2026年7月23日、武田薬品のナルコレプシータイプ1治療薬「オーゼイフル」(一般名オベポレクストン)が、中国で世界初の承認を得た。ピーク時に世界で20〜30億ドルの売上が見込まれる、武田の将来の成長ドライバーとなっている。
この薬剤は武田薬品にとってかなり久しぶりかつ珍しい自社開発の医薬品だが、先駆的医薬品指定を受けたにも関わらず一番最初の承認が中国になっているのは興味深い。
まずFDAへ承認申請を行ったのは日経新聞によると2026年2月10日。FDAでも優先審査に指定され、審査終了目標日は2026年7〜9月に設定されたとされる。
一方、中国への申請時期は、日経バイオテクが2026年2月17日付の記事でオベポレクストンがナルコレプシーを適応症として米中で申請と報じていることから、米国とほぼ同時期と推定される。
対する日本は、2026年3月4日に厚生労働省への製造販売承認申請を発表しており、米国の申請(2月10日)から、3週間程度遅れての申請であることが推定される。
オベポレクストンは2025年9月29日に厚生労働省から先駆的医薬品と希少疾病用医薬品の指定を受けているが、先駆的医薬品制度は、厚労省の指定要件として“治療薬の画期性、対象疾患の重篤性、対象疾患に係る極めて高い有効性及び世界に先駆けて日本で早期開発・申請する意思・体制”が掲げられている。指定を受けた品目は優先対面助言・優先審査などの特典を得られる代わりに世界に先駆けて又は同時に日本で承認申請を行わなかった場合が指定の取り消し可能性がある。
しかし、実際の申請順序は米国と中国がほぼ同時に先行し、日本が最後になっている。とはいえ、制度要件は“世界同時申請も可”のため、3週間程度の差は運用上同時申請の範囲内なのかもしれない。(もし間違っている場合はご指摘いただきたい)
https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11121000-Iyakushokuhinkyoku-Soumuka/0000123357.pdf
https://tokyohimacl.com/colum/sakigake-designation-scheme/
次に中国で承認が最も早かった背景について。中国ではナルコレプシーの患者規模が世界最大で米国の約10万人、欧州の14万人、日本の20万人を大きく上回る。そのため、中国当局にとってもこの薬の早期承認はそもそも優先度が高い。
そのような背景もあり、中国当局はこの薬剤にFDAと同様にブレイクスルーセラピー指定を与えており、それが今回の早期承認に大きく寄与している。(2月に申請なので、5ヶ月程度の審査期間での承認。)
このオベポレクストンは、武田薬品の湘南研究所で創出された数少ない自社創製の化合物となる。今の主力品の多くはミレニアム社やシャイアー社などの大型買収に由来するため、大型製品して伸びていくことが期待される。