分析記事:行政・制度
中医協、骨太方針、審議会、保険制度をめぐる議論と決定。
行政・制度
ロシュがリベート率の引き上げを理由にドイツでの新規投資判断を保留
ドイツの医療保険支出削減法(BStabG)によるリベート率引き上げを受け、ロシュは国内での今後の投資判断を保留にした。すでにリリー、ベーリンガーインゲルハイム、ファイザーも投資縮小を表明し、業界全体で予見性への懸念が広がっている。
行政・制度
欧州製薬団体連合会(EFPIA)がプレスイベントでドラッグロス解消のための制度改善を要望
欧州製薬団体連合会(EFPIA)は、日本でのドラッグロス(新薬の上市遅延・未承認)問題を解決するため、薬価決定制度の改革を要望した。外国平均価格調整の見直しと、市場拡大再算定・費用対効果評価による価格調整の凍結を求めている。
行政・制度
FDAが希少疾患審査の枠組みを作り直す取り組み (Rare Disease Framework Initiative)を立ち上げ
FDAが希少疾患ごとに審査基準を調整する「fit-for-purpose」の枠組み構築に乗り出した。小規模患者集団で得られる現実的なエビデンスに基づき、ガイダンスと判断を個別化する試みだ。日本の承認戦略にも影響を及ぼす可能性がある。
薬価
10月14日に薬価収載の新薬11成分について整理
10月14日、新薬11成分14品目が薬価基準に収載される。ピーク時予測販売金額100億円超は5成分で、ブリヌスプリが最大の490億円。日本の薬価は欧米比で大きな差があり、費用対効果評価の対象となる品目も明らかになった。
薬価
新たに薬価収載された原価計算方式の5剤に認められた補正加算が全て係数ゼロで反映されず
2026年10月7日、中医協が了承した10月14日収載の新薬のうち、原価計算方式の5品目は最大60%の補正加算が認められながら、いずれも加算係数0で薬価に反映されなかった。この1年の19製品を振り返ると構造的な問題が見える。
薬価
費用対効果評価、製薬業界の凍結要求は通らず価格調整の拡大を年内実施へ
2026年9月30日、中医協の費用対効果評価専門部会は、健康アウトカムの改善が示されず費用だけが増える品目について、価格全体を対象とする価格調整を2026年中に実施する方向で了承した。業界の凍結要求は通らなかった。
行政・制度
令和8年版厚生労働白書が発表
厚生労働省が令和8年版厚生労働白書を公表した。特集テーマは「これからの医療・介護・福祉の現場で働くことを考える」。人手不足の実態に加え、後発品、ドラッグ・ロス、薬価制度など製薬に関わる施策の到達点をまとめる。
薬価
厚労省が逆ざやが起きている薬価の引き上げを検討
2026年9月28日、日本経済新聞が厚労省は採算割れの薬の薬価引き上げを検討していると報じた。仕切価が薬価以上の「逆ざや」品目は6.9%に増えており、流改懇と卸連の資料からその構造を整理する。
海外動向
欧州製薬9社の議長が公開書簡「欧州はイノベーターの仕事を評価しない」
2026年9月22日、欧州製薬9社の取締役会議長が連名で公開書簡を発表した。欧州が医薬品を「抑制すべきコスト」として扱ってきた結果、R&Dシェアは43%から31%に低下したとして、各国政府に投資を求めている。
承認・開発
FDAを参考にPMDAも追随するリアルタイム臨床試験(RTCT)とは
厚労省の2027年度概算要求にリアルタイム臨床試験(RTCT)の試行が盛り込まれた。治験の進行中に規制当局がデータをリアルタイムで確認する仕組みで、FDAではすでに2つの実証試験が始まっている。
薬価
製薬3団体、中医協の費用対効果意見陳述で「価格調整は当面凍結すべき」と主張
2026年9月16日、中医協の費用対効果評価専門部会で製薬3団体が意見陳述を行い、技術的課題が未解決として「価格調整は当面凍結すべき」と主張した。1週間前の検証報告への反論となる。
承認・開発
PMDAが抗がん剤領域におけるドラッグラグ・ロスの解消を目指しProject Orbisに正式参加
2026年9月10日、厚生労働省とPMDAは米FDAが主導する抗がん剤の国際共同審査Project Orbisへの正式参加を決めた。オブザーバー参加から4年。仕組みと海外の実績を整理する。
海外動向
規制強化による製薬企業の投資撤退から1年が経ったUKの現状 (US記事)
2025年6月に英国政府は新規医薬品の売上に対する払い戻し(リベート)率を15.5%から31.3%へ引き上げる方針を示したことにより、複数の大手製薬企業が英国での研究開発投資を撤回する事態となっていた。
行政・制度
