2026年3月期の有価証券報告書を見ていると、日系製薬企業では会社のトップである日本人社長より外国人幹部のほうが高い報酬を受け取る事例が複数あることに気づく。

第一三共では、米国のがん事業(第一三共Inc.)を率いるケン・ケラー氏の報酬が9億7900万円に達し、奥澤宏幸社長兼CEOの3倍以上となった。塩野義でも、2026年3月期の有価証券報告書によれば、米国事業を担うジョン・ケラー取締役(25年6月就任)が5億7700万円と、手代木功会長兼社長CEOの3億200万円を大きく上回った。

https://www.daiichisankyo.co.jp/files/investors/library/securities_reports/FY2025_Q4_Securities_Report.pdf

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第一三共・塩野義のように外国人幹部が日本人社長を上回る逆転型もあれば、第武田薬品のようにトップそのものが外国人のパターンもある。協和キリンも、英国出身のアブドゥル・マリック氏が2025年に同社初の外国人社長となっている。

逆転が起きる理由として、まずは企業の売上や利益の多くが米国で生まれること、そしてその米国事業を率いる人材は、米国の報酬市場となることが挙げられる。

WTWの『日米欧CEO報酬比較』(売上高1兆円以上の企業、中央値ベース)によれば、CEOの報酬は米国が約18〜20億円、欧州が8〜9億円であるのに対し、日本は3.0億円にとどまる。米国は日本のおよそ7倍で、その差の大半は株式報酬となる。

製薬に絞ると、米国の大手製薬CEOは2024〜25年に平均で約2700万ドル(約40億円)を受け取っており、日本よりはるか高く、日本の製薬トップの5倍から10倍超になっている。
https://www.wtwco.com/ja-jp/news/2025/08/2025-report-for-the-ceo-pay-landscape-in-japan-the-united-states-and-europe
https://www.biospace.com/business/lilly-j-j-ceos-top-pharmas-highest-paid-list-again

この市場で見れば、前述のケラー氏らの5億〜10億円という報酬は決して高くないが、それでも日本人社長よりも高いということになる。
企業によっては国内でリストラや早期退職を進めながら、海外幹部に日本人社長よりも高額を払う構図にも見える。そのため、その報酬に見合う成果があるかどうかを示すガバナンスの透明性が必要となる。