分析記事:薬価

薬価制度、改定、再算定、費用対効果評価をめぐる動き。

薬価 新たに薬価収載された原価計算方式の5剤に認められた補正加算が全て係数ゼロで反映されず 2026年10月7日、中医協が了承した10月14日収載の新薬のうち、原価計算方式の5品目は最大60%の補正加算が認められながら、いずれも加算係数0で薬価に反映されなかった。この1年の19製品を振り返ると構造的な問題が見える。 薬価 費用対効果評価、製薬業界の凍結要求は通らず価格調整の拡大を年内実施へ 2026年9月30日、中医協の費用対効果評価専門部会は、健康アウトカムの改善が示されず費用だけが増える品目について、価格全体を対象とする価格調整を2026年中に実施する方向で了承した。業界の凍結要求は通らなかった。 薬価 厚労省が逆ざやが起きている薬価の引き上げを検討 2026年9月28日、日本経済新聞が厚労省は採算割れの薬の薬価引き上げを検討していると報じた。仕切価が薬価以上の「逆ざや」品目は6.9%に増えており、流改懇と卸連の資料からその構造を整理する。 薬価 製薬3団体、中医協の費用対効果意見陳述で「価格調整は当面凍結すべき」と主張 2026年9月16日、中医協の費用対効果評価専門部会で製薬3団体が意見陳述を行い、技術的課題が未解決として「価格調整は当面凍結すべき」と主張した。1週間前の検証報告への反論となる。 薬価 中医協薬価専門部会で製薬三団体がMFNの影響を陳述 2026年8月26日、中央社会保険医療協議会の薬価専門部会が開かれ、関係業界から意見聴取が行われた。 米国薬価政策・MFN ホワイトハウスがMFNの成果として60年で最大の処方薬価格引き下げを発表 米ホワイトハウスは、MFN政策により処方薬価格が1963年以来最大の下落を記録したと発表した。だが要因をIRAに帰す見方もあり、専門家の評価は割れている。 薬価 ICERがアストラゼネカの新規作用機序高血圧薬に対して費用対効果不十分と判定 米ICERが、アストラゼネカの新規高血圧薬Baxfendyを費用対効果不十分と判定。算定されたICER値は一般的な閾値を5〜9倍上回った。 医薬品卸・流通 四大医薬品卸のFY26 Q1決算、全社が増収・営業減益 医薬品卸大手4社のFY26第1四半期決算が全社増収・営業減益となった。仕入価格上昇やリベート減少、革新的新薬薬価維持制度の影響など、構造的な課題が利益を圧迫している中、各社の対応が問われている。 薬価 デュピクセントが4度目の拡大再算定で薬価引下げ サノフィのアトピー性皮膚炎治療薬デュピクセントが、2026年11月に発売後4度目の再算定で薬価引き下げを受ける。2018年の収載時の加算分がすでに消滅し、現在の薬価は原価を下回っているという課題が浮かび上がる。 薬価 日本イーライリリーのマンジャロの薬価引き下げに対する声明について 日本イーライリリーはマンジャロの25%薬価引き下げについて声明を発表。同社はG7で最も低い薬価水準にあると主張する一方、海外からの医療ツーリズムや転売リスクの懸念を示唆している。 行政・制度 日医・松本会長が骨太方針2026に対して「到底容認できない」と主張する3点 日本医師会の松本会長が骨太方針2026に反発している。医療給付費の対GDP比目標、社会保障負担率の数値目標、70歳以上の医療費窓口負担原則3割という3つの政策案について、具体的なデータを挙げながら懸念を示している。 行政・制度 骨太方針2026が閣議決定 政府が経済財政運営と改革の基本方針2026を閣議決定し、創薬・先端医療を国家戦略の柱と位置づけた。2040年度までの官民投資370兆円超、治験環境整備、AI利活用推進が盛り込まれた一方、米国製薬業界は薬価制度改革を求めている。 新薬発売 ピーク予測578億の大型薬ジャスケイド (肺線維症)発売開始 日本ベーリンガーインゲルハイムが肺線維症治療薬ジャスケイドを発売した。ピーク売上予測578億円は、2025年に薬価収載された新薬の中で500億円超はこれを含めて2成分のみ。新規作用機序と広い患者プールが期待される。 行政・制度 ドイツがMFN圧力下でもブランド品値引き (mandatory rebates)引上げの法案を可決 ドイツ連邦議会が7月10日、ブランド医薬品の強制値引き率を7%から15.5%に引き上げる医療改革法案を可決した。MFN圧力下でも保険財政健全化を優先する判断となり、他国の薬価戦略に波及する可能性がある。 米国薬価政策・MFN 創薬力向上のための官民協議会について -MFN影響による医薬品産業の3シナリオ - 創薬力向上のための官民協議会では、MFNの影響下での日本医薬品市場の3つのシナリオが提示された。