何が発行されたか

東邦ホールディングスは2026年10月23日、「東邦ホールディングス統合報告書2026」を発行し、同社ホームページに掲載したと発表した。報告書はPDF(11MB)で公開されている。

報告書は「Cover Story 企業価値向上への道筋」「価値創造ストーリー」「価値創造に資する中長期成長戦略」「コーポレート・ガバナンス」「企業情報」の構成を取る。同社は、本報告書で特に伝えたい内容として、(1)中期経営計画2026-2028「次代を翔ける」、(2)守りから攻めへと転じるコーポレート・ガバナンス、(3)成長と企業価値向上を加速させる財務戦略、(4)あるべき姿の実現に向けた5つのマテリアリティ——の4点を挙げている。マテリアリティについては、従来のものを見直し、再定義したとしている。また、2026年6月にウェブサイトをリニューアルしたことも記載されている。

数字で見る現在地

報告書のカバーストーリーには、2026年3月現在として事業別の数字が並ぶ。全体の売上高は1,553,364百万円、営業利益は16,601百万円、自己資本利益率(ROE)は6.6%である。

セグメント別では、中核の医薬品卸売事業が売上高1,494,868百万円、セグメント営業利益16,820百万円。調剤薬局事業が売上高100,538百万円、セグメント営業利益1,397百万円。医薬品製造販売事業が売上高11,564百万円、セグメント営業利益282百万円。その他周辺事業が売上高7,048百万円、セグメント営業利益832百万円となっている。

新中期経営計画2026-2028「次代を翔ける」では、最終年度(2028年度)までにROE8%以上、営業利益率1.5%以上、営業利益300億円以上を達成するとともに、500億円以上の成長投資を実施する目標を掲げた。資本政策としてはDOE4%以上、総還元性向100%以上を示している。代表取締役社長執行役員CEOの枝廣弘巳氏はメッセージの中で、現場を起点とするゼロベースの業務改革と500億円規模の成長投資を断行するとし、とりわけ「営業利益300億円以上」に強い覚悟をもって取り組むと述べている。

策定の経緯

報告書によれば、同社は前中期経営計画2023-2025「次代を創る」において、「事業変革」「成長投資・収益性向上」「サステナビリティ経営」「資本効率の改善と株主還元の向上」の4つの基本方針のもとで企業変革の基盤を固めた。株主や投資家との対話を踏まえ、2024年には経営戦略委員会を立ち上げ、中期経営計画の加速・実効性を高めるための実行計画を策定している。

新計画の策定にあたっては、2025年11月に経営戦略委員会を再開し、延べ10回にわたり議論を重ねた。客観性を担保するため、投資家や経営者としての経験・知見を持つ社外取締役2名に加え、外部専門家やコンサルタントも起用し、「聖域なき検証」を実施したとしている。検証では医薬品卸売事業の資本収益性の抜本的強化を最優先課題に据え、それ以外の事業ポートフォリオについても市場性や収益性を踏まえ、強化・維持・縮小や撤退を含む見直しを行った。その結果、事業領域の多角化と医療DXを両輪で推進し、「ヘルスケア・トータルソリューション・プロバイダー」へ転換するという結論に至ったという。新計画は2026年4月に始動している。

業界にとっての意味

統合報告書が示しているのは、医薬品卸という主力事業の収益構造を前提にしたうえで、そこに依存しない利益の作り方を探る、という方向性である。卸売事業は売上高1,494,868百万円に対してセグメント営業利益16,820百万円であり、売上規模に比して利益率が薄い構造が数字として開示されている。営業利益率1.5%以上という目標は、この構造を変えることを正面から掲げたものといえる。

また、同社は自らの立ち位置を、基盤創りから成長投資による「収益化フェーズ」への移行と説明している。アライアンスやM&Aによる新規事業(CDMOを含む)の創出、顧客支援システムの開発機能の強化、調剤薬局事業の効率化、政策保有株式の売却・保有資産の流動化といった施策が並ぶ。卸売の枠内での効率化だけでなく、事業ポートフォリオ自体の組み替えを収益目標と結びつけて示した点が、今回の報告書の読みどころとなる。