何が承認されたか
ジョンソン・エンド・ジョンソン(NYSE: JNJ)は11月5日、米食品医薬品局(FDA)がRYBREVANT FASPRO(amivantamab and hyaluronidase-lpuj、皮下注射、160 mg/2,000 units per mL)について、単剤療法としての迅速承認(accelerated approval)を与えたと発表した。
対象は、プラチナ製剤ベースの化学療法および抗PD-(L)1抗体による治療中または治療後に病勢進行した、再発または転移性の頭頸部扁平上皮がん(HNSCC)の成人患者である。ただし、HPV関連(p16免疫組織化学染色による)の中咽頭扁平上皮がん(OPSCC)の患者は適応に含まれない。
同社によれば、これはこの治療領域で初めてとなる、EGFR(上皮成長因子受容体)とMET(間葉上皮転換因子)を同時に標的とするデュアルターゲット療法の承認である。投与は5分間の皮下注射で行われ、HNSCCの適格患者では推奨用法に従い3週ごとまたは4週ごとの投与が可能とされる。
OrigAMI-4試験のデータと規制上の経緯
今回の承認は、第1b/2相OrigAMI-4試験のコホート1の結果に基づく。同コホートでは、プラチナ製剤ベースの化学療法と抗PD-(L)1抗体の治療歴があり、HPV陽性OPSCCを除外した再発・転移性HNSCC患者102人を対象に、単剤としての有効性と安全性が評価された。主要評価項目は奏効率(ORR)、副次評価項目は奏効期間(DOR)で、いずれも盲検下独立中央判定(BICR)によりRECIST v1.1で評価された。
確定ORRは42パーセント(95パーセント信頼区間32〜52パーセント)で、完全奏効が15パーセント(奏効例の3分の1に相当)、部分奏効が28パーセントだった。奏効が得られた患者の56パーセントが6カ月を超えて奏効を維持した(1.4+、19.7+)。これらの結果は2026年の米国臨床腫瘍学会(ASCO)年次総会で発表され、Journal of Clinical Oncologyに掲載された。
規制上は、2026年2月にブレークスルーセラピー指定、同年7月に優先審査指定を受けた経緯がある。迅速承認であるため、継続的な承認は、第3相OrigAMI-5試験(NCT07276399)における臨床的ベネフィットの検証と記述を条件とする場合がある。同試験は、一次治療として皮下投与アミバンタマブをカルボプラチンおよびペムブロリズマブと併用する試験である。
安全性については、過去のアミバンタマブの既知のプロファイルと一貫しており、新たな安全性シグナルは特定されなかったとしている。20パーセント以上に発現した有害反応は、発疹79パーセント、疲労39パーセント、爪毒性35パーセント、口内炎32パーセント、浮腫28パーセント。重篤な有害反応は39パーセントの患者に発現し、肺炎8パーセント、出血4.9パーセント、嚥下障害2.9パーセント、気胸2.9パーセントなどが含まれた。致死的な有害反応は6パーセントに発現した。ヒアルロニダーゼまたは添加剤に過敏症の既往がある患者には禁忌で、警告・使用上の注意には過敏症および投与関連反応、間質性肺疾患(ILD)/肺臓炎、皮膚障害、眼毒性、胚・胎児毒性が挙げられている。
肺がんの外へ広がる二重標的
今回の承認は、RYBREVANT FASPROにとって非小細胞肺がん(NSCLC)以外で初めての適応となる。同剤はこれまで、EGFR遺伝子変異陽性NSCLC(エクソン19欠失、エクソン21 L858R置換、エクソン20挿入)を対象に複数市場で承認されており、これらの集団で唯一の皮下投与製剤と位置づけられてきた。EGFRとMETを狙う作用機序を、肺がん以外の難治性腫瘍へ展開する最初の実例ということになる。
資料によれば、EGFRとMETは再発・転移性HNSCC腫瘍の80〜90パーセントで過剰発現し、予後不良と関連することが多い。また、再発・転移性HNSCCの約80パーセントはHPVによるものではなく、予後がより不良で治療反応性も低い傾向があるとされる。今回の適応がHPV関連OPSCCを除外していることは、まさにこの予後不良群に照準を合わせた設計であることを意味する。HNSCCは世界の全がんの約4.5パーセントを占め、発生頻度は世界第7位とされる。
RYBREVANT FASPROはHalozymeのENHANZE薬物送達技術(遺伝子組換えヒトヒアルロニダーゼPH20)を用いた共製剤であり、法的製造業者はJanssen Biotech, Inc.である。同社はRYBREVANTベースの治療法について、大腸がんを含む他の固形がんでも研究を進めているとしている。迅速承認という条件付きの入口ではあるが、二重標的抗体の適応が臓器横断的に広がるかどうかは、OrigAMI-5の結果次第ということになる。