エムスリーが5月1日に2025年度通期決算を発表した。
主要な財務項目はいずれも力強く成長している。

売上収益:3,514億円(前年同期比+23%)

営業利益:735億円(同+17%)

当期利益:540億円(同+22%)

セグメント別に見てみると、かつて売上の多くを占めていた製薬企業向け支援(メディカルプラットフォーム)は引き続き伸長しているものの売上高の31%にとどまっており、海外事業が25%、予防医療系のペイシェントソリューションが16%、医療機関支援中心のサイトソリューション15%とかなり多角化が進んでいる。
そして、いずれのセグメント(エマージング事業群を除く)でも前年比で成長している。

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今回興味深いのは、会社説明資料の冒頭17ページがまるごと「AIはエムスリーにとって脅威か機会か」という議論に充てられていること。

大まかには、AIの進展によるm3.comへのネガティブ影響はあるか、AIによる事業面での脅威と機会をどう捉えているか、AIによる財務的なインパクトはどれくらいかという3点に集約される。

日経記事においても記事が出ているが、AIによるネガティブな影響を受けるのはAsk Doctorsや論文校正支援などの1%にとどまるとしている。

Ask Doctorsは一般生活者が医師に医療相談できるQ&Aサービスのため、AIによる対応で需要が削られることが想定される。論文校正支援も研究者がAIで英文添削できれば代替される、という解釈だろう。

逆にそれ以外の部分ではAIを活用することでm3のコンテンツを最適化したりすることでむしろ競争力を高めてプラスに転じるとしている。

事業にAIを実装→事業プラットフォームの更なる強化→圧倒的な量の独自データを蓄積のサイクルが回っていくことが説明されている。つまり、最も幅広い登録医師数を持ち、その中に医療系コンテンツを生み出し続けることで、AIに代替されない一次情報を蓄積し、更にそれをAIで効率的に回し続けることで指数関数的に伸ばしていく戦略であることが示唆される。


同時に、AIを意識してか、6月1日からのグループミッションを変更している。
旧:「インターネットを活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」
新:「テクノロジーを創造的に活用し、健康で楽しく長生きする人を1人でも増やし、不必要な医療コストを1円でも減らすこと」

インターネットを活用した医師向けプラットフォームである代表格企業が、そこに留まらずAIをはじめとしたテクノロジーを活用して更に伸長していく意思の表れと思われる。