2026年10月1日、アストラゼネカと第一三共は米サミット・セラピューティクスと臨床試験の提携契約を結んだと発表した。第一三共が創製した抗体薬物複合体(ADC)ダトロウェイと、サミットのPD-1×VEGF二重特異性抗体アイボネシマブの併用を、肺がんや乳がんを含む複数のがん種で評価する内容となっている。最初の対象はトリプルネガティブ乳がん(TNBC)の1次治療のための第3相試験。アイボネシマブは中国のアケソが創製した薬で、その2日前にはアストラゼネカがサミットに20億ドルを出資していた。
試験はアストラゼネカまたは第一三共が依頼者となって実施し、費用は3社で分担し、それぞれの薬の開発・販売の権利は、各社が引き続き持つこととなる。試験の症例数や比較対照・開始時期などはまだ公表されていない。
アストラゼネカは9月29日 (今回の提携発表の直前)、サミットの新株に20億ドルを投資する契約を結んでおり、アイボネシマブとADCの併用開発を、さまざまながん種で加速することとされている。

アイボネシマブは、免疫チェックポイントであるPD-1を阻害と、腫瘍の血管新生に関わるVEGF阻害を1つの分子にまとめた二重特異性抗体で、中国のアケソ(康方生物)が創製している。中国ではすでに承認されているが、米国では未承認。
サミットは2022年12月5日にアケソとライセンス契約を結んでおり、米国、カナダ、欧州、日本での開発・販売の権利を得ている。 (その後2024年6月の契約変更で中南米、中東、アフリカも加わった)。

Stocktwitsによれば、アイボネシマブの第3相試験は16本あり、サミットが世界で実施するものが5本、共同研究グループによるものが1本、中国でアケソが実施・依頼するものが10本である。
一方のダトロウェイは、TROP2を標的とするDXd型のADCで、第一三共が創製し、アストラゼネカと共同で開発・販売しており、両社は日本を除く全世界で共同開発・共同販売し、費用と利益を折半している。
一部の切除不能または転移性のTNBCで30を超える国・地域で、特定のホルモン受容体陽性・HER2陰性の乳がんで45を超える国・地域で承認されている。開発プログラムでは、単剤と他の抗がん剤との併用で20を超える臨床試験が進み、肺がんで8本、乳がんで5本の第3相試験がある。
今回の第3相試験の対象は、ダトロウェイが単剤で全生存期間を延ばしたTNBCの1次治療であり、そこに免疫療法を組み合わせる試みとなる。
PD-1とVEGF阻害の二重特異性抗体は、ここ2年ほどの間に、大手製薬が相次いで中国から導入してきた分野で、2024年11月、メルクは中国のレノバからLM-299の全世界の権利を取得、2025年5月にファイザーが中国の3SBioからSSGJ-707の中国以外の権利を取得、2025年6月はBMSがバイオンテックとBNT327(PD-L1×VEGF)の共同開発・共同販売の契約を締結などが行われてきた。