ドラッグ・ロスの現状として特定されている86品目の審議結果について (厚労省検討会議結果)
2026年9月4日、厚生労働省の第69回医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議が開かれ、ドラッグ・ロス対策について審議された。
行政・制度
厚生労働省の 令和9年度概算要求が36兆5,803億円で過去最大(うち「強く豊かな日本」投資枠に1兆337億円)
2026年8月、各省が令和9年度予算の概算要求を公表しており、厚生労働省の一般会計要求は36兆5,803億円で要求段階として過去最大となっている。
行政・制度
厚労省による販売情報提供活動調査事業報告で違反事例が過去最小の11件
厚生労働省が令和7年度の販売情報提供活動調査事業の報告書を公表した。モニター医療機関からの疑義報告のうち、違反が疑われた医薬品は延べ6件、項目は延べ11件となり、この事業が始まった平成28年度以降で最も少ない数字となった。である。
医療提供体制
令和7年度の医療費が過去最高の49.2兆円 (前年比+2.6%)
2026年8月28日、厚生労働省が令和7年度の概算医療費を公表した。総額49.2兆円で前年度比2.6%増となり過去最高を更新し続けている。
薬価
中医協薬価専門部会で製薬三団体がMFNの影響を陳述
2026年8月26日、中央社会保険医療協議会の薬価専門部会が開かれ、関係業界から意見聴取が行われた。
行政・制度
過去5年間に開発断念または上市見送りを経験した企業は4割というジェネリック・ドラッグ・ロス (厚生労働省研究班レポート)
厚生労働省の研究班がジェネリック・ドラッグ・ロス(先発品の特許が切れても、後発品が上市されない)について体系的に調べた研究報告書が公開された。
薬価
デュピクセントが4度目の拡大再算定で薬価引下げ
サノフィのアトピー性皮膚炎治療薬デュピクセントが、2026年11月に発売後4度目の再算定で薬価引き下げを受ける。2018年の収載時の加算分がすでに消滅し、現在の薬価は原価を下回っているという課題が浮かび上がる。
薬価
日本イーライリリーのマンジャロの薬価引き下げに対する声明について
日本イーライリリーはマンジャロの25%薬価引き下げについて声明を発表。同社はG7で最も低い薬価水準にあると主張する一方、海外からの医療ツーリズムや転売リスクの懸念を示唆している。
行政・制度
日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会の描く2040年将来ビジョン
日本ジェネリック医薬品・バイオシミラー学会が2040年に向けた国内医薬品産業のビジョンを承認。特許期間満了医薬品、バイオシミラー、OTC医薬品、原薬の4分野を連携させ、少子高齢化時代の産業基盤を再構築する戦略が描かれた。
マーケティング・MR
Novo社がLillyのGLP-1広告を“虚偽広告”として訴訟
Novo NordiskがEli LillyのGLP-1広告をランハム法違反の虚偽広告として訴訟。争点は、Lillyが古いhead-to-head試験を根拠にした広告が、その後承認された高用量を考慮するとミスリーディングになるかどうかだ。
行政・制度
日医・松本会長が骨太方針2026に対して「到底容認できない」と主張する3点
日本医師会の松本会長が骨太方針2026に反発している。医療給付費の対GDP比目標、社会保障負担率の数値目標、70歳以上の医療費窓口負担原則3割という3つの政策案について、具体的なデータを挙げながら懸念を示している。
行政・制度
トランプ大統領が輸入ジェネリック医薬品への段階的関税導入を発表
トランプ大統領がジェネリック医薬品の輸入関税を段階的に引き上げると発表。2028年8月から100%、2029年8月から200%に達する予定だが、米国内製造への移行は国際分業体制やコスト構造の課題により難しいとみられる。
行政・制度
骨太方針2026が閣議決定
政府が経済財政運営と改革の基本方針2026を閣議決定し、創薬・先端医療を国家戦略の柱と位置づけた。2040年度までの官民投資370兆円超、治験環境整備、AI利活用推進が盛り込まれた一方、米国製薬業界は薬価制度改革を求めている。
承認・開発
FDAがMerckの経口PCSK9薬を優先審査で承認 -低価格戦略と物議を醸すCNPV制度-
メルクの経口PCSK9薬リプフェンドラがFDAに承認された。優先審査バウチャー制度により通常より大幅に速い審査で認可されたが、同制度は政治的介入の懸念から批判を集めている。
行政・制度
