武田薬品工業が5月13日に2025年度(2026年3月期)通期決算を発表した。Core売上収益4兆5,057億円(CERベース▲2.6%)、Core営業利益1兆1,725億円(CERベース▲0.9%)、Core EPS 517円(CERベース+3.1%)と、いずれも2026年1月公表ガイダンスの範囲内、Core EPSはガイダンスを上回る着地となった。

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今回の決算はクリストフ・ウェバー氏の代表取締役社長CEOとしての最後の決算である。ウェバー氏は2026年6月の株主総会をもって退任し、ジュリー・キム氏が次期CEOとなる。ウェバー氏は2014年6月にCOOとして武田薬品に入社、2015年4月にCEOに就任したため、トータル12年間CEOとして経営判断を行ってきた。最も大きなMA案件は2019年1月のシャイアー社の買収(約6.2兆円)である。このディール含め明確に集中と選択が進むこととなり、2019年以降武田は12案件で約129億米ドルの事業売却を実行した。
注力する疾患エリアは下記に絞り込まれている。
1.    消化器
2.    血漿分画
3.    希少疾患
4.    オンコロジー
5.    中枢神経
6.    ワクチン

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今回の決算で注目されたのはADHD治療剤VYVANSEのパテントクリフの影響である。VYVANSE/ELVANSEの全世界売上は、前年度3,506億円から当年度2,032億円へと▲1,474億円(▲43.0% CER)の減収となっており、米国では▲63.3% CERとなっている。
それをカバーする成長製品・新製品の売上は2兆3,133億円(CERベース+4.5%、+1,114億円)となっており、全社売上の約51%を占めている。
内訳と主な貢献品は以下の通り。
・ 消化器系疾患:ENTYVIO 9,580億円(+4.2%)、EOHILIA 88億円(+63.2%)
・ 希少疾患:TAKHZYRO 2,239億円(▲0.4%)、LIVTENCITY 469億円(+41.0%)、ADZYNMA 120億円(+65.1%)
・ 血漿分画製剤:免疫グロブリン 7,906億円(+4.1%)
・ オンコロジー:FRUZAQLA 551億円(+14.6%)、ADCETRIS 1,402億円(+5.3%)
・ ワクチン:QDENGA 408億円(+10.7%)

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数字を並べると、VYVANSEの減収が▲1,474億円、成長製品・新製品の伸びが+1,114億であり、その差の▲360億円を為替の追い風と既存主力品で埋めた形になる。
また、3つの主力候補品であるOveporexton(ナルコレプシー)、Rusfertide(真性多血症)、Zasocitinib(乾癬)が2025年度に良好な臨床第3相試験データを得られており、これらが次の中期的な成長ドライバーになることが期待されている。

一方、2026年度(FY2026)のガイダンスは、売上収益4兆6,400億円(+3.0%)、Core営業利益1兆1,600億円(▲1.1%、CERベース▲5%〜8%)、Core EPS 472円(▲8.7%、CERベース▲15%程度)とされており、増収減益の見通しとなっている。
減益の主因は、新たに発表されたTransformation Programに伴う事業構造再編費用約1,700億円である。このプログラムは、2024-2025年度の効率化プログラム(年換算約3,000億円のコスト削減を実現)に続くもので、2026年度には約4,500ポジションが影響を受けるとされている。
ジュリー・キム次期CEOは2026年度は成長投資の年と位置付けており、短期的にはTransformationにより減益だが、中期的には3新薬の規模拡大で成長軌道に戻るとしている。

今後の新CEO体制では3新薬が無事に上市され成功することと、その先に待つENTYVIOパテントクリフ参入リスクへの対応が注目される。ENTYVIOは2025年度売上9,580億円、全社売上の約21%を占める最大製品であり、2028〜2032年にかけて特許切れが想定されている。(経営説明資料では「2032年以前のバイオシミラー上市は、すべての関連特許の侵害可能性および/またはそれら特許の法的有効性に対応する必要がある」と記載)。
今後Core営業利益率を「30%台前半から半ば」へ引き上げるという中長期目標を掲げており、現在の26%水準から改善していくためには新薬上市成功・既存品の継続貢献・トランスフォーメーションによる効率化の全てが必須となる。