四半期は横ばい、調整後EBITDAは12.0億ドル

米ヴィアトリス(Nasdaq: VTRS)は2026年11月5日、ピッツバーグ発で2026年第3四半期(7〜9月期)の決算を公表した。総売上高は37億4,950万ドルで、前年同期の37億5,990万ドルから報告ベース・実勢ベースとも横ばい。米国会計基準(U.S. GAAP)の純損失は3億2,530万ドル(1株当たり0.28ドルの損失)で、前年同期の1億2,820万ドル(同0.11ドルの損失)から損失幅が拡大した。会社側はこの損失について、便益をほとんど実現できない国・地域での損失に伴う法人所得税費用の増加が主因だと説明している。

一方、非GAAP指標は改善した。調整後EBITDAは11億9,570万ドルで報告ベース4%増(実勢ベース1%増)、調整後EPSは0.71ドルで同6%増(実勢ベース3%増)。GAAP売上総利益率は38.4%(前年同期36.5%)、調整後売上総利益率は58.0%(同56.0%)に上昇した。営業活動によるキャッシュ・フローは8億9,940万ドルで21%増、取引関連・リストラ関連費用8,100万ドルの影響を除いたフリー・キャッシュ・フローは8億9,500万ドルだった。

地域別では、グレーターチャイナが7億260万ドルと14%増(実勢10%増)と伸びた一方、先進国市場が22億1,590万ドルで2%減、新興国市場が5億2,910万ドルで7%減、日本・豪州・ニュージーランドを含むJANZが2億8,710万ドルで6%減となった。製品区分別では、ブランド品が24億6,140万ドルで1%増、ジェネリックが12億7,330万ドルで3%減。会社側は、欧州と新興国市場で続く供給制約と一部製品での競合増が、新製品売上や北米事業の堅調さ、中国の伸びを相殺したとしている。

新製品売上は通期4.5億ドル見込み、日本ではWAKIXが承認

第3四半期の新製品売上は約1億1,500万ドル(年初来で約2億8,700万ドル)。通期では約4億5,000万ドルの新製品売上を見込むとした。

製品面では、10月に米国で複合ホルモン避妊パッチ「Gwyn Lo(ノルエルゲストロミン/エチニルエストラジオール経皮吸収システム)」を発売した。BMIが30kg/m2未満の女性における避妊を適応とし、FDAの承認は7月に取得している。同じく10月には、点眼薬RYZUMVI(フェントラミン点眼液0.75%)が米国で老視を対象に承認された。日本ではWAKIXが承認を取得した。さらに、速効性メロキシカムについて承認と上市の可能性があるとしている。

年初来の実績では、総売上高が110億2,330万ドル(4%増)、調整後EBITDAが34億3,350万ドル(9%増)、調整後EPSが1.99ドル(12%増)。GAAP純損失は2億6,770万ドルで、2025年同期の31億7,480万ドル(2025年3月31日時点の暫定減損テストに伴う29億ドルののれん減損を含む)から大きく縮小した。

Pacira買収は11月末までの完了見込み、通期見通しを引き上げ

ヴィアトリスは、年初来で約7億1,700万ドルを自社株買いを含む形で株主に還元した。また、Pacira BioSciencesの買収を11月末までに完了する見込みとしている。2026年の財務ガイダンスにはPacira買収による寄与は含まれていない。

通期ガイダンスは全指標で中央値を引き上げた。GAAPベースの営業活動によるキャッシュ・フローは20億2,500万〜21億ドル(中央値約20億6,250万ドル)と見込む。なお、GAAPの純利益(損失)や希薄化後EPSについての見通しは示していない。

スコット・A・スミスCEOは「第3四半期の業績は強い実行力を示し、事業の成長軌道への自信を強めるものだ」と述べ、Gwyn Loの米国発売、RYZUMVIと日本でのWAKIXの承認、速効性メロキシカム、Pacira買収を、持続的な増収増益に向けた重要な一歩と位置づけた。ポール・キャンベル暫定CFOは、利益率の高い事業の勢いとコスト規律が好業績につながったとし、Pacira取引の完了時点で総レバレッジ比率への影響は最小限にとどまるとの見方を示した。

意味合い

売上高が横ばいにとどまる中で、調整後の利益指標とキャッシュ・フローが伸びている点が今回の決算の特徴だ。成長の牽引役はグレーターチャイナと新製品であり、欧州・新興国の供給制約が重しとなる構図が続いている。日本を含むJANZは6%減と振るわなかったが、WAKIXの国内承認は、同社が掲げる「革新的医薬品」戦略が日本市場にも及ぶことを示す材料となる。ジェネリック中心の事業基盤から、ブランド品・新製品へ比重を移す流れが、Pacira買収の完了によってどこまで加速するかが次の焦点となる。