高市政権が今夏に向けて策定する日本成長戦略で、創薬・先端医療には2040年度までに官民合計で約64兆円(5項目の合算)の投資が記載された。
戦略17分野は62の主要な製品・技術等ごとに官民投資額が想定されており、創薬・先端医療は5項目で構成される。①ファースト/ベストインクラス製品(新薬・再生医療等)が23.4兆円、②感染症対応製品が7.2兆円、③バイオ医薬品・再生医療等製品が20.8兆円、④革新的デバイスを活用した先端医療が11.6兆円、⑤ライフログ活用ヘルスケアが1.1兆円。合計で約64.1兆円になる。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0624_shiryo01.pdf
この金額は、各分野のワーキンググループが勝ち筋を特定したうえで、政府担当部局が主要企業・団体にヒアリングして今後の投資見通しを積み上げている。確定的な支出額ではなく、今後さらに精緻化される。全17分野を重複排除して合計した官民投資額は370兆円超で、創薬・先端医療はそのうちの一分野にあたる。
項目ごとに、投資額と経済波及効果見込みを算定されている。


①新薬(23.4兆円)が見込む経済波及効果は162.1兆円となっている。世界の医薬品市場は2022年で約200兆円に達し、ファースト/ベストインクラス製品を含む特許品の世界市場(日本を除くG7)は年平均9.6%で拡大しているとされ、ここに基礎研究力と高品質な治験という強みを活かして食い込む。③バイオ医薬品・再生医療等(20.8兆円→波及174.9兆円)は、拡大する医薬品市場の約4割を占めるバイオ・細胞・遺伝子治療を、iPSや抗体薬物複合体、国内製造受託(CDMO)の積み上げで取りにいく方向性。④革新的デバイス(11.6兆円→105.8兆円)は、世界80兆円・成長6%超だが0.7兆円の輸入超過にある医療機器分野で、国内市場を10兆円から2040年に28兆円へ伸ばす目標を掲げる。②感染症対応製品(7.2兆円→29.2兆円)はワクチン・抗菌薬・免疫グロブリンの国内供給と備蓄、⑤ライフログ活用ヘルスケア(1.1兆円→17.3兆円)はデジタルヘルス(世界70兆円→2034年350兆円)と攻めの予防医療が軸となっている。
https://www5.cao.go.jp/keizai-shimon/kaigi/minutes/2026/0624_shiryo02.pdf
今回の64兆円は企業ヒアリングを積み上げた想定であり、政府分と民間分の内訳は非開示となっている。野村総研の記事によると、政府が主導する産業投資は、官民の内訳が示されないままでは「絵に描いた餅」に終わりかねず、政府の関与が強まることでかえって民間のイノベーションが削がれる懸念もあると指摘している。https://www.nri.com/jp/media/column/kiuchi/20260619_2.html