)。SG&Aの増加は、事業拡大に伴う人件費(株式報酬を含む)の増加が主因とされる。その他収益(費用)純額はマイナス1.5百万ドル(同マイナス0.1百万ドル)。普通株主に帰属する純損失は42.4百万ドル、基本・希薄化後1株当たり0.61ドルの損失で、前年同期の54.3百万ドル(1株当たり0.82ドル)の損失から縮小した。
9カ月累計では、売上高が223.5百万ドル(前年同期137.5百万ドル)、R&Dが137.6百万ドル(同125.3百万ドル)、SG&Aが197.8百万ドル(同137.5百万ドル)。SG&Aの増加要因として、米国と日本での後天性HO向けローンチに関わるマーケティング・プロモーション費用が挙げられている。
日本では8月に承認、10月に発売
日本については、2026年8月24日に厚生労働省がIMCIVREEを後天性HOの患者向けに承認したことを発表し、10月13日に同適応での販売開始を公表した。David Meeker会長兼CEO兼社長は、日本でのローンチについて「当社にとって2番目に大きな市場となる可能性を持つ市場における、もう一つの重要なマイルストーンだ」と述べている。
地域展開はこのほか、9月22日にカナダ保健省が4歳以上の成人・小児の後天性HOにおける体重管理でIMCIVREEを承認、8月11日には英国で後天性HO(視床下部の損傷・機能障害に起因)の肥満治療および空腹感のコントロールについて販売承認が拡大された。欧州では2027年にドイツを皮切りに国別のローンチを始める計画だ。
LG化学とのロイヤルティ再編と最大7.5億ドルの借入枠
2026年11月2日、同社はLG化学とのbivamelagonに関する独占ライセンス契約の変更を発表した。変更後の条件では、Rhythmが4年間で合計350百万ドルを固定額として支払う代わりに、当初契約にあったlow-to-mid single digit(低〜中一桁%)のロイヤルティを、同社MC4Rポートフォリオの製品売上高に対する1%へ引き下げる。
同じ11月2日、KKR傘下のHealthCare RoyaltyがリードしBlackstone Life Sciencesが参加する5年の期間ローン枠を設定し、最大750百万ドルの資金にアクセスできるようにした。あわせてHealth Care Royaltyとの間でRevenue Interest Financing Agreementを修正・再締結している。
9月30日時点の現金・現金同等物および短期投資は約320.9百万ドルで、2025年12月31日時点の388.9百万ドルから減少した。この数字には、ローン枠からの初回引き出し250百万ドルと、LG化学への70百万ドルの支払いは含まれていない。
2026年12月期の見通しとしては、Non-GAAP営業費用を約360百万〜380百万ドルと想定。GAAPベースではR&Dが約165百万〜175百万ドル、SG&Aが約195百万〜205百万ドルで、株式報酬を除いたものがNon-GAAP営業費用となる。
パイプラインは次世代MC4R作動薬へ
開発面では、bivamelagonをプラダー・ウィリ症候群(PWS)で pivotal 開発に進めることを明らかにした。直近のマイルストーンとして、2026年末までに後天性HOを対象としたbivamelagonの pivotal な第3相試験を開始し、2027年にはFDAとの合意を前提にPWSでの6カ月間のhyperphagia(過食)試験を始める計画。RM-718については、PWSを対象とする第1/2相Part D試験の組み入れを2026年下期に完了する見込みとしている。先天性HOにおけるセトメラノチドのサブスタディの組み入れ完了は2027年を予定する。
学会発表では、2026年11月14〜17日のObesityWeek 2026で5演題が採択された。後天性HOの定義と診断基準に関する国際的な専門家コンセンサス、TRANSCEND試験の患者報告アウトカム、セトメラノチドの第3相最終結果および2年間の結果などが含まれる。9月10日には第64回欧州小児内分泌学会(ESPE)での6演題を公表しており、フランスの早期アクセスプログラムを通じた最長18カ月の実臨床データなどが報告された。
商業面では米国の立ち上がりが2四半期で売上を押し上げ、同時に日本・カナダ・英国へと承認地域が広がった。一方で費用は前年同期比で増え、資金面ではロイヤルティ負担の固定化と最大750百万ドルの借入枠という形で手当てされた。IMCIVREEの収益拡大を、bivamelagonとRM-718という次世代MC4R作動薬の後期開発に振り向けられるかが、今後の焦点になる。