Lancetの日本特集(国際政策論文:人間の安全保障外交への転換提言)
Lancetに掲載された論文は、グローバルヘルスのガバナンス機能不全を背景に、日本の保健外交が陥る停滞サイクルの原因を分析。人間の安全保障外交への転換と、パートナー国とのイノベーション循環を通じた2040年の戦略目標を提言している。
行政・制度
国民皆保険の危機とVision 2040 -国際医学誌Lancetで15年ぶりの日本特集-
Lancetが15年ぶりに日本医療を特集。国民皆保険の制度的停滞に対し、25名の専門家が3つの構造課題を分析し、2040年に向けた抜本的な再設計「Vision 2040」を提言した。
行政・制度
ドイツがMFN圧力下でもブランド品値引き (mandatory rebates)引上げの法案を可決
ドイツ連邦議会が7月10日、ブランド医薬品の強制値引き率を7%から15.5%に引き上げる医療改革法案を可決した。MFN圧力下でも保険財政健全化を優先する判断となり、他国の薬価戦略に波及する可能性がある。
米国薬価政策・MFN
創薬力向上のための官民協議会について -MFN影響による医薬品産業の3シナリオ -
創薬力向上のための官民協議会では、MFNの影響下での日本医薬品市場の3つのシナリオが提示された。薬価制度改革と創薬エコシステムの構築により、市場規模は6兆円の縮小から12兆円の拡大まで、大きく異なる展開が想定されている。
行政・制度
自民・維新の社会保障改革13項目
自民党と日本維新の会が社会保障改革13項目を決定。薬価については、費用対効果分析の範囲拡大と革新的新薬の適切な評価に重点を置く一方、2027年度の薬価改定実施と長期収載品の一層の適正化が明記された。
医療提供体制
国立大学病院の赤字要因はどこにあるか -2025年度決算は赤字244億円-
全国44の国立大学病院が2025年度に244億円の赤字を計上した。医師の働き方改革による人件費増加が主因だが、診療報酬改定による増収がそれを補わず、構造的な赤字要因が浮き彫りになっている。
医療提供体制
がん患者団体による製薬会社評価ランキング
英PatientViewが世界のがん患者団体505組織を対象に実施した調査で、製薬企業への評価が緩やかに低下している。特に薬価政策への信頼が極めて低く、一方で領域や企業による評価の差が顕著になっている。
M&A・提携
田辺ファーマが製造子会社を売却しファブレス化へ
ベインキャピタル傘下の田辺ファーマが、国内製造子会社を東和薬品に売却し、ファブレス化へ移行する。研究開発と導入品獲得に経営資源を集中させる戦略の表れだ。
行政・制度
2040年を見据えた日本の創薬力強化 -内閣府WG資料より-
内閣府の創薬ワーキンググループが、2040年を視野に日本の創薬力強化戦略をまとめた。人材、AI、研究開発、臨床試験、規制の5つの柱で世界との競争力回復を目指すが、成否を分ける鍵は薬価制度にあるとの指摘も。
承認・開発
Tavneos(avacopan)のPivotal StudyであるP3論文をNEJMが撤回
Amgenの希少疾患薬Tavneosの承認根拠となった第Ⅲ相試験の論文が、NEJMに撤回された。FDAの調査で試験データの改ざんと盲検解除の不正行為が判明し、有効性の証拠が不十分だったと指摘された。
行政・制度
自由診療での再生医療領域の概観(厚労省定期報告より)
厚労省の定期報告から、自由診療の再生医療市場の実態が浮かび上がる。臨床研究が1.6%に対し、治療は98.4%。がん治療中心の研究と異なり、治療ではQOL向上目的の歯科・整形外科が主流で、iPS細胞ではなくPRPと骨髄由来幹細胞が市場を牽引している。
行政・制度
日本成長戦略・戦略17分野の投資内訳 -創薬・先端医療に、64兆円-
高市政権の日本成長戦略で、創薬・先端医療には2040年度までに官民合計で約64兆円の投資が見込まれた。新薬やバイオ医薬品、革新的デバイスなど5項目に配分される投資の実現には、政府と民間の役割分担の明確化が課題となる。
米国薬価政策・MFN
Lillyの経口GLP-1薬”Foundayo”、MFNの影響を受けてEUでオンライン診療による患者自己負担モデルの提供へ
Lillyの経口GLP-1薬Foundayoが、米国のMFN薬価政策の影響を受けてEUではオンライン診療による自費販売を検討している。公的保険償還は参照国の薬価次第となり、各国の薬価戦略に左右される状況が続いている。
海外動向
外国人幹部 > 日本人社長となる製薬の役員報酬