薬価制度改革と創薬エコシステムの構築により、市場規模は6兆円の縮小から12兆円の拡大まで、大きく異なる展開が想定されている。 行政・制度 自民・維新の社会保障改革13項目 自民党と日本維新の会が社会保障改革13項目を決定。薬価については、費用対効果分析の範囲拡大と革新的新薬の適切な評価に重点を置く一方、2027年度の薬価改定実施と長期収載品の一層の適正化が明記された。 医療提供体制 国立大学病院の赤字要因はどこにあるか -2025年度決算は赤字244億円- 全国44の国立大学病院が2025年度に244億円の赤字を計上した。医師の働き方改革による人件費増加が主因だが、診療報酬改定による増収がそれを補わず、構造的な赤字要因が浮き彫りになっている。 医療提供体制 がん患者団体による製薬会社評価ランキング 英PatientViewが世界のがん患者団体505組織を対象に実施した調査で、製薬企業への評価が緩やかに低下している。特に薬価政策への信頼が極めて低く、一方で領域や企業による評価の差が顕著になっている。 決算・業績 2025年度 国内医薬品売上ランキング (Answers News):キイトルーダの3年連続1位とマンジャロの急浮上 2025年度の国内医薬品売上ランキング発表。MSDのキイトルーダが3年連続首位で2,000億円超となった一方、マンジャロが3年目で急浮上。一方、特許切れ医薬品は後発品やバイオシミラーに蚕食され、大幅な売上減が続く。 米国薬価政策・MFN 米国がドイツの薬剤費抑制策に対して貿易上の問題として調査 ― 通商法301条とMFN 米国がドイツの薬価抑制策を通商法301条に基づいて調査開始。米国が高い薬価で研究開発費の大きな負担を強いられているという「フリーライド論」が背景で、MFN導入との連動が明らか。日本も参照国として名指しされており、対岸の事態ではない。 薬価 薬価3億円の遺伝子治療薬エレビジス、発売後4ヶ月で10名に投与 -投与する医療機関は赤字 希少遺伝子治療薬エレビジスが3億円超の薬価で発売されたものの、投与施設では安全対策に要する人件費と消耗品で赤字となる。高額薬価と医療提供の持続可能性のギャップが課題となっている。 薬価 世界のバイオ医薬品企業のトップリーダーが高市早苗首相と会談 世界の大手バイオ医薬品企業のCEOが日本の首相と会談し、革新的医薬品開発シェアの構造的低下と薬価制度の課題を指摘。ドラッグロス拡大を背景に、政府支出拡大と薬価改革の必要性を訴えた。 薬価 iPS細胞治療薬の保険適用とその薬価妥当性について 住友ファーマとサンバイオのiPS細胞治療薬が5月に相次いで薬価収載される。1人当たり5000万円超の超高額薬だが、患者数の少なさとピーク市場規模を踏まえると、ビジネスとして成立するか検討が必要だ。 肥満症・GLP-1 なぜGLP-1製剤の不適切処方は無くならないか GLP-1製剤の不適切処方が問題視されながらも止まらない理由は、自由診療売上を規制する経済的インセンティブが誰にもなく、法的な禁止規定も存在しないという構造的な問題にある。 薬価 マンジャロ薬価25%削減再算定 -自由診療分を除外する新ルール「持続可能性特例価格調整」- 日本イーライリリーのマンジャロが薬価25%引き下げとなる。新制度「持続可能性特例価格調整」では、保険診療分のみを対象とすることで、自由診療での売上拡大が薬価引き下げ要因にならない仕組みが採られた。 M&A・提携 帝人ファーマの武田糖尿病事業買収は意味があったのか 帝人ファーマが2021年に武田薬品から1,330億円で取得した糖尿病事業について、5年で累計534億円の減損を計上した。競合品のシェア伸長と戦略転換により、当初の想定から大きく乖離した。 決算・業績 帝人2025年度決算 -ヘルスケア事業利益134億円(+136%)、26年度は減益見通し- 帝人のヘルスケアセグメントは2025年度に事業利益134億円と前年比2.35倍に伸長した。しかし2026年度は希少疾患以外の医薬品を絞り込むため、売上・利益とも減少が見通されている。 決算・業績 小野薬品決算発表 -フォシーガクリフ(短期)とオプジーボ・ロイヤリティクリフ(中期)- 小野薬品の2026年3月期は過去最高決算となったが、2027年3月期は減収減益を予想。フォシーガの共同販売契約終了による短期的な減収と、2028年以降に迫るオプジーボの特許切れが経営課題。デサイフェラ買収とグローバル化がこれらのパテントクリフ乗り越えの鍵となる。