決算の数字
オンコリスバイオファーマ(東証、コード4588、代表取締役社長・浦田泰生)が2026年11月6日に公表した2026年12月期第3四半期決算短信(日本基準・非連結)によると、2026年1月1日から9月30日までの累計売上高は527,808千円だった。前年同四半期の28,546千円から大幅に増えている。
損益は、販売費及び一般管理費1,632,291千円を計上した結果、営業損失1,104,482千円(前年同四半期は営業損失1,571,067千円)。営業外収益として受取利息8,335千円、為替差益3,877千円などを、営業外費用として支払利息12,554千円、譲渡制限付株式報酬償却4,499千円、株式交付費2,761千円などを計上し、経常損失は1,112,040千円(同1,614,576千円)となった。四半期純損失は1,115,090千円(同1,617,044千円)で、1株当たり四半期純損失は38円01銭(同64円63銭)。いずれも赤字幅は前年同四半期より縮小した。
財政状態は、総資産3,752,641千円(前事業年度末比17.6%減)、負債666,168千円(同19.8%増)、純資産3,086,473千円(同22.8%減)。自己資本比率は82.1%で、前事業年度末の87.6%から低下した。現金及び預金は3,674,717千円から2,989,959千円に減少する一方、契約負債は110,000千円から293,511千円に増えている。研究開発費は累計で972,693千円。配当は第2四半期末・期末とも0円00銭の予想で、修正はない。業績予想は「適正かつ合理的な数値の算出が困難」として開示していない。
承認取得から販売開始へ
会社の説明によれば、この期間の最大の変化は腫瘍溶解ウイルス「テロメライシン注」(OBP-301)の国内事業化である。2026年6月に食道がんに対する再生医療等製品として厚生労働省から製造販売承認を「通常承認」で取得し、同年8月に販売を開始した。製造販売承認に伴い、販売提携先の富士フイルム富山化学から2026年7月にマイルストーン収入と前受金を受け取っている。供給は、製造元のヘノジェン社から物流を担う三井倉庫ホールディングスを経て、富士フイルム富山化学や医薬品卸のSPLineなどを通じて医療機関に至る経路が整備された。2026年10月には有効期間を24か月まで延長した。
適応拡大では、2026年6月に放射線化学療法併用の下部直腸・肛門がんPhase1b/2a試験の治験届を提出し、10月から投与を開始。喉頭及び咽頭がんのPhase2試験も準備中だ。海外ではMSD社と費用を折半する胃がん・胃食道接合部がんのPhase2医師主導治験、NRG Oncologyによる食道がんPhase1医師主導治験(15例登録)が進む。2024年12月には台湾Medigen社と台湾での販売権に関するライセンス契約を結んでおり、2026年内の新たな海外アライアンス契約締結に向けて折衝を進めているとしている。知的財産面では、腫瘍溶解アデノウイルスの内視鏡投与に関する特許の保護範囲を2026年5月に日本で拡大し、10月には欧州でも登録された。存続期間は2040年5月まで。
このほか、LINE-1阻害剤OBP-601(censavudine)はTransposon社の全額費用負担で臨床試験が実施され、次世代腫瘍溶解ウイルスOBP-702は安全性・有効性を検討したのち同社が臨床開発を引き継ぐ方針という。
「ハイブリッド型事業モデル」への移行
会社は補足情報で、テロメライシン注の国内ビジネスを製薬会社モデルで展開し、従来のライセンス依存の単一事業モデルから「製薬会社型とライセンス型のハイブリッド型事業モデル」へ移行させていると説明している。2026年9月30日現在、研究開発部門の在籍は26名で、総従業員数の59%にあたる。
売上高が前年同期の約18倍に増えた一方、販管費は1,632,291千円と前年同四半期の1,599,613千円から増加しており、損失は依然として10億円規模にとどまる。会社自身も、業績はマイルストーン収入の有無やテロメライシン注の製品販売収入、海外アライアンスの契約条件によって大きく変動するとして、予想開示を見送っている。収益の柱が一時金から製品売上へ移るかどうかは、今後の販売実績と海外契約の行方次第ということになる。
資本政策では、2026年3月24日開催の定時株主総会の決議に基づき、5月31日付で減資の効力が発生。資本金373,824千円と資本準備金1,621,460千円を減少させてその他資本剰余金に振り替えたうえ、その他資本剰余金2,058,049千円を全額、繰越利益剰余金に振り替えて欠損填補に充当した。この結果、第3四半期会計期間末の資本金は4,094,821千円、資本準備金は102,514千円となっている。後発事象として、2026年10月1日から31日までに第13回・第14回・第16回新株予約権の一部が行使され、普通株式112,000株(行使価額総額83,552千円)が発行された。10月31日現在の発行済株式総数は29,687,700株、資本金は4,137,277千円。継続企業の前提に関する注記は「該当事項はありません」としている。