日本ケミカルリサーチ(JCR)は平成11年11月5日、平成12年3月期(平成11年4月1日〜平成12年3月31日)の業績予想を、平成11年5月19日の決算発表時の予想から下方修正すると発表した。遺伝子組換えヒト成長ホルモンの高単位(24単位)製剤の薬価収載が平成12年7月(予定)となり、販売開始が来期にずれ込むことが主因である。
通期経常利益は前回予想比82.1%減
修正後の通期業績予想は、売上高7,300百万円(前回予想9,300百万円、2,000百万円減、△21.5%)、経常利益250百万円(同1,400百万円、1,150百万円減、△82.1%)、当期純利益120百万円(同750百万円、630百万円減、△84.0%)。減益率は売上高の減少率を大きく上回る。
中間期(平成11年4月1日〜平成11年9月30日)については、売上高3,747百万円(前回予想3,900百万円、153百万円減、△3.9%)、経常利益222百万円(同260百万円、38百万円減、△14.6%)、当期純利益107百万円(同160百万円、53百万円減、△33.1%)とした。会社は、中間期は売上高・経常利益とも概ね予定どおり推移したものの前回予想を若干下回ったと説明している。当期純利益の減少幅が大きいのは、税効果会計上の法人税等調整額22百万円を計上するためである。
参考として示された前期実績は、平成11年3月中間期が売上高3,842百万円、経常利益351百万円、当期純利益77百万円、平成11年3月期が売上高9,125百万円、経常利益1,433百万円、当期純利益592百万円である。
なお中間配当は、当初予定どおり1株につき7円50銭を実施する予定としている。
承認は取得、収載は平成12年7月予定
当初の業績予想は、遺伝子組換えヒト成長ホルモンの高単位(24単位)製剤について、製造承認取得と薬価収載が本年中にできる見込みを前提に、下期後半からの販売開始を想定して組まれていた。
製造承認そのものは当初見込みどおりで、本年10月1日付けで取得。「グロウジェクト注24IU」および「グロウジェクトBC24IU」(ペン型製剤)として承認された。しかし薬価収載が平成12年7月(予定)となるため、販売開始は当初予定より6〜7カ月程度遅れ、来期にずれ込むことになった。
この結果、当初予想に織り込んでいた高単位(24単位)製剤の売上見込み額30億円を下期に計上できなくなった。既存品である4単位製剤「グロウジェクト注4IU」の下期販売量は当初予想より増加する見込みとなるものの、これらを主たる要因として、通期売上高は前回予想より20億円減少する見通しとなった。
もう一つの製品動向として、会社はグロウジェクト注4IUの「ターナー症候群の効能追加」に伴う承認事項の一部変更承認について、年内に承認を取得できる見込みであり、本年12月ないし来年1月頃より販売できると考えているとしている。
承認と収載の時間差が業績に直結する構図
今回の修正が示すのは、製造承認の取得時期と薬価収載の時期がずれた場合、承認が計画どおりに下りても売上計上は実現しないという、医薬品事業特有の構図である。承認は10月1日付けで当初見込みどおり取得されており、開発・申請の工程に遅れがあったわけではない。にもかかわらず、収載時期が平成12年7月(予定)となったことで、30億円の売上見込みがまるごと翌期へ移動した。
影響が利益段階で増幅されている点も見逃せない。売上高の減少率が△21.5%であるのに対し、経常利益は△82.1%、当期純利益は△84.0%と落ち込む。新製品の上市を前提に積み上げた費用構造のもとで売上だけが後ろ倒しになると、利益への跳ね返りが大きくなることを、この数字の並びが示している。
会社自身は来期について、ターナー症候群の効能追加に加え、高単位(24単位)製剤が販売可能となるため、業績は従前どおりに回復するとの見方を示している。中間配当を当初予定どおり1株7円50銭で実施する方針も、今回の修正が一過性の期ずれであるという会社の整理と整合する。期の区切りをまたぐ収載スケジュールが、単年度の業績予想にどれだけの振れをもたらすか。その実例として記録されるべき開示である。