日系製薬大手で、米国事業を率いる外国人幹部が日本人社長を上回る報酬を受け取る事例が複数見られる。米国と日本の報酬市場の格差が背景だが、ガバナンスの透明性が問われている。
米国薬価政策・MFN
米国がドイツの薬剤費抑制策に対して貿易上の問題として調査 ― 通商法301条とMFN
米国がドイツの薬価抑制策を通商法301条に基づいて調査開始。米国が高い薬価で研究開発費の大きな負担を強いられているという「フリーライド論」が背景で、MFN導入との連動が明らか。日本も参照国として名指しされており、対岸の事態ではない。
薬価
薬価3億円の遺伝子治療薬エレビジス、発売後4ヶ月で10名に投与 -投与する医療機関は赤字
希少遺伝子治療薬エレビジスが3億円超の薬価で発売されたものの、投与施設では安全対策に要する人件費と消耗品で赤字となる。高額薬価と医療提供の持続可能性のギャップが課題となっている。
海外動向
Nature Index 2026で日本と韓国の論文寄与の伸びが西洋諸国を上回る
Nature Index 2026で、日本と韓国の学術論文寄与が米・独・英といった西側先進国を上回る成長率を記録した。応用科学・社会科学論文の追加により、評価対象が大幅に拡大している。
AI・デジタル
塩野義製薬が小児ADHD向けのデジタル治療アプリ「エンデバーライド」を発売
塩野義製薬が小児ADHD向けデジタル治療アプリ「エンデバーライド」を発売。国内初となるADHD治療アプリだが、米国では先行企業が処方モデルで苦戦する中、日本の皆保険制度下でのビジネス成立が課題となる。
M&A・提携
武田薬品が2024年にライセンス返上したAMITIZAの反トラスト訴訟で4,025億円の訴訟引当金を計上
武田薬品がAMITIZAの反トラスト訴訟で陪審評決を受け、4,025億円の訴訟引当金を計上した。2014年の特許和解が「支払による参入の遅延」に該当するかが争点で、原告は価格競争の阻害で過払いが生じたと主張している。
行政・制度
NHKクローズアップ現代で自由診療の再生医療が特集
NHKの特集により、日本の自由診療における再生医療の実態が浮き彫りになった。有効性の証明が不要な安確法の下で、法令違反や患者死亡事案が相次ぐ一方、海外との規制格差が日本の医療ブランド信頼を脅かしている。
薬価
世界のバイオ医薬品企業のトップリーダーが高市早苗首相と会談
世界の大手バイオ医薬品企業のCEOが日本の首相と会談し、革新的医薬品開発シェアの構造的低下と薬価制度の課題を指摘。ドラッグロス拡大を背景に、政府支出拡大と薬価改革の必要性を訴えた。
肥満症・GLP-1
増え続けるGLP-1の自由診療下での使用と、その問題
GLP-1治療薬の自由診療での使用が増加している。適応内だが施設要件を満たさないケースと、適応外の美容目的での処方という、性格の異なる2つの問題が生じており、制度解釈から広告規制まで多層的な論争が続いている。
決算・業績
医薬品4大卸 FY2026決算 -4社とも増収減益-
医薬品四大卸の2026年3月期決算が出そろい、4社とも増収になった一方で営業利益は減少。薬価改定と選定療養の導入が本業の採算を圧迫する中、各社はスペシャリティ医薬品や再生医療といった新事業への投資を加速させている。
薬価
iPS細胞治療薬の保険適用とその薬価妥当性について
住友ファーマとサンバイオのiPS細胞治療薬が5月に相次いで薬価収載される。1人当たり5000万円超の超高額薬だが、患者数の少なさとピーク市場規模を踏まえると、ビジネスとして成立するか検討が必要だ。
肥満症・GLP-1
なぜGLP-1製剤の不適切処方は無くならないか
GLP-1製剤の不適切処方が問題視されながらも止まらない理由は、自由診療売上を規制する経済的インセンティブが誰にもなく、法的な禁止規定も存在しないという構造的な問題にある。
薬価
マンジャロ薬価25%削減再算定 -自由診療分を除外する新ルール「持続可能性特例価格調整」-
日本イーライリリーのマンジャロが薬価25%引き下げとなる。新制度「持続可能性特例価格調整」では、保険診療分のみを対象とすることで、自由診療での売上拡大が薬価引き下げ要因にならない仕組みが採られた。
医薬品卸・流通
東邦HDの新中期経営計画 -アクティビストへの対抗-
東邦ホールディングスが新中期経営計画で、営業利益300億円以上やROE8%以上といった具体的な数値目標を掲げた。これはアクティビスト投資家3Dの要求に応える形だが、目標達成のロジックには確実性の高い施策と不確実な新規事業が混在している。
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