ロシュのドイツ法人社長であるシュタイナース氏は、2026年10月19日付の独ヴェルト紙のインタビューでドイツでの今後の投資判断はすべていったん保留にしたと述べた。理由として挙げたのはドイツ政府が進める公的医療保険(GKV)の支出削減策 (BStabG)で、すでにイーライ・リリー、ベーリンガーインゲルハイム、ファイザーが相次いで国内投資の縮小や見直しを表明している。
シュタイナース氏は「製薬分野について言えば、政治は最近、非常に多くの信頼を壊した」と述べ、BStabGについて「GKVの構造的な問題に取り組む代わりに、政治は短期的な節約と産業への追加負担に頼っている」と批判している。
https://www.welt.de/newsticker/dpa_nt/infoline_nt/wirtschaft_nt/article6ad60886de9d7a845942b70b/roche-stellt-investitionen-in-deutschland-auf-pruefstand.html
https://1027wbow.com/2026/10/19/roche-moves-future-germany-investments-on-hold/

BStabGの正式名称は「公的医療保険の保険料率安定化法」で、連邦議会が2026年7月10日に可決し、7月24日付で制定されている。
医薬品で中心となるのは、製薬企業が保険者に払う製造業者リベートの引き上げで、以前の販売価格の7%を保険者に払う仕組みを2027年1月から追加で8.5%のリベートを課し、合計15.5%のリベート率になる。
ただし、新薬については例外があり、初めて発売される新有効成分の薬で、その治験の被験者のうちドイツの施設で参加した人が5%以上であれば追加リベートの免除を申請できる。
また、立地条項というドイツで研究や生産を行う企業の追加リベートを減らす仕組みもある。過去3年間の第I〜III相試験で、被験者の2%以上をドイツの施設で受け入れていることが入り口の条件で、これを満たした企業は労働協約の適用で2ポイント、ドイツでの研究開発費が売上の7%以上で3ポイント、大型投資または生産で3.5ポイント、追加リベート率を減らすことができる。3つすべてを満たすと、リベートは7%に戻ることとなる。

すでにドイツでの投資や拠点を見直した企業のうち、イーライ・リリー、ベーリンガーインゲルハイム、ファイザーは、法案や改革を理由に挙げている。
イーライ・リリーは注射剤工場について、ドイツへの投資計画23億ユーロの規模を半分以上縮小すると表明し、計画していた雇用は約1,000人から約500人に減るとしている。ベーリンガーインゲルハイムは、2027〜2030年に予定していた国内支出9億ユーロを取りやめた。
ファイザーのCEOは、メルツ首相に宛てた書簡で改革案が長期の製薬投資に必要な予見性を揺るがすとし、ドイツで計画している投資の時期、規模、優先順位を見直していると伝えている。
https://www.fiercepharma.com/pharma/lilly-boehringer-plan-slash-investment-germany-report
