2026年8月26日、FDAがRevolution Medicinesの膵臓がん治療薬Daraxonrasibを商品名をRASONQUEとして承認した。申請が受理されたのは同年7月22日なので、審査期間は僅か35日だったことになり、FDAはこの承認がユーザーフィー法に基づく審査目標期日より6.5か月早いと発表している。
Daraxonrasibの適応は転移性膵管腺がんの成人患者で、少なくとも1つの全身療法を受けたことがある、または多剤併用の全身療法の適応とならない患者。1日1回の経口錠剤であり、RAS変異の有無にかかわらず投与できる。
第3相RASolute 302試験では既治療の転移性膵管腺がん患者500例を対象に、全生存期間の中央値は13.2か月を示し、対照群である化学療法群の6.7か月に対しほぼ倍の生存期間を示した。
この結果は2026年のASCO年次総会で発表されスタンディングオーベーションが起きたとされ、New England Journal of Medicineに掲載もされている。
FDAは、Breakthrough Therapy指定とOrphan Drug指定をしており優先審査の対象とし、かつ2026年5月には承認前の患者アクセスを可能にする拡大アクセス治療プロトコルについて”safe to proceed”レターを出している。
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2605555
FDAの標準審査は、ユーザーフィー法(PDUFA)に基づく目標期間が約10か月となっており、医療上重要な新薬に適用される優先審査で約6か月となるので、今回の35日はそれよりも圧倒的に早い。
これはCommissioner's National Priority Voucher(CNPV)というFDAが2025年6月に開始したプログラムに基づいている。この制度は30日から60日の迅速審査を可能にするものであり、従来の分断された審査プロセスではなく専門家チームによる単日の合同レビュー型のモデルとなる。
企業側にも前提条件があり、CNPVの対象となるにはCMCのセクションの資料を本申請の提出より少なくとも60日前に提出しなければならないとされる。

CNPVの選定基準は、5つの国家的優先分野を挙げており、公衆衛生上の危機(Public Health Crisis)、革新的な治療(Innovative Cures)、大きなアンメットニーズ(Large Unmet Need)、国内製造回帰(Onshoring)、そして妥当な価格(Affordability)となっている。
つまり、これまでの既存の迅速審査制度がいずれも選定基準はほぼ臨床的なものなのに対してCNPVは疾患の重篤性だけでなく、国家的優先課題に沿うかどうかを軸としている。
なお、CNPVバウチャーを得た製品の多くは、Fast TrackやBreakthrough Therapy、Accelerated Approvalといった他の指定も並行して受けている。

https://www.fda.gov/media/190927/download
PRV Watchが公開しているダッシュボードによれば、CNPVによる最初の承認は2025年12月9日のAugmentin XRで、その後2026年2月26日にはHernexeos (HER2変異を有する切除不能または転移性の非扁平上皮非小細胞肺がん)、2026年4月1日にはFoundayo(肥満症)が承認となっている。
同年4月23日には、遺伝性難聴に対する遺伝子治療Otarmeniが迅速承認を取得した。OTOF遺伝子の両アレル変異に関連する重度から重篤な感音難聴の小児および成人が対象である。この承認はBLA提出から61日とされ、近代FDA史上で最速のBLA承認と並ぶと評されている。
今回の35日はそれよりも短く、Daraxonrasibへの期待と重要性の高さが見て取れる。