何が発表されたか

UCBは2026年10月22日午前7時(中央欧州時間)、本社のあるベルギー・ブリュッセルで、2026年通期の財務見通しをさらに上方修正すると発表した。規制情報かつ内部情報(Inside Information)としての開示である。

修正の内容は二つ。まず売上高の成長率は、為替一定ベース(constant exchange rates)で、従来の「10%台前半から半ば(low- to mid-teens)」から「20%台前半(low twenties)」へ引き上げられた。次に調整後EBITDAの成長率は、同じく為替一定ベースで、従来の「10%台半ばから20%台前半(mid-teens to low-twenties)」から「40%台前半から半ば(low- to mid-forties)」へ引き上げられた。売上の伸びが営業レバレッジを効かせ、大幅な利益率の拡大につながるという説明である。

なお、この上方修正後の見通しには、優先審査バウチャー(Priority Review Voucher、PRV)の売却収入は含まれていない。UCBによれば、PRV売却分は売上高と調整後EBITDAそれぞれに対し、1桁台前半から半ばのパーセントポイントの上乗せ要因となる。

2026年通期決算と2027年の正式な財務ガイダンスは、2027年2月25日に公表される予定だ。

何が数字を押し上げたのか

UCBが上方修正の理由として挙げたのは、2製品の販売動向である。

一つはBIMZELX(ビムゼルクス)。米国での販売が想定以上に強く、複数の適応症にまたがる堅調な数量成長、患者の切り替え(コンバージョン)の加速、高い継続率が寄与したとしている。UCBはその背景として、集中的な投資、アクセスの拡大、差別化された臨床プロファイル、そして「BE BOLD」試験のデータを挙げ、これらが患者需要とシェア獲得を牽引していると説明する。加えて、販売チャネル構成がより有利に動いたことでネット価格(正味価格)が改善し、患者1人あたりの価値も高まったという。

もう一つはCIMZIA(シムジア)。抗TNF市場そのものは縮小しているにもかかわらず、各市場で数量が伸びている。さらに、米国の医薬品割引制度である340Bに関連する影響が従来より穏やかだったことも挙げられた。UCBはその要因として、請求(クレーム)精査の最適化と、最近取得した希少疾病用医薬品指定(Orphan Drug Designation)の効果を挙げている。

UCBの最高財務責任者(CFO)であるSandrine Dufour氏は、「BIMZELXとCIMZIAの継続的な好調な業績は、当社の差別化されたイノベーション戦略の強さと、イノベーションを持続的な成長へと転換する能力を示している」とコメント。あわせて「卓越した実行力により、堅調な売上成長をより大きな営業レバレッジと収益性に転換しつつ、将来への投資も続けられている」と述べ、これが2026年見通しの引き上げにつながったと説明した。

業界にとっての意味

今回の発表で注目すべきは、売上成長率の引き上げ幅よりも、調整後EBITDA成長率の引き上げ幅のほうが大きいことだ。売上が「10%台前半から半ば」から「20%台前半」への修正であるのに対し、調整後EBITDAは「10%台半ばから20%台前半」から「40%台前半から半ば」へと、幅の下限だけ見ても倍以上に動いている。UCB自身が「営業レバレッジ」「大幅な利益率拡大」という言葉を使っているとおり、売上の増加分が費用の増加を大きく上回って利益に落ちる構造にあることを、会社が年度途中で明示した形である。

もう一つの論点は、成長の内訳に「数量」と「価格」の双方が含まれている点だ。BIMZELXについてはチャネル構成の変化によるネット価格の改善、CIMZIAについても数量成長と価格面のより有利な動きが挙げられている。米国市場では薬価や割引制度をめぐる環境が各社の業績を左右するが、UCBは340Bについて、請求精査の最適化と希少疾病用医薬品指定という具体的な対応策を影響緩和の理由として挙げた。価格環境を所与のものとせず、運用面で管理し得る領域として扱っている点は、同様の課題を抱える他社にとっても参照点になり得る。

また、PRV売却収入をガイダンスから除外したうえで、その上乗せ幅を別途示している点も押さえておきたい。一過性の収入を本業の成長率と切り分けて開示する姿勢であり、今回示された「20%台前半」「40%台前半から半ば」という数字が、あくまで事業そのものの伸びを指すことを明確にしている。

UCBは2025年に77億ユーロの売上高を計上している。従業員は約40カ国に9,000人超、ユーロネクスト・ブリュッセルに上場(シンボル:UCB)する免疫系・中枢神経系の重症疾患領域に注力するバイオ医薬品企業である。2026年通期の着地と2027年のガイダンスは、2027年2月25日に明らかになる。