2026年7月21日、政府は“経済財政運営と改革の基本方針(骨太方針2026)”を閣議決定した。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0630_shiryo01.pdf
骨太方針2026にはこれまで議論されていた創薬・先端医療を含む17の戦略分野が掲げられており、それぞれに対応する62の主要な製品・技術等について官民投資ロードマップが策定されている。
2040年度までに、この62分野で累計370兆円を超える官民投資が想定されており、創薬・先端医療は国家戦略の柱の1つとして位置づけられている。
具体的には全ゲノム解析やiPS細胞等を活用した再生・細胞医療・遺伝子治療、小児・希少疾患用や感染症対応の医薬品等の研究開発・生産を進めるとともに、創薬や医療機器開発へのAI利活用を推進する方針が示されている。また、日本の創薬力の課題となっている治験環境についても言及され、国際水準の治験・臨床試験体制を整備し、国際共同治験の倍増を目指すという目標が掲げられている。

製薬協はこれを受けて、“創薬・先端医療が日本の成長を支える重要分野として位置付けられたことは、大変意義深いものと考えています”と声明を発表している。
一方で米国研究製薬工業協会(PhRMA)はMFNも見据えて、声明の中で下記の提言を行なっている。
PhRMAは、革新的医薬品産業が、サポーティブな政策支援を行う戦略分野であり、かつ今後の魅力ある成長市場として位置付けられたことを歓迎します。具体的には以下が含まれます。
• 特許期間中の医薬品について、新規収載時および特許期間中におけるイノベーションの更なる評価を検討すること
• 日本の特許医薬品市場の成長率を主要先進国市場に匹敵する年率9.6%の水準に回復させること
• 米国の最恵国待遇(MFN)価格政策の提案を踏まえてもなお、日本国内で新薬の上市が継続的に促進される環境を確保すること
これらの目標を実現し、日本が革新的医薬品に係る世界全体のコストを公平に分担するため、PhRMAは、本年中に以下の薬価制度改革に着手することを求めます。
• 第一に、特許期間中の医薬品の初期薬価を GDP 調整後の米国価格と整合する水準に設定すること
• 第二に、特許期間中の医薬品の市場実勢価改定、市場拡大再算定(特例拡大再算定など)、費用対効果評価制度を含む、特許期間中の医薬品の薬価維持を妨げる制度を廃止すること

また、費用対効果評価制度については、客観的な検証も踏まえて制度の発展に向けた更なる見直しについて具体的な検討を進め、一定の結論を出すとしている。これまで議論されてきたように単なる薬価削減のシステムではなく、革新的な医薬品に対しての適切なプラス評価を行う仕組みとなることが期待される。
実際PhRMAはこれに対して“特許期間中の医薬品が2027年度改定の対象から除外され、費用対効果評価制度の拡大が取り止められるよう、これらの議論に積極的かつ建設的に参画してまいります。いずれの施策も、特許期間中の医薬品の薬価を更に引き下げるものであり、日本の特許医薬品市場の魅力を高めるという政府自らが掲げた目標を損なうものです。”とコメントしている。
別の観点として、全世代型社会保障の構築という項目ではバイオシミラーについても触れられている。“先行バイオ医薬品について、バイオ後続品の普及促進に向けた環境整備の状況を踏まえ、保険給付の在り方の見直しを検討する”と記載されており、バイオシミラーの普及次第ではブランド品のバイオ医薬品の保険償還を見直す方針と受け取れる。
また、方針内では“攻めの予防医療”という言葉が明記されており、健康増進、疾病予防、早期発見および早期介入に関係機関が連携して取り組む姿勢が強調されている。具体的な施策としてはPHR(パーソナルヘルスレコード)の利活用と情報連携の推進などが盛り込まれている。