■ 堅調なトップライン成長とパテントクリフの克服
2026年7月27日、アストラゼネカは2026年上半期(H1)の決算を発表した。総売上高は306億7,200万ドル(前年同期比+9%)、Core EPSは5.21ドル(+12%)と増収増益になっている。製品売上高は288億9,600万ドル(+8%)で、主力品フォシーガ(Farxiga)の米国での特許切れ(LOE)や、中国のVBP(Volume-Based Procurement:医療費の抑制と医薬品へのアクセス向上を目的として、中国政府が主導している大規模な集中購買制度)などの逆風を、オンコロジー領域(前年同期比+18%)と希少疾患領域(同+13%)の二桁成長がオフセットしている。
Core営業利益は105億1,000万ドル(+12%)となり、営業利益率は34%となっている。


■ 成長を牽引するアライアンスと主力品
他社との提携によるアライアンス収入は、H1で16億9,900万ドル(+31%)と大きく伸長しており、特に第一三共との提携品であるエンハーツ(Enhertu)(Q2売上:8億8,800万ドル、+31%)や、アムジェンと提携する重症喘息治療薬テゼスパイア(Tezspire)(Q2売上:3億9,000万ドル、+45%)がこの成長を牽引している。
自社の主力製品としては肺がん治療薬タグリッソ(Tagrisso)はQ2で19億4,100万ドル(+6%)を売り上げ、血液がん領域のBTK阻害薬カルケンス(Calquence)は初めて四半期売上10億ドルの大台を突破するなど(+16%)好調な実績を示している。
■ パイプラインの新規モダリティ(NME)
R&D面では、H1に6件の主要なフェーズIII試験でポジティブなデータが得られており、うち3件がNMEとなっている。
COPD治療薬のtozorakimab、低ホスファターゼ症(HPP)に対するefzimfotase alfaなどがある。
また、主要マーケットでの承認も8件取得しており、米国では高血圧治療におけるFirst-in-classの新薬Baxfendyが承認されている。
一方で、ATTRアミロイドーシス心筋症を対象としたWainuaのCARDIO-TTRansform試験は主要評価項目を満たさず、Ultomirisの成人HSCT-TMA試験も未達となっている(同剤は小児全身型重症筋無力症試験では成功)。これに伴い、Q2には開発中製品に対する減損費用として3億4,500万ドルが研究開発費に計上されている(H1累計の無形資産償却費・減損費用の合計は25億3,600万ドル)。
■ 2030年に売上800億ドル
アストラゼネカは2030年までに総売上高800億ドルという目標を掲げており、ソリオCEOは、今回の結果を受けて「成功と失敗の両方を織り込んだ上で、800億ドル目標の達成に向けて順調に進んでいる」と述べている。