何が発表されたか

アムジェン(Amgen)は2026年10月24日、進展型小細胞肺がん(ES-SCLC)の1次治療維持療法を対象とした第3相試験「DeLLphi-305」の中間解析で、IMDELLTRA®(tarlatamab-dlle)とアストラゼネカのIMFINZI®(durvalumab)の併用が、durvalumab単剤と比べて死亡リスクを58%低減したと発表した(ハザード比[HR]0.42、95%信頼区間[CI]0.32–0.54、P<0.001)。追跡期間の中央値は約16カ月。

対象は、durvalumab、プラチナ製剤ベースの化学療法、エトポシドによる初回治療後に病勢進行がみられなかったES-SCLC患者。全生存期間(OS)中央値は、併用群が21.1カ月、durvalumab単剤群が12.7カ月で、8カ月超の延長となった。1年時点の生存率は併用群で約80%(95%CI 74.2–83.7)、単剤群で53%(同47.3–59.0)だった。

無増悪生存期間(PFS)は、追跡期間中央値13.9カ月の時点で病勢進行または死亡のリスクを66%低減(HR 0.34、95%CI 0.28–0.42、P<0.001)。中央値は7.4カ月対1.9カ月だった。奏効率は26.4%(95%CI 20.9–32.5)対4.1%(同2.0–7.4)で、6倍以上の差がついた(P<0.001)。脳転移・肝転移を有する患者を含む事前規定サブグループでも、OS・PFSの benefit が一貫して認められたとしている。

安全性は個々の薬剤の既知のプロファイルと整合していた。グレード3以上の治療関連有害事象は併用群20.9%、単剤群10.8%。併用群で多かったのは好中球数減少(3.2%)、食欲減退(2.1%)、好中球減少症(2.1%)、無力症(1.8%)、体重減少(1.8%)。サイトカイン放出症候群(CRS)はIMDELLTRA投与例の49.6%に報告されたが、大半がグレード1(41.8%)またはグレード2(7.4%)で、グレード3は1例(0.4%)、グレード4以上はなかった。ICANSは1.1%で、グレード3以上はなかった。

試験の設計と、これまでの蓄積

DeLLphi-305はアムジェンが主導する国際共同の第3相無作為化非盲検試験で、アストラゼネカが一部資金とdurvalumabを提供している。初回治療を完了した563例を1対1で無作為化し、進行または忍容できない毒性が生じるまで投与した。主要評価項目はOS、副次評価項目はPFSと奏効率。サイクル1の1日目と8日目のIMDELLTRA投与後は医療機関で1〜2時間(欧州を含む一部地域では6〜8時間)の経過観察が行われた。ベースラインで治療済み・未治療の無症候性脳転移を有する患者も組み入れられている。

今回のデータは欧州臨床腫瘍学会(ESMO)Congress 2026のプレジデンシャル・シンポジウム(演題LBA3)で発表され、同時にThe New England Journal of Medicineに掲載された。

ESMOでは関連データも報告された。第1b相DeLLphi-303(演題3821P)では、追跡期間中央値30.8カ月の時点で、IMDELLTRAと標準治療の抗PD-L1抗体による1次維持療法開始からのOS中央値が37.9カ月(95%CI 22.5–NE)、2年時点の生存率は58.1%だった。既治療のES-SCLCを対象とした第3相DeLLphi-304(演題3808O)では、23カ月の追跡で13.6カ月対8.4カ月、死亡リスク38%低減(HR 0.62、95%CI 0.51–0.76)と、効果の持続が確認された。いずれも新たな安全性シグナルはなかったとしている。

意味するもの

IMDELLTRAは、腫瘍細胞上のDLL3とT細胞上のCD3の双方に結合してT細胞を活性化させる、クラス初の標的免疫療法。DLL3はSCLC患者の約85〜96%で腫瘍細胞表面に発現し、正常細胞ではほとんど発現しないとされる。米国での適応は現在、プラチナ製剤ベースの化学療法中または後に病勢進行した成人ES-SCLC患者であり、今回の結果はより早い治療ラインへの展開を支える内容にあたる。

資料によれば、SCLCは年間260万件超と推計される世界の肺がん診断の約13〜15%を占め、1次治療の維持療法開始からの生存期間中央値は約1年、2次治療を受けられる患者は約40%にとどまる。DeLLphi-305の21.1カ月というOS中央値は、この「約1年」という前提に対する数字として提示されている。

アムジェンの研究開発担当EVP、Jay Bradner氏は「治療の早い段階でIMDELLTRAを導入することで、生存の標準を塗り替える可能性を裏づける」とし、「各国の規制当局と結果を共有すべく急いでいる」と述べた。Dana-Farber Cancer InstituteのJacob Sands氏は、脳転移を有する患者を含む臨床的に重要な集団で benefit が認められた点を挙げている。

開発は1次導入療法(DeLLphi-312)、限局型SCLCの化学放射線療法後(DeLLphi-306)、皮下投与(DeLLphi-308、DeLLphi-315)など複数の試験に広がっており、今回の維持療法データはその連なりの中に位置づけられる。アムジェンはESMOに合わせ、10月24日に投資家向けのバーチャルイベントを開催するとしている。