5月11日に第一三共が2026年3月期通期決算を発表。

4月24日には決算発表日の変更を発表しており、当初4月27日であったが5月11日に延期。同時に5月19日に予定していた第6期中期経営計画の発表も5月11日に前倒し統合する形となった。
https://www.bloomberg.com/jp/news/articles/2026-04-23/TDZ02TKJH6V500 https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB240ON0U6A420C2000000/

延期の理由は「急速な事業環境の変化を踏まえたオンコロジー製品群および開発品の供給計画の見直しに伴い、製造委託先との契約に関わる損失補償引当金の計上額の見積もりに追加的な検討が必要となった」と説明された。

この発表はにより4月24日の株価は一時前日比10%安の2,510円まで下落し、2022年3月以来約の安値となった。

その後、5月8日には説明会に先立ちFY2025の業績下方修正を発表。

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営業利益:従来予想3,350億円 → 2,290億円(▲1,060億円、▲31.6%)

税引前利益:従来予想3,550億円 → 2,640億円(▲910億円)

当期利益:従来予想2,880億円 → 2,600億円(▲280億円、▲9.7%)

売上収益は2兆1,230億円(前年比+12.6%)であり過去最高を達成している。
https://www.daiichisankyo.co.jp/files/investors/library/quarterly_result/2025/FY2025Q4_Financial_Results_J.pdf https://www.daiichisankyo.co.jp/files/investors/library/quarterly_result/2025/FY2025%20Financial%20Results%20and%205Year%20Business%20Plan%20Presentation_J.pdf

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売上だけでなくコア営業利益も伸長している。エンハーツとダトロウェイのグローバル成長が事業を牽引し、海外売上比率はFY2024の69.0%からFY2025は72.7%へ上昇した。
しかし前述の通り営業利益は前年比▲31.0%の2,291億円へ大幅減益となっており、この主因は一過性費用1,530億円を計上したことにある。

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一過性費用の内訳を見ると、最大の項目はCMO(医薬品製造受託機関)への損失補償の引当:883億円となっている。次いで小田原工場のADC関連投資中止に伴う減損・補償金193億円、旧野洲川工場環境対策費用160億円、ネクストキャリア支援費用83億円、ダトロウェイ/HER3-DXdの棚卸資産評価損79億円、その他132億円である。
CMOへの損失補償の構造は、決算説明会で次のように説明されている。
·      第一三共はDXd ADC事業の立ち上げに際し、自社設備への投資を進めつつ、CMOへの製造委託を活用してきた。
·      ADCポートフォリオの需要予測が計画を大幅に超えて拡大したため、すべての患者さんへの安定供給を確保することを最優先に、リスク調整を行わない最大需要をカバーできる製造能力を確保する方針を採用し、CMOとの間で最低購入数量や専用ライン確保などの長期コミットメントを伴う契約を締結した
·      しかしその後、ADCポートフォリオの各臨床試験結果を踏まえた対象患者の見直し、適応症や上市時期の見直しを行った結果、確保した製造能力の一部が余剰となり、CMOへの損失補償が発生する構図となった

つまり、需要予測を高く見積もりすぎたことに伴うコストであり、ADCポートフォリオに対する成長期待がそれだけ強かったことの示唆している。

一方、FY2026(2027年3月期)の業績予想は、売上収益2兆2,800億円(前年比+7.4%)、コア営業利益3,600億円(新定義ベースで+27.5%)、当期利益2,600億円(±0%)となっている。
成長ドライバーは引き続きエンハーツとダトロウェイのグローバル展開であり、エンハーツのグローバル売上は6,984億円から8,613億円(+23.3%)、ダトロウェイは476億円から1,114億円(+134%)と更なる急拡大を見込んでいる。

ただし市場からは「エンハーツの二の矢が継げず」(日経ヴェリタス)との評価も出ており、第3のADCであるHER3-DXdは2025年5月にEGFR変異非小細胞肺がんの米国承認申請を取り下げている。(HR陽性HER2陰性乳がんへの開発に軸足を移した)。

エンハーツ・ダトロウェイのグローバル展開が順調な中でいかに次の成長ドライバーを作るのか、そしてエンハーツのライフサイクルマネジメントを進められるかが今後の継続的な成長を左右することになる。