12月決算企業にとっては第2四半期、3月決算企業にとっては第1四半期の決算発表が進む中で、好決算の発表が続いている。FiercePharmaによると、業界上位25社のうち9社が前年同期比で二桁の増収を達成しており、中国勢との競争、特許切れ、薬価引き下げといった逆風がある中での予想を覆している。
同誌の集計によれば、上位25社で減収となったのはテバの1社のみ。前年四半期比で見ると13社が二桁の増加を達成しており、2025年の同時期には二桁の連続増を果たしたのが5社、2024年は6社だったことを踏まえると、今回の伸びは異例となっている。また、25社中16社が2026年の通期見通しを引き上げている。
この結果を主導したとしてピックアップされているのは下記の3つの軸となる。
1. Regeneron, Sanofi fueled by Dupixent(デュピクセントが牽引するサノフィとリジェネロンの躍進)
発売から9年が経過した抗炎症薬デュピクセントが、第二の黄金期(second wind)を迎えており、共同開発元であるサノフィとリジェネロンに多大な恩恵をもたらしている。
· 2桁の急成長を記録:デュピクセントの好調な売上により、2026年Q2におけるサノフィの売上高は前年同期比16%増(前四半期比10%増)、リジェネロンは前年同期比17%増(前四半期比19%増)を記録している。サノフィにとっては、同じくデュピクセントが牽引した2022年Q2以来で最大の四半期成長率となる。
· 成長を再加速させた要因::2024年Q4時点で同薬の成長率は15%にまで鈍化していたが、過去2年間で追加した適応症が成長の再度ブーストしている。具体的には、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、慢性自発性蕁麻疹(CSU)、類天疱瘡(BP)、アレルギー性真菌性副鼻腔炎(AFRS)など。
· 四半期売上が初の50億ユーロ突破: サノフィが発表したQ2のデュピクセントの世界売上高は、前年同期比38%増となる52億ユーロ(約60億ドル/9600億円)に達している。サノフィは同薬の2030年の売上目標を250億ユーロに引き上げており、法務責任者は特許切れとなる2030年以降も独占権の延長が可能であると述べている。

- Lilly leads rankings for 7th straight quarter(イーライリリー、7四半期連続で首位を独走)
米イーライリリーは、前年同期比48%増という圧倒的な売上成長率を叩き出し、7四半期連続で製薬業界の四半期売上高ランキングのトップとなっている。
· チルゼパチド製剤の圧倒的強さ: 急成長の礎はGIP/GLP-1受容体作動薬のチルゼパチドで、Q2における糖尿病治療薬マンジャロの世界売上高は91%増の99億ドル、肥満症治療薬ゼップバウンドは46%増の49億ドルを記録している。
· 競合ノボ社との差を拡大: リリーは、注射剤タイプの糖尿病・肥満症市場においてライバルのノボ ノルディスク(Novo Nordisk)との差を広げている。ノボのQ2実績では、糖尿病治療オゼンピックが6%減の約48億ドル、注射剤ウゴービが3%増の約30億ドルにとどまっており、リリー製品が勝る結果となった。
· 経口薬の課題と今後の展望: リリーは肥満症治療用の経口薬Foundayoの立ち上げにおいて、先行するノボ社の経口ウゴービに遅れをとり、Q2の売上高は9,800万ドルにとどまった。しかし、主力の注射剤が圧倒的な成長を維持しているため、同社は通期見通しを中間値で25億ドル上方修正している。

- Japanese trio continues to excel(躍進を続ける日本勢3社)
今四半期、業界トップ25社の中で2桁の売上成長を達成した9社のうち、3社が日本に本社を置く製薬企業(アステラス製薬、第一三共、武田薬品)であった。
· アステラス製薬/ 前年同期比27%増: 売上成長ランキング2位につけるアステラス製薬は、過去10四半期中9回目となる2桁成長を遂げ、高い成長性を維持している。ただし、売上高の43%を占める大黒柱の前立腺がん治療薬イクスタンジが来年米国で特許切れを迎える予定であり、この高成長期は終盤に差し掛かっている。
· 第一三共/ 前年同期比21%増:がん領域のブロックバスターであるエンハーツの伸長により、過去4年間一貫して2桁成長を維持している。同社は2035年までに世界のがん治療薬企業のトップ5に入るロードマップを描いており、2030年の売上高目標を3兆円(約191億ドル)に設定している。
· 武田薬品工業/ 前年同期比10%増:2025年は売上が停滞していたが、今回のQ2で10%増収を記録し再び軌道に乗っている。2桁成長の達成は2024年度Q2以来。昨年はADHD治療薬ビバンセの特許切れによる減収影響を大きく受けたが、主力製品エンティビオが好調であることに加え、新薬群(ナルコレプシー治療薬Orzeyfulなど)の台頭が成長モードへとつながっている。
