2026年7月21日、トランプ大統領は輸入ジェネリック医薬品への段階的な関税導入を発表した。2026年8月1日から2年間は現状のまま関税ゼロを維持するが、2028年8月から100%、2029年8月から200%へと引き上げるという内容。米国で販売される医薬品はジェネリックがその90%超を占めるとされ、大きなインパクトを伴う。
https://www.fiercepharma.com/pharma/trump-floats-countdown-200-tariff-rate-generic-drugs-imported-us
トランプ大統領の投稿では”This is done in order to RESHORE Generic Pharmaceutical Production into America, with a penalty to those Companies that decide not to build Plant and Equipment within the stated period of time given to them.”と書かれ、アメリカ国内で工場・設備を建設しない企業へのペナルティであり、目的はジェネリック医薬品製造の米国内回帰となっている。先発品であるブランド薬に対する既存の政策は変更しないとも述べている。

これに対してFiercePharmaの報道では、米国で一部だけ製造されている製品をどう扱うか、そして対象が完成品のみか原薬(API)も含むのかなどが不明であると指摘している。さらに、ホワイトハウス報道官はEndpoints Newsに対し、ジェネリックメーカーはブランド薬のような正式なMFN型合意を結ぶ必要がないかもしれないと述べており、免除を得る手続きがブランド薬とは異なる可能性もある。

今回のように海外に移転した生産拠点や業務を再び自国に戻すことをリショアリングというが、ジェネリック医薬品でのリショアリングが難しいのは一国依存ではなく、国際的に分業されていることが大きい。
米議会の調査によれば、米国のジェネリック医薬品の輸入は、数量ベースでインドが47.2%、中国が13.0%を占める。ジェネリックは米国処方箋の90%を占めるが、その原薬(API)を米国内で生産している割合は、わずか12%しかない。米国内でジェネリックを製造する技術的な知見は存在するが、専門家は「コストが中国・インドの水準にまったく見合わない」と指摘している。
https://www.uscc.gov/sites/default/files/2025-06/Stephen_Schondelmeyer_Testimony.pdf
https://www.emarketer.com/content/generic-drugmakers-don-t-have-funds-move-drug-development-us-amid-trump-s-pharma-import-tariffs

また、企業の財務体質でも先発品メーカーとは大きく異なり、低分子のブランド薬ではメーカーが正味支出のおよそ3分の2を手元に残せるのに対し、低分子のジェネリックでは34〜39%にとどまるとされる。米国薬局方(USP)のロナルド・ピアビンセンツィCEOは、ジェネリック業界はブランド薬に比べてほとんど耐性(resilience)がないため、関税適用が独自にアクセスを損ないかねないと警告している。
https://www.fiercepharma.com/manufacturing/tariff-hits-generic-drugs-could-blow-back-everybody-says-usp-chief-call-increased
今回の方針では2年間が移行期間となっているが、新しい医薬品工場や製造プロセスは、必ずFDAの承認を経なければならず、技術移転と検証だけで年単位の時間がかかるとされる。そのため、今回の関税方針は当面は米国内に既存の製造拠点を持つ企業に有利に働くと予想されている。