自分の意思とは無関係に日中に猛烈な眠気が襲う睡眠障害のナルコレプシーに対し、武田薬品工業が次世代ブロックバスターとして開発している薬剤に経口のオレキシン2受容体選択的作動薬であるオベポレクストン(TAK-861)がある。
2026年6月16日、同社は米国睡眠医学会の年次集会SLEEP 2026で、第3相試験の追加解析を公表した。内容は2つのグローバル第3相試験、FirstLight(TAK-861-3001)とRadiantLight(TAK-861-3002)の副次・探索的評価項目の結果となっている。2025年に主要評価項目(日中の過度の眠気の改善)の達成は報告済みとなっている。

具体的には、日常生活機能を測るFINI(ナルコレプシーの機能的影響評価尺度)の6領域すべてで、全用量群がプラセボに対し有意に改善した(p<0.001)。認知機能では、FINIの認知領域で全用量群の約70%の患者が「大きな問題なし」と回答したのに対し、プラセボ群は約15%にとどまった。また、夜間睡眠も改善し、レム睡眠のタイミングやパターンが健常者に近づいた。すでに米国ではFDAに新薬承認申請提出しており優先審査の対象となっている。中国でも申請済みで、日本でも承認申請が進んでいる。

オベポレクストンが画期的とされているのは、これまでのナルコレプシー治療薬は基本的に対症療法であったため。ただ、その場合夜間の睡眠障害や、記憶力・注意力が落ちるブレインフォグは解決できない。
NT1(ナルコレプシータイプ1)は、脳内で覚醒を維持する物質オレキシンを産生する神経細胞が失われ、オレキシンが欠乏することで生じるとされる。オベポレクストンは、この不足したオレキシンのシグナルを補うことで原因そのものにアプローチする。

オレキシンの最初の発見は現筑波大学教授の柳沢正史先生らの研究グループであり、日本発の基礎研究が創薬に結実しようとしている。
オレキシンを標的薬は拮抗薬として不眠症治療薬ではすでにスボレキサント(2014年)、レンボレキサント(2019年)、ダリドレキサント(2022年)が承認されている。一方、欠乏したオレキシンを補う作動薬は、これまで承認されていなかった。
武田はオベポレクストンだけでなく、オレキシン・フランチャイズとして経口OX2R作動薬TAK-360などの開発も進めている。
武田にとって、オレキシンは将来の収益を担う柱の一つであり、アナリストはオベポレクストンのピーク売上を20億〜30億ドルと見込んでいる。

https://www.fiercebiotech.com/biotech/takedas-narcolepsy-blockbuster-hopeful-secures-double-phase-3-wins-teeing-fda-